第5章 無事なスタート
時は過ぎ7日。
時の流れは感情とは関係なく過ぎてゆく。
あの世界の秒針もまた元に戻ってゆく。
次、現実に帰られるのはいつの事なのか?
誰も答えを知らない。
その答えは勇者にかかっている。
こんな事が起これば普通の人は平然としてられない。
もし平然としていられる人がいれば「勇者」と言えるだろう。
〈RDF〉が完成して既に4年。
まだ誰一人、エンディング映像を目にしていない。
それが勇者はクリアしようとしたのだ。
だが、本人たちが気づいてはいない情愛で始まる。
只のゲームならもっと簡単でも良いのでは?
クリアされた時は現実をも変える事が出来るとしたら。
君は願いが何でも一つ叶うとしたら何を願う?
実は誰も知らない話……より
円柱状の狭い場所。周りは白一色、前にはゲームのローディング画面のように模擬プレ
イ映像が流れている。これがこの世界に来る時の方法だと感じた。
「到着いたしました。それではごゆっくりお過ごしください」
エレベーターのように扉が開き、目の前に白い一面が広がる。歩かなくても勝手に排出
され、ギルドにへと出ていた。今回はバグらなくて済んだようだ。
*通常に転送されて安心する、俺。
【テヘラン】のギルド内装は外と違い水色が貴重とされている。もちろん冷房が効いて
いるが、熱い所ならではの眼でも涼しい「清涼感」のある工夫された色なのだろう。
「っん?」
あれ? 「モ 武男」がおかしくしたはずの国がすごいにぎやか……。食事も豪華……。
目線の先のテーブルには新しい服を買ったのだろうか? エリシアと現実に戻る時と服
装を変えたクーベが座っていた。
「カジュアル兄さん。私と事前奴隷契約しない~? 美女と二人きりだよ」
「逆ナンすか。俺なんか魅力的じゃないっすよ」
二人とも見て見ぬふりしてるのには気づいているからな。それに俺なんか、モデルぐら
いにしかスカウトされない奴だぞ。
*世間の男って、端からスカウトされるのだろ。それに比べたら気の毒だな、俺。
「顔がイケメン、背が高い、センスもいいし。一緒に来てよ」
「すまんな……」
速攻のお断り
センスって……俺は、模様のある黒のスキニパンツ、灰色のTシャツ、膝まであるコー
トだ。普通の服装なんだが。嫌でも周りからはカッコよく見えるようだ。
「私は?」「ほら巨乳だよ」「私とも事前奴隷してよ~」
なんてゆう女性が周りに集まってきた。来たとたんこれとかマジ疲れるんだけど。
「ガキじゃねーよ‼」
「ガキだよねぇ」
はいガキです。れっきとした17歳のガキです。嘘つきました。それは「ジョーク」で
いいとしても明らかに空気が変わった。後方に鉄の鎧を着たごつい5人組がいる。
*いまどき鉄の鎧なんて草と思う、俺。
「よう! ガキ。そんな美女たちに囲まれて断るとはいい度胸してるじゃないか」
「何かようか? 特にねえなら、急いでるからそこを通してもらいたいんだが」
「気に入ったぜ、ガキ」
その5人組が話しかけてきた。いろんな意味で有名なのかみんな避けている。恐らくこ
の後、1戦する羽目になるのだろうか? 物は試し
「断る。だが、俺たちは近いうちに【メデジン】に行く。勝手で悪いがそこでなら受け
てやってもいいぞ」
「ほんとに生意気にガキだ。俺たちの言いたいことを予想して先回りするなんてな」
予想する必要ないよな……。だって、ラノベの定番じゃん。ガラの悪い男組みが出てき
て、あっさりと倒すなんて。
*この後は吹っ飛ばされるのかな? 流石に震える、俺。
「いいだろう。偶然だが俺達も【メデジン】の長期滞在をする。だが一つ、次会う時は
闘えるようにしとけよ。装備と実力もな。ハァァァァ」
「感謝する。」
「精々がんばれよ」「負けるな」
その仲間が言葉を残して去っていった。何のために来たのだろう?
いつの間にか周りにいた女もいなくなり元通りになっていた。端末を取り出しLINE
を起動する。なぜか、ゲーム内の連絡手段もこれである。
快斗:先いくぞ
エリシア:おいてくの?
クーベ:約束とちがうぞ
快斗:あァー? とにかく距離を取ってついてこい
エリシア:ん……?
クーベ:了
俺は早足でギルドを出る……やっぱ勘違いじゃなかったみたいだ。明らかに試練に行く
前とは光景が違い賑やかなのだ。人ががやがやし、空にはタクシー、通りにはお店なの
だ。
俺は空タクシーを手配し乗り込む。数秒後
「久しぶりだな」「快斗~」
みんな乗り込んだ。
「出発するぞ」
行先を入力すると上空に上がり進み始めた。AIとはすごいと思う。もちろんこの世界
の乗り物などすべてタクシーだ。もちろんMY CARも持てるが、タクシーで移動し
た方が楽だ。現実と違い、レク○ス、シ○レー、のような高級車も通常料金と然程変わ
らずで乗れる。
「それで、合流しなかった理由は?」
「納得できる説明を希望する」
「単純明解。俺たちが仲間だと知られると、今後無駄に絡まれそうだからだ」
「そんな理由……意外と快斗、細かいとこ気にするね」
「お前、あれはついているんだよな?」
別に気にしてる訳ではないのだが……。人生1度きり、無駄なところに時間を使わず有
効に使いたいそれだけの話である。これもたまに思うだけなのだが……。それと、まだ
有名人にあまりなりたくないからな。だって、さっきのように1戦申し込まれて、あっ
さり倒したいし。
王宮にはもう少しで着く。その間はとても静かだった。みんな何を考えているのだろう?
なぜなのだろう? 俺は1度も現実に帰りたいと思っていない。現実逃避したいよう
なこともない。現実が嫌でもない。だからと言ってこの世界が好きでもない。この感覚
は何だろう……。今考えても答えは見つかりそうではない。
『目的地に到着いたしました』
アナウンスとともに現実に引き戻される。今の何だったのだろう? 俺たちは久しぶり
に王宮に足を下した。
「ねえ、あきらかに活気戻ってない?」
「それな。なんでここまで活気が戻ってるんだ」
「町とはこんな賑やかなのだな」
クーベは今まで見たことが無かったのか、初めて動物を見る子供のようだ。だが、何と
なく予想もつくが。この国にも警察的なものは存在する。




