第22想 魂の輪舞曲
前回までのあらすじ
幽霊少女・ななの願いを叶えるため、不知火燈也たちはバンドを結成した。
ひたむきに練習を重ねる彼らの姿は周囲の心を動かし、仲間や応援者は少しずつ増えていく。
そんな中、ななの様子に微かな異変が現れ始める。
ライブ本番まで、残された時間はわずか。想いが試される刻限が、静かに近づいていた。
ななを一旦バンドメンバーたちに任せ、燈也は校舎の影に一人足を向けた。
胸の奥に渦巻く違和感が、どうしても拭えなかった。
(何がどうなっている……?)
頭の中で何度問いかけても、答えは返ってこない。
ななが消えかけている――いや、“存在そのものが曖昧になっている”ような、そんな悪寒。
校舎裏を抜け、中庭へと視線を向けた瞬間、燈也は足を止めた。
「……お、あれは?」
そこには見慣れた顔ぶれが集まっていた。円陣を組むように立つ、ななファンクラブのメンバーたち。
「……ファンクラブの奴らか。丁度良かった」
燈也は半ば縋るように、彼らへと歩み寄った。
「不知火? どうかしたのか?」
中心に立っていた男子が振り向く。ファンクラブ隊長――日向雄介だ。
その声音はいつもと変わらない。
だが、その“いつも通り”が、今の燈也には異様に思えた。
「大変なんだ! ななが……!」
言葉を遮るように燈也は一歩詰め寄る。
「……待て」
しかし返ってきたのは、困惑に満ちた声だった。
「なな、とは……誰のことだ?」
「……!?」
世界が、ぐらりと傾いた気がした。
(――まさか……こいつらも!?)
「お、おいおい! 冗談はやめろよ!」
燈也の声は、自分でも分かるほど上ずっていた。
「ファンクラブまで作ってくれたじゃないか! ななのために!」
雄介はしばらく黙り込み、やがて首を傾げる。
「そう言われてもなぁ……何か勘違いしてるだけじゃないのか?」
そこには嘘も誤魔化しもない、“本気で分からない”という表情があった。
「そんなわけ……ないだろ……」
燈也は唇を噛みしめる。
「頼む……思い出してくれ。ななは、ここにいた。確かに」
必死な訴えは、宙に浮いたまま届かない。
「……すまん」
雄介は視線を横に逸らし、隣に立つ少女へ助けを求めるように声を掛けた。
「如月、分かるか?」
名を呼ばれた愛紗は、少しだけ目を伏せ、考え込む。
沈黙が、やけに長く感じられた。
「……ごめんなさい」
やがて彼女は、小さく首を振った。
「私にも……何のことなのか、分かりません」
その声には、申し訳なさが滲んでいた。
「……そうか」
燈也の肩から、力が抜ける。
「悪かったな……急に変なこと言って」
彼は一歩、また一歩と後ずさり、中庭から距離を取った。
「力になれなくて、申し訳ない……」
雄介の言葉を背に受けながらも、燈也は振り返らない。
「いや……いいんだ」
それだけ言い残し、踵を返す。
去っていく背中を、二人は黙って見送っていた。
「……不知火先輩、急にどうしちゃったんでしょうね」
愛紗がぽつりと呟く。
「分からん……」
雄介は胸の奥を押さえるように、目を伏せた。
「……だが、何故かモヤモヤするんだよな」
言葉にできない感覚。
何か大切なものを、確かに失っているという感触。
「日向先輩も、ですか……」
愛紗もまた、自分の胸に手を当てた。
「実は私も……何か、とても大事なことを忘れているような気がするんです」
中庭には、風の音だけが静かに流れていた。
***
中庭を出て、燈也は無意識に拳を握り締めていた。
踏みしめる地面の感触すら、どこか現実味が薄い。
「……くそ、これは一体……」
吐き捨てるように呟いた声が、やけに乾いて聞こえた。
(あの様子……嘘をついているようには思えなかった)
雄介も、愛紗も。
