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山賊リーグへようこそ  作者: 十七夜
5:仲間たち
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仲間3

「おまえは?」


翔の問いに答えることなく、猿渡は階段に置いていた学ランを拾いあげた。

引き上げる気なのかと見ていると、白い封筒らしきものを取りだして、翔の方に向き直る。


「──司が言っていた。失敗したあとじゃなく、プロになる前にあそこに来たおまえはすばらしく賢明だ、ってな」


翔は、おもわずまばたいた。


「ケンメイってなに?」

「賢い判断だ、って意味だろう。あの、サッカーやってるやつにはバカしかいない、が口癖だったやつに、賢いと言わせるなんてな」

「俺、賢いの? マジで?」


数歩、歩み寄った翔に向かって、猿渡が封筒を差し出す。

翔はけげんにおもいながら、側までボールを蹴り蹴り寄って行った。

封筒の宛て名には、猿渡望とある。

封はすでに切られており、どこか紙もくたびれていた。


「……俺が知っていて、おまえにおしえてやれることは、それだけだ。プロになるおまえが知っておけば、一度くらいは、穴に落ちる前に助けてもらえるかもな」


それ、というのは手紙に書かれている内容を指すのだろう。

おず、と出した翔の手のひらに、猿渡が封筒を載せてくれる。

取り出した便箋は、二、三枚といわない厚みがあった。

ちら、と猿渡の顔に視線をやってから、翔は文面に目を落とす。


──望、愛するおまえにどうしてもざんげしたくて、これを書く。


書き出しに、翔はぎょっとした。

味気ない白便箋といい、丸みのない力強い文字といい、口調といい、これを書いたのはどう考えても男にちがいないのに。


「これって…………ラブレター?」

「何でそうなる!」

「だって、おまえ、エンコーしてんじゃん。このテの趣味の男に気をつけろってこと? いやそれ、口で言えば良くない? 何も、もらったラブレター見せびらかさなくたってさ」

「エンコー? 援交って言ったのか、今? 寝言は寝て言え、バカ!」

「バカは自分じゃん。男のひとと、ホテルに入って行ったくせに。見たんだからな、背の高い男といちゃつきながら歩いてるの!」


ぱくぱく、と鯉のように猿渡が空気を食む。

返すことばがないのだろう、とどこか勝ち誇っていた翔の顔に、便箋のうしろから引き抜いた封筒をぺしっ、と猿渡が叩きつけた。


「いて!」


と言うほど痛くはなかったが、翔はとっさに目をつむってしまう。


「あれは、俺の、……父親だ」


後半は、ごにょごにょと聞こえただけで、はっきり言って誤魔化しにしか聞こえない。


「うっそだー。口調からして超ウソくさいし。第一、あのひと、どう見ても三十ちょいで、健太さんたちとおなじくらいだったもん。うちのパパ、四十代だし、若すぎ。無理がある」


ハァ、と猿渡が重いため息をついた。


「若いさ。十九のときの子らしいから。健さんよりひとつ上だ。おまえ、顔見たんだろ?」


猿渡があごをしゃくる。

翔は、便箋の上に落ちてきていた封筒に目をやった。



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