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今際の際に人生最大の愛を叫ぶ  作者: アルファベータ
第二部

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第2話 不可解な一日

◇◆◇


プロローグ 美月の行動について


美月と出会って、もう三年になる。

振り返ってみれば、あっという間だった。


笑った記憶も、喧嘩した記憶も、

全部が今の俺を形作っている。


彼女はいつも俺のことを気にかけてくれる。

体調、気分、授業のこと、友達関係。


少し過剰なくらいに心配してくれて、

それがくすぐったくて、

同時に誇らしかった。


自慢の恋人だ。

胸を張ってそう言える。


ただ――

時々、美月の言動に小さな違和感を覚えることがある。


「神谷には気をつけて」


「冬真は素直すぎるから、

 たまには疑うこともしないと」


まるで、これから起こる何かを知っているみたいな言い方。


俺の性格を心配してくれるのはありがたいけど、どうして神谷の名前が、

そこまで頻繁に出てくるんだろう。


神谷は、今では普通に話す相手だ。

冗談を言い合って、

放課後も一緒に帰ることがある。


何か企んでいるようには、とても見えない。


だから、美月の忠告は少しだけ不思議だった。


そして最近、学校の帰り道で、

彼女が何かを落としていった。


薄い紙切れ。

拾い上げた瞬間、胸がざわついた。

そこに書かれた文字が、

妙に俺の字に似ていたからだ。


――美月を守る。

――絶対に、同じ未来を繰り返さない。


……俺、こんなこと書いた覚えあったっけ。


筆圧も、癖も、間違いなく俺に近い。

でも記憶がない。


まるで、知らない自分が残したメッセージみたいで、その紙を見ていると、理由のない不安が込み上げてきた。



◇◆◇


冬真……今日も神谷と話していたなぁ。

笑顔で、何でもない会話をしながら。


――でも、本当に大丈夫なのかな。


冬真は素直すぎる。

人を疑うことを、ほとんどしない。

だからこそ、誰かに騙される未来を、

私は何度も、何度も見てきた。


この胸騒ぎの正体は、きっとそれだ。

そう自分に言い聞かせながら、

私は彼に助言する。


「神谷くんには、

 ちょっと気をつけたほうがいいよ」


「冬真、優しすぎるから……」


おせっかいだって分かってる。

でも、全部冬真のため。


彼を守るためなら、嫌われてもいい。


「また明日ね! しっかり休んでね〜」


明るく手を振りながらも、

心の中では何度も彼の無事を祈っていた。


下校中も、

ふとした瞬間に冬真の顔が浮かぶ。


変なことを言っていないか。

余計なことをしていないか。


きっと彼からしたら、

私は“ちょっと不思議な子”なんだろう。


家に帰って、

鞄の中を整理していたときだった。


あるはずのものが、ないことに気づく。


――冬真のメモ。


あの紙。

何度も書き直して、折り畳んで、

肌身離さず持っていたもの。


……落とした?


もし冬真があれを見たら、

きっと怪しむ。

問い詰められるかもしれない。


そのとき、私は何て言えばいいんだろう。

正直に話せるはずがない。

だって、あの紙のことを話したら――

全部、壊れてしまう気がするから。


◇◆◇


エピローグ 冬真の違和感


ベッドに横になっても、

あの紙のことが頭から離れなかった。


一体、あれは何だったんだろう。

どうして俺の字に似ていたんだろう。

どうして、美月が持っていたんだろう。


答えのない疑問が、胸の奥で渦を巻く。

けれど、今は考えても仕方ない。


――また明日、聞いてみよう。

そう決めて、目を閉じた。


眠りに落ちる直前、

言いようのない不安が胸を締めつける。


この違和感が、

ただの考えすぎで終わればいいのに――

そう願いながら、俺は静かに眠りについた。


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