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今際の際に人生最大の愛を叫ぶ  作者: アルファベータ
第一部

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5/15

最終話 今際の際に人生最大の愛を叫ぶ


◇◆◇


翌朝。


雨上がりの光が、窓から差し込む。

教室はいつも通りの朝のざわめきで満ちていた。


しかし、

そこにいるはずの冬真の姿はなかった。

もちろん、神谷も。


昨日まで、隣にあった彼の笑顔も、

温もりも――すべて消え去っていた。


美月は、

机の上に置かれた紙切れを握りしめる。


それは、彼の手から落ちたメモだった。


「美月。守る……お前を……愛してる……」


文字を読むたびに胸が締めつけられる。

涙が止まらなかった。


「冬真……どうして……」


◇◆◇


学校を出ると、街の景色が微かに揺れた。

景色が波打ち、色彩が変わる。


次の瞬間、美月は立っていたのは、

見覚えのない古い道、いや――3年前、

冬真と初めて出会った頃の街角だった。


「……ここは……?」


風が、当時の匂いを運ぶ。


校舎の裏で小さく笑う少年の姿。

それが――冬真だった。


彼はまだ純粋で、何も知らない。


その目は、

未来の悲劇を知らないまま輝いていた。


美月は立ちすくむ。


心の中で、

これまでの出来事が走馬灯のように蘇る。


彼の死、復讐、涙、愛――

すべてが、胸に刻まれている。


「私だけが……覚えてるの?」


◇◆◇


冬真は、見知らぬ少女に気づく。


「……君、誰?」


美月は微笑む。


その瞳には、

3年間のすべての思いが映っていた。


悲しみも、愛も、決意も、すべてを込めて。


「……私、美月。

 これから、よろしくね。」


冬真は首をかしげるが、

その笑顔は自然だった。


何も知らない、無垢な笑顔。

それが美月の心を温かくする。


「これで……やっと、幸せにできる。」


◇◆◇


時はゆっくり流れる。


学校の廊下も、校庭も、教室も、

すべてが普通の日常に戻っていた。


美月は毎日、冬真を見守りながら、

静かに心の中で誓う。


「もう二度と、悲しい思いはさせない。

 あなたと私は、きっと、幸せになる。」


◇◆◇


ある日の放課後、

二人は図書室で初めて言葉を交わす。


「冬真くん、今日、勉強教えてくれる?」

「もちろん、美月ちゃん。」


笑い声が廊下に響く。

誰も知らない、二人だけの時間。


そして、未来は再び穏やかに、

柔らかく動き始める。


◇◆◇


美月は小さな手を握りながら、

そっと心の中でつぶやく。


「ありがとう……冬真。あなたに出会えてよかった。 今度こそ、永遠に。」


青空の下、二人の影が重なり合う。


過去の悲しみも、

復讐も、涙も、すべては消え去った。


きっとうまくいく。


この、二人だけの“新しい始まり”が、

ここにあった。


◇◆◇


エピローグ


冬真は何も知らない。


美月だけが知っている、

冬真の命を懸けた愛の記憶。


しかし、その記憶は悲しみではなく、

希望だった。


運命を乗り越えた先に、

二人はやっと、幸せになれる。


「人生最大の愛――叫ぶ必要はない。

 もう、ずっと一緒にいられるから。」


◇◆◇



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