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10.鉄筋建築試作_ドラフト図面作成編

<新規技術>

ボルト固定

ダイス

レンチ

てこの原理

電蝕

10.鉄筋建築試作_ドラフト図面作成編


午後、鉄筋建築の試作図面を持ってシモーネが城にやってきた。

徹夜で考えたそうで、400坪ぐらい、3階建ての建物である。


3階建てなので、太い鉄骨材は必要ないか。


早速鉄筋とコンクリート、ベニヤ材の準備を始めているそうで、仕事が早い。


「ここ、城の門の脇のところに建てよう。」


国王、図面を見て、

「1階から2階に上下水道の通るパイプと暖炉の煙を逃がすパイプ、予備のパイプ貫通穴を準備しておいてくれないか?」


「予備のパイプ?」


「0.01mくらいの直径のパイプ。」


将来電気の配線を通すためである。


電気と家庭で使う電気製品のことを今度説明しなければならないな。


「あと床は水平にしなければならない。木材をくりぬき、そこに水を入れ、水平線を引き、水面が平行かどうか確認する器具を作るんだ。」


原始的な水平器ではある。


窓枠はアルミに近いアダマンタイトで作りたいところだが、


「窓枠は鉄で作ろう。」


その場でシモーヌが図面を修正していく。


「1つ質問がありますわ。水はどうやって確保すればよいでしょうか?」


「個々の噴水の水を見てもらえばわかるが、城のすぐ山のわきから水が出ていて、高いところから、ごみを取り除くため、スポンジの様な素材を通し、パイプに水を流し込めばよい。」


通常、城というものは、防衛の関係上、山や大地の高くなっている部分に建てるのだが、レンネ城は山の中腹の開けたところにに立っている。


余程周囲の国から攻め込まれたことはないのか、不思議ではある。

そのため、山の上のほうから流れている水を入手できるという利便性はあるが。


「あと、建物を建てる前に土台に強度を持たせなければならない。建物の上下に続く柱のところの土台について、深く穴を掘り、10mくらいか、穴を掘り、ここだけは鉄骨で補強する。10mくらいの鉄骨はつくれるか?」


「それくらいなら。いま製鉄工所で作れる鉄骨は12m位が最大ですわ。」


「では、土台は鉄骨で作ろう。縦の鉄骨と横の鉄骨を固定するとき、ボルトで固定するんだ。」


「ボルト?」


日本では、ボルトについて、M〇〇という様にサイズがあり、必要な強度などで選択していたが、その旨と、形状を記入し説明する。


「分かりましたわ。」


不思議な顔をして、シモーヌはこちらを見る。

ボルトを固定するためのレンチ工具とねじ山の作り方(ダイスという治具を作り、回転させて作る。)も説明する。


ダイス:丸い円盤状の治具で、円盤の真ん中に穴が開いており、その穴に、ねじ山を作るための溝がある。この溝のほかに穴が開いており、この器具に丸い棒を入れ、回転させたとき、このダイスの溝がねじ穴を作る。ねじ穴を作った時の金属かすは、溝の切れ間から外に排出される。


この原理をシモーヌに説明した。


レンチにはトルクリミッタ(それ以上の力でボルトなどを締め付けられない様、力を抑える機能。)

もつけたいところだが。この次にしよう。


「この様な工具、思いもしませんでしたわ。」


結構な量の材料をここまで運ばなければならない。今度台車の改良もしよう。


「1つ質問がありますわ。ベニヤ板を固定して、セメントの型を作るとき、どうやって固定すればいいのでしょう。」


どこかの司会者風に、いい質問ですね、と、心の中でつぶやく。


「ベニヤとベニヤも鉄筋を通し固定すればいい。そこにコンクリートを流し込み、コンクリートが固まったら、鉄筋を切断し、ベニヤをはがす。」


「そうすると鉄筋を切断する工具が必要ですね。魔導士の呪文「エアカッター」で切断してもよいですわ。」


「魔法を使える人材は限られている。ワイヤカッターを作ろう。刃の部分の強度を高め、柄の部分を長くすれば、てこの原理で、太い材料も切れる。」


「てこ?」


この世界、物理原則を利用した道具が意外と少ないようだ。魔法で作業できてしまうので。この世界の魔導士、モンスターを討伐するほかに、ギルドで、こういった作業依頼で稼いでいるらしい。


道具が復旧し、魔導士が失業しないようにしなければならないな。


「”てこ”とは、力点(力を加えるところ)、支点(支えるところ)、作用点(作業を行うところ)という、バランスでできた原理で、ワイヤカッターだと、刃の部分が作用点、刃と刃を固定するピンの部分が支点、作業者が手で持ち、力を加えるところが力点だ。作用点と支点が近く、力点の距離が長くなると、作用点に対する力が強くなるんだ。」


実は元知事、建設会社も運営していたことがあり、ここら辺の知識はある。

元建築会社運営者が政治家ということで、知事時代、結構疑いと批判を受けたことがあるが。


「あと、刃の強度を高める為、違う金属を利用する時、気を付けなければならない。

電蝕でんしょく”という現象が発生する場合があるから。」


「電蝕?」


シモーヌにとっては新しいワードである。


電蝕とは異なる金属を合わせてつなぎ、金属内のイオンの流れが発生し、電気が発生する。(イオン化傾向。最近某スーパーにばかり買い物に行っている、ということではない。)日本では自動車など、電気の流れが発生しない様に、めっきを工夫する等絶縁をしていた様だが。


「あー、以前アダマンタイトと鉄を組み合わせたプレートメールを試作した時、アダマンタイトがボロボロになったのは、こういうことですか?」


「ところで電気ってなんですか? 魔導士の使うサンダーボルトですか?」


「今度説明する。」


話によると、アダマンタイトは高いので、鉄材と組み合わて、軽くて費用の掛からない、プレートメールを作ろうとしたらしい。


「例えば、以前教えてもらった、ブニの木からとれるブニ材(ゴムと似たもの)を絶縁として使うとか。」


説明することはまだまだ多い。


いつの間にか、内政大臣と王子が来ていたが、シモーヌとの会話に入れず、困惑をしていた。


「とりあえず、材料を集め、運んできますわ。」


と言って、シモーヌは製鉄工所に戻っていった。


内政大臣曰く、


「おかしい」を繰り返すばかり。


王子はいちおう鉄筋の建物に興味は持ってくれているが、私(国王)の変わり様がやはり気になるようだ。


魔導士、魔法、魔法導力研究所に視察に行ってみよう。

作者のうしねこです。

国王のどこから出てきたかわからない知識に、内政大臣と王子は戸惑うばかり。シモーヌは興味を持ってくれているようですが。

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