本気で“分からない”という顔をしていた。
(そのうえ、見なくなるだけじゃない……)
ポスターも、写真も。
消えているのは“姿”だけじゃない。
(これじゃあ……まるで……)
言葉にしようとした瞬間、背後から声が重なった。
「――『忘れているみたいだ』、かな?」
ぞくり、と背筋が冷える。
振り返るまでもなかった。
その声の主を、燈也は知っている。
いつの間にか背後に立っていたのは、魔法教師の立花セレナだった。
「先生……」
燈也は低く、押し殺した声で言う。
「あんたは、こうなるって……知ってたんだな」
問いというより、確認だった。
「ふふふ……」
セレナは口元に薄く笑みを浮かべる。
「だから言ったでしょ? 後悔すると……」
燈也の胸を焼く焦燥とは対照的に、彼女は驚くほど落ち着いていた。
すべてを最初から理解していた者の、余裕。
「そっ……それは……」
反論しようとして、言葉が喉で詰まる。
何をどう言えばいいのか分からなかった。
「あなたの覚悟は……その程度だったのかな?」
試すような声。
責めるでもなく、ただ事実を突きつけるだけの冷たい言葉。
「……なんだと」
燈也は歯を食いしばり、セレナに詰め寄った。
焦りと、理由の分からない怒りが、胸の内で爆発しそうになる。
「柊ななと、私達とは……」
セレナは一歩も退かず、淡々と語り始める。
「本来、交わってはいけなかった存在なの」
その声は、残酷なほど静かだった。
「それが、何の因果からか関わってしまった……ただ、それだけ」
燈也の視線を真正面から受け止めたまま、続ける。
「でもね、間違った節理は正されるのが道理よ」
「人間には到底抗えない――運命」
その言葉は、宣告だった。
「……だから」
燈也の声が震える。
「ななのことを……忘れろって言うのかよ?」
怒りが限界に達し、燈也はセレナに掴みかかった。
――だが。
指先に触れたはずの感触は、霧のようにすり抜けた。
「っ……!?」
まるで雲を掴んだかのように、何の抵抗もなく体勢を崩し、燈也は地面に叩きつけられる。
「その通りよ」
セレナは倒れた燈也の横に屈み込み、囁くように言った。
「これから、更に……ななに関する記憶は消えていく」
笑みを含んだ声が、耳元で響く。
「そして最後には、何も残らない」
燈也の視界が、わずかに揺れた。
「……まるで」
セレナは、楽しむように言葉を区切る。
「最初から、何もなかったみたいに……ね」
「……ちくしょ……」
燈也は地面に拳を叩きつけた。
土の感触が、やけに冷たい。
「なんとか……ならないのかよ……」
地面に伏したまま、絞り出すように呟く。
「……ムリね」
短く、断定するように。
セレナはそう告げると、ゆっくりと視線を伏せた。
その仕草一つで、燈也の胸に冷たい現実が突き刺さる。
「魔法でも、奇跡でも……何でもいいんだ!」
燈也は思わず一歩前へ出ていた。
声が震えているのも、必死になっているのも、自分で分かる。
「知っているなら教えてくれ……頼む!」
縋るような叫び。
それは、これまで誰にも見せたことのない弱さだった。
だが、セレナは首を振らない。
ただ、静かに言葉を重ねる。
「分かってるんでしょ?」
諭すようでいて、逃げ道を塞ぐ声音。
「魔法でも……世界の節理を変えるのは簡単じゃない」
そして、わざとらしく言葉を区切る。
「第一……あなた、魔法嫌いだったでしょう?」
「……それは……」
反射的に返そうとした言葉が、喉で止まった。
セレナはそんな燈也の内心を見透かしたように、続ける。
「それにね……」
伏せたままの瞳が、どこか哀しげに揺れる。
「奇跡は、起きないから奇跡と呼ぶのよ……」
淡々と、しかし残酷な真実を。
