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番外編の番外編、悪魔の囁き

わたくしの婚約者には好きな人がいる。

今さっきだって好きな人に意地悪なことを言っては、自分で凹んでる。

あれだけ顔に出ているというのに、気づかないのはあの二人だけ。

この煮えたぎる気持ちをなんて呼べばいいのでしょう。

あ、言っておきますけど、嫉妬とかではございません。

むず痒くて、婚約者の背中をドンと押したくなるような…


婚約者がそんな素敵な恋をしているなんて憧れもある。

けれど、婚約者自身にはその憧れとは重ならないのだ。

生理的に無理とはこのことなのね。


何気にキツイことを思っている令嬢こと、フィンは自分の婚約者を観察することが好きだ。

モヤモヤするけど、見たい!まるで怪談話を聞くときに似ている。


「婚約を破棄したい。」


ジルの申し出にフィンはしらっとしていた。

今頃ですか!?

今までのモヤモヤが一気に爆発した。

一通り軽く罵倒した後、本当に臆病な元婚約者の尻を叩く。


「ご武運を。」


そして、振られるであろう元婚約者を見送った。

本当にバカですわ。本当に!

案の定、振られた元婚約者は吹っ切れたように、想い人に少し優しくなった。

でも、気持ちは全然晴れませんの…

何故か、胸が寂しくなる。

何か、何が、自分に足りないのだろう…


「お嬢さん、この本はいかが?」


少し歳上の令嬢達に囲まれ、日記帳のようなものを手渡された。


「これは?」

「わたくしたちのバイブルですの。ご自宅に帰った後、良かったら読んでみてくださらないかしら。」


聖母のような笑みをフィンに向ける。

フィンは少し警戒しながらも自宅に持ち帰った。

聖書にしては薄いその本をフィンがめくる。


「これは…!」


**


「わたくしたちのバイブルはいかがでしたか?」


お茶会にあの本を手渡してきたお姉様方から声を掛けられる。


「…す…素晴らしかったですわ!初々しくも強く結ばれた愛…メリッサ様にこういう一面があったなんて!それを知ったらなば少しは腑に落ちますわ!で、す、が!わたくしはメリッサ様とジル様が結ばれるべきだと思っておりますの!現実的ではなくとも!ならば、せめて書面でもその儚い夢を叶えようと書にしたためましたの!」


フィンは興奮したかのように早口で感想を述べると、新しく薄い本を取り出した。


「これは…」


他の令嬢が肩を寄せ合うように一つの本を覗き込む。


「メリッサ様とジル様への愛が溢れて止まりませんわ!」

「幼馴染ものもまた鉄板!それがいいですわ!」

「おいしい!おいしすぎる!一粒で二度おいしいとはメリッサ様のことだったのですね!」


頰に手を当てウットリしている令嬢たちにフィンは誇るように胸を張った。


「では、この本も増刷しませんこと?」


一人の令嬢が提案する。


「ぜひ!ぜひとも増刷したいです!」


フィンが提案した令嬢の手を取って言った。


「ふふ…お仲間ができてうれしいですわ。」


他の令嬢も次々にフィンと手を重ねる。


「わたくしたちはロマンスの忠実なしもべ。」

「ようこそ、フィン様。」


それは甘い悪魔の囁き。

メリッサはブルっと身震いをした。

フィンは今で言う、カプ厨というものですね。

その後、カプの行き違いから喧嘩、決闘と言う名の書き殴り合いをし、お互いの本を読ん和解、までが想像できます。

なんだかんだで恋に落ち幸せな結婚をしますが、それでもカプ厨は辞めない、ちょい過激派です。

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