出入りは自由?②
元々、大した荷物はなかった。僕は、ほんの一二時間で身支度を整えて、お屋敷を出た。ベルさんは玄関まで、見送りに来てくれた。シャルロット様は来なかった。
「本当に行くのですか、クリム・ホワイト」
「はい。こればかりは、仕方ないので」
「スクエラさんが嫌いなのですか?」
「まさか」
「だったら、なぜ……」
「言ったでしょう。答えられません」
「……」
ベルさんはくしゃっと眉間にしわをよせた。不思議と非難されている気はしない。なんというか「悔しい」という気配を感じた。
「いずれ、戻るのですよね?」
ベルさんは小声で言った。
「シャルロット様はいまは怒っていますが、落ち着いたら後悔するはずです。その時になれば、戻ってくるのでしょう?」
「……どうでしょう。わかりません」
「まさか、シャルロット様が謝るまで戻らない、などと言わないでしょうね」
「そんなつもりは毛頭ありませんが……。落ち着いたら許してくれる、なんてことはないと思いますよ」
「そうでしょうか」
「そうですよ。僕はベルさんとは違うんですから」
「そんなことは……」
ベルさんが言いよどんでいる間に、僕は会釈をした。
「では。お二人とも、お元気で」
「はい。クリム・ホワイト、あなたも、元気で……」
ベルさんに手を振って、屋敷を後にした。
こうして、僕はシャルロット様の執事をクビになった。