「残念だけど……学生のあなた程度の実力では、奇跡は起こせない」
最後に、静かに告げる。
「……諦めなさい」
その言葉は、優しさを装った断罪だった。
中庭に、重たい沈黙が落ちる。
風の音だけが、やけに大きく響いた。
やがて――
「……いやだ」
低く、しかしはっきりと。
燈也が口を開いた。
拳を、強く握り締める。
「約束したんだ」
誰に、とは言わない。
だが、その名前を胸に刻んでいることだけは確かだった。
「それに……」
顔を上げた燈也の瞳は、まだ曇っていない。
「あいつらが……諦めていないのに」
「俺だけが、諦めるわけにはいかないんだ」
言葉を選びながらも、想いは真っ直ぐだった。
「可能性が……少しでもあるなら……」
一瞬、迷いがよぎる。
それでも、次の瞬間には決意へと変わった。
「いや……」
燈也は、はっきりと言い切る。
「可能性が無かったとしても……俺は足掻いてみせる!」
解決策は見えない。
道も、正解も分からない。
それでも――
その目の奥には、確かな光が宿っていた。
「……ふふふ」
セレナは、そんな燈也を見て、微かに笑う。
「なら……最後まで、頑張りなさい」
どこか満足そうに。
「……夢の、最後まで」
その言葉を残し、セレナは微笑んだ。
次の瞬間。
彼女の姿は、最初から存在していなかったかのように、空気へ溶ける。
(――方法は、きっとある)
燈也は、消えた空間を睨みつける。
(俺が……絶対に見つけてやる)
拳を、もう一度、強く握り締めた。
世界がどれほど冷酷でも。
忘却が運命だとしても。
彼の意志だけは、まだ消えていなかった。
***
大図書室は、すでに夜の気配に包まれていた。
高い天井から吊るされたランプだけが、机の上を淡く照らしている。
他の生徒たちは、とうに下校した時間だ。
広い室内に残っているのは、ページをめくる音と、燈也の荒い息遣いだけ。
机の上には、所狭しと本や資料が積み重なっていた。
魔法史、禁呪目録、神話、失伝儀式――
どれも埃と時間の匂いを纏った、重たい書物ばかりだ。
「……くそ!!」
燈也は思わず声を荒げ、机を叩いた。
「こんなんじゃ……ダメだ!」
何度読み返しても、答えは見つからない。
世界を正す方法ばかりが書かれていて、
世界に抗う方法は、どこにも載っていなかった。
「……頑張るのは結構じゃが……」
不意に、背後から声がした。
「焦っては、上手くいかぬぞ?」
燈也は肩を震わせ、振り返る。
「……神奈先生」
そこに立っていたのは、大図書室の司書であり魔法教師の――神奈だった。
「何やら、随分と悩んでおるようじゃな」
神奈は、机の上に広がる本の山を一瞥し、柔らかな目を向ける。
「わっちに分かることなら……相談にのるぞ?」
その声は、静かで温かかった。
燈也はしばらく黙り込み、視線を落とす。
言葉にしてしまえば、後戻りできなくなる気がした。
――それでも。
「……死者と会える方法って……ないのか?」
迷いを押し殺し、燈也は問いかけた。
空気が、わずかに張り詰める。
「ほう……」
神奈は目を細め、燈也の顔をじっと見つめた。
「冗談……ではなさそうじゃの?」
「……ああ」
燈也は視線を逸らさず、真っ直ぐに見つめ返した。
その瞳に宿る覚悟を、神奈は見逃さなかった。
「ふむ……」
神奈は顎に手を当て、少しの間考え込む。
やがて、静かに口を開いた。
「……あるには、ある」
燈也の胸が、大きく脈打つ。
「じゃが……」
神奈は言葉を区切る。
「わっちのように霊力の高い者ならともかく、常人には……」
「まず、“見る”ことすら出来ぬじゃろう」
「それこそ……」
一拍置いて、神奈は告げた。
「蘇生術でも使わぬ限りな」
「……蘇生って、まさか……」
燈也は思わず声を上げた。
