第10話 新しい武器!でも、装備できない!?
日間28位とはたまげたなぁ....
これも皆様の評価やブクマのおかげです。これからもよろしくお願いします。
このゲーム、innocenceworldon-lineにおける、武器作成にプレイヤースキルは関与してこない。つまり、製作者の鍛治スキル熟練度に完全に依存している。
だけど、今私の目の前で行われるそれにはシルバの情熱と真摯さが伝わってきている。
素材を炉で熱して、熱したものを決められた回数叩くだけ、けれど彼の表情は真剣そのものであった。
そして、剣を水の中に突っ込んでから、もう何度か槌を振るうと、
「よし、出来たよ。まずは一本目だ。」
彼は真剣な表情を崩さず、そう言ってから、二本目の剣を作り始めた。
その後、待つこと20分。彼は顔を上げると、先ほどまでの真剣な表情から一転、いつも通りの表情に戻る。
そして、
「完・成・だーー!!」
私が思わずビクッ、としてしまうくらいの大きな声で叫ぶのであった。
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「ごめんね、集中してた作業が終わるとついつい全力で叫んじゃうんだ」
「全然、気にしなくていいよ〜」
そう、ちょっとびっくりしただけだし、まあ、心拍数上昇で身体的異変から強制ログアウトされかけたけど......
そんな、どうでもいい思考を振り払って、ちらりと、私が机の上に目を向けると、そこには鮮やかな緋色に染められた鞘に入った細身の剣がある。
そして、その隣には黒曜石のような鞘に入った、細身の剣がある。
両方とも細身ではあるが、それを一切気にさせないような威圧感とでもいうべきものが溢れ出しており、私は先ほどからそちらに気をとられてしまう。
シルバもそんな私の思考がわかったのか、軽く微笑むと、
「じゃあ、持ち主殿に持ってもらいましょうか。」
と、言いつつ、私の方に剣を持ってくる。
そして、私の目の前に立つと、
「こいつらは鍛治スキル熟練度800オーバーの僕が作った中でもトップクラスの出来だよ。正直、売ったら、一本でも3Mはいくかもしれない。素材も奮発したしね。でも、僕はこれを君に譲ることに後悔はしてないよ、これは先行投資だ。君がいつか、僕のお得意様になってくれるようにね」
そう言って彼は私に剣を渡す。
し、信頼が重い.....なんとか、応えられるようにしなきゃ.....
私が、決意を固めていると、彼はクスリと笑い、
「なーんてね!別に気にしなくていいよ。ただ、僕は君と仲良くしたいだけ、これは友好の証として受け取ってよ。最初に言ったでしょ?僕はおねーさんみたいに可能性を追いかける人が好きなんだ。」
と、気軽そうに言ってくる。そんな彼の態度に私も思わず笑ってしまう。
そして、私は微笑みながら、
「ありがとう、でもこの恩は絶対に返すね...
それと、これからもよろしく」
言って彼に手を差し出す。彼はキョトンとした顔をしてから、うんと言って、私の手を取った。
♦︎
「ま、まさかこんな問題があるとは....」
現在私の腰にぶら下がる二本の剣はシルバからもらった二本、では無く、今まで通りのスチールソード二本であった。
トップクラスの鍛冶師のシルバが作っただけあって、あの二本の剣はものすごい出来であった。しかし、それ故に
「必要筋力値250って.....」
そう、装備するためにはSTRが250以上いるらしく、弱くなった今の私はおろか、元の方でも使えない。とりあえず、彼の熟練度上げ用の武器を二本もらって出てきたのだ。
まあ、クヨクヨしてても仕方ない。これから暫くはスキルポイントを全部、『筋力上昇』に割りふろうと決意して、私はもう一度『始まりの庭』エリアへと駆け出した。
♦︎
「あら、響輝くん、お帰りなさい。」
「おう、ただいま」
時刻は午後1時、紫織のお父さんの仕事は少し特殊で、定休日は無く、1ヶ月帰ってこれない日もあれば、暫くはずっと家にいたりもする。
「ふー、あのお嬢様、頭おかしいって.....なんだよ残業13時間とか.....しかも給料増えんのかって聞いたら、私も同じ苦しみを覚えてるんだから、我慢しなさいだと?ブラック企業なんだよなぁ....」
「はいはい、それはいいですから、これ以上お金増えたって使い道に困るだけなんだから、こんなものでいいんですよ、それに詩織が贅沢を覚えても良くないし」
響輝と呼ばれた男が愚痴るが、その妻である女性がそれを窘める。
男は、ふと気がついたように、
「あ、そうだ紫織は元気にしてる?最近顔を合わせらんないし」
と、問いかけると、女性は急にデレデレし出して、話しだす。
「元気ですよ、それに毎日私におはよう、とか、お帰りなさい、とかちゃんと言ってくれるの。反抗期なんて一生来なければいいのに」
「いや、だってお前、俺か、紫織にちょっとでも無視されるとすごい拗ねるじゃん...」
「うっ....それは言わなくてもいいんですよ!」
「泣き虫なのは昔からだもんな」
「昔の話はいいんですよ!」
二人が軽く昔話に花を咲かせてると、男が「あ」と、何かを、思い出したかのような表情になる。女性がどうしたの?と、聞くと男は
「四宮がな、VEのイベントを東京の方でやるって言ってたから、お前らもくるか?特に、紫織は今、絶賛プレイ中なんだろ?」
世界中のVEプレイヤーが無視できない発言をさらっとした。
主人公のお父さんは実はVEに関する結構重要な役職についてます。まあ、いつか、説明する機会がくるので楽しみにしててください。




