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パスバイクローンズ  作者: 面映唯
第一章
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 明日が晴れたらなんて、普段から願ったことはない。


 小学校の運動会や中学校の強歩大会の前日。その日になって、初めて「晴れて欲しい」なんて願おうとする。時がだんだん近づくにつれて、自分の中の高揚と現実感が増して、そこでやっと「晴れればいいな」と願う。


 当日。晴れれば、願ったことなんて忘れる。雨が降れば、「ああ雨か」と思いながら願ったことなんて忘れる。


 だから前日。ティッシュ箱から、取られた紙をくしゃくしゃに丸め、もう一枚箱から取り出した紙でそれを覆う。はみ出た部分を残すように、セロハンテープを巻く。マジックで線を三本引く。縦、縦、横。


 部屋の窓を開ければ、ベランダを支える柱と柱の間から暗い空が覗ける。柱に当たる雨粒の音が、その大きさと激しさを象徴している。


 坊主の頭にセロハンテープの下半分を張った。薄汚れた家の壁に上半分を押し付ける。


 声にはならないような、小さな声で、心の中で、自分の中で、こう叫ぶ。




「あーしたてんきになーあれ」


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