神奈は小さく頷く。
「……そうじゃ」
その声には、わずかな重みがあった。
「時間支配、犠牲と並ぶ――三大禁忌の一つじゃ」
――三大禁忌。
使用が制限された魔法やアイテムは数多く存在するが、
その中でも三大禁忌魔法は別格だ。
世界の根幹に干渉する程の術であることから、
使用は絶対禁忌とされ、魔法協会によって厳格に封じられている禁術。
触れることすら許されず、
使用者すれば永久に投獄される――
それほど危険な存在。
「……まさしく」
燈也は、喉を鳴らしながら呟いた。
「禁断の技ってわけか……」
「けど……実際に、死者を蘇らせるなんて出来るのかよ?」
自分で口にしておきながら、その言葉の重さに胸が軋む。
死者を甦らせる――それは神話の領域であり、人が踏み込んではならない神の御業だ。
禁術と呼ばれているとはいえ、本当に“そんなものが存在する”など、にわかには信じがたい。
「……不可能ではない」
静かに、しかし断言するように神奈が答えた。
「え……あるのか?」
思わず声が裏返る。
燈也は目を見開き、神奈の顔を凝視した。
「肉体を蘇らせる程度であれば、熟練の魔法使いなら可能じゃろう……」
淡々と語られるその内容は、逆に現実味がなく恐ろしい。
「じゃが、肝心の“魂”となると話は変わってくる」
「……どういうことだ?」
燈也は首を傾げる。
「ヌシも知っておろう。魔法は無限に使える力ではない。
必ず、相応の対価が必要となる」
神奈は一冊の分厚い書を指でなぞりながら続ける。
「魂を呼び戻す……すなわち“理”そのものを捻じ曲げるとなれば、それに見合う代償が要る。
例えば――多くの、生贄じゃな」
その言葉を聞いた瞬間、燈也の背筋に冷たいものが走った。
(つまり……誰かを蘇らせるには、誰かが死ななきゃいけないってことか……)
「生贄、か……」
乾いた声が喉から零れる。
「そりゃあ……禁止にされるわけだな」
「その通りじゃ」
神奈は小さく頷いた。
「まぁ、禁止されておらずとも、そもそも人間に出来るものではないがの。生贄を用意できたとしても
並の魔力では、話にもならん」
燈也は唇を噛みしめる。
必要とされる力は、人の身には余る。
だからこそ“禁忌”として封じられているのだ。
「なぁ……もし、それが用意できたら――」
そこまで言いかけた瞬間、神奈が先に口を開いた。
「やめておくのじゃな」
静かながら、はっきりとした声音だった。
「……その先は、決して幸せな結末にはならぬよ」
怒りも拒絶もない、しかし一切の迷いも許さない、確固たる声音。
「なぜだ……?」
縋るような問いだった。
ほんの僅かでも、“可能性”があるのなら――そんな期待を込めて。
「血塗られた力で蘇る魂に、もはや“祝福”はない」
神奈は視線を伏せ、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「生き返ったとしても、それはもう“呪われた”魂じゃ。」
その声には、確かに悲しみが滲んでいた。
まるで、かつて同じ結末を見届けたことがあるかのように。
「それを、心から喜べる者など……おるまいよ」
「……そうだよな」
燈也は俯き、拳を握る。
――誰かを犠牲にしてまで蘇るなんて、
あいつが望むわけがない――
その答えは、ずっと心の奥にあった。
ただ、目を逸らしていただけだ。
今さらながら、その事実が胸に重くのしかかる。
希望を探していたはずなのに、辿り着いたのは“否定”だった。
それでも――
燈也の拳は、まだ解かれなかった。
諦めるには、あまりにも大切な想いが、そこにあったから。
「……魔法で、何でも出来るわけじゃないよな」
燈也の呟きは、誰に向けたものでもなかった。
積み重なった書物と、解決の糸口すら見えない現実に向けて、零れ落ちただけの独り言。
静まり返った大図書室では、その小さな声ですら、やけに大きく響いた。
「そうじゃな」
神奈は、穏やかな眼差しで頷く。
否定でも慰めでもない、すべてを受け止めた上での一言だった。
「気休めかもしれんが……魔法とは元々、“願い”が形となったもの。
願うことを諦めなければ、あるいは――」
その先は語られなかった。
しかし、言葉が途切れたその瞬間――
――夢の最後まで――
その言葉が、脳裏に蘇る。
セレナが去り際に残した、あの意味深な一言。
「……分かってるさ」
燈也はゆっくりと顔を上げる。
その瞳には、先ほどまでの迷いはなかった。
「俺は諦めない。最後までな」
その声音には、確かな決意が宿っていた。
「カカカ!!」
神奈が愉快そうに笑う。
「その意気じゃ。起こしてみせよ。
“奇跡”という名の魔法を!!」
「ああ!」
燈也は再び机に向かい、山のような資料に手を伸ばす。
「奇跡でも何でも、起こしてやろうじゃねーか!」
紙の擦れる音だけが、静まり返った大図書室に響く。
外はとっくに闇に沈み、窓の向こうには星明かりが瞬いていた。
(……頑張るのじゃ、少年)
神奈はその背中を見つめ、心の中で呟いた。
(ヌシのような者が、次の“魔法”を創っていくのじゃからな……)
夜の図書室に、少年の執念だけが、静かに燃え続けていた。
***
自室の机には、資料やノートが散乱していた。
夜も深まり、外は街灯の光だけが窓ガラスに反射している。
「こんな夜遅くまで無理は良くないわよ」
リエラの柔らかな声が、静まり返った部屋に静かに響いた。
「ななちゃんの事でしょ?」
燈也の背後にそっと寄り添うように、リエラは机の上に手を置く。
長い髪が夜の光をわずかに反射し、優しい影を落とした。
「お前には全部お見通しか…」
燈也は少し驚きながらも、ふっと力の抜けた笑みを漏らす。
目の奥には、焦りと諦めきれない想いがちらりと光った。
「何があったの?」
リエラは問いかける。
ただの好奇心ではなく、心配が滲んだ声だった。
「ななが……忘れられていってる……」
燈也は視線を落とし、指先で資料の端を軽く触れる。
苦悩と苛立ちが入り混じった表情だ。
「関係が薄かった連中から、次々と……」
言葉に詰まりながらも、燈也は現状を説明する。
目の奥には、仲間や大切な存在が徐々に消えていく恐怖があった。
「そんな……」
リエラは悲しそうな顔をした。
その表情に、燈也は胸が締め付けられるような思いを覚える。
「親衛隊だけじゃない……いずれ俺達も……」
暗い声で、燈也は自分の胸の中を吐露した。
絶望の影が、一瞬だけ部屋の空気を冷たく染める。
「だ……大丈夫よ。私達が忘れるわけないわ!それにライブまでもう少しじゃない」
リエラの声は強く、温かく、希望を含んでいた。
その声に、燈也の胸の奥に微かな光が灯る。
「……そうだよな。ありがとう」
燈也は優しく微笑む。
笑顔の端には、まだ残る決意の影。
そして――胸の中で、強く誓う。
――ななの願いを、絶対に叶えてやるんだ。
その為にも、せめてライブまでは、何としてでも……
窓の外に広がる夜景が、二人の小さな決意を、静かに包み込んでいた。
次回予告 『第23想 亡却の奏』
ライブ本番は、明日。
だがその直前、世界から少しずつ――幽霊少女・ななの記憶が消え始める。
名前を呼べない。
姿を思い出せない。
そしてついに、仲間たちの心からも、ななの存在が薄れていく。
抗えない運命に、追い詰められる燈也たち。
それでも、消えゆく想いの先に残るものは――。
絶望の中で、彼らはななの願いを叶えることができるのか。




