第8話:暴走、影喰の永瑠
◇◇◇
#1 永瑠、覚醒(という名の暴走)
永瑠の足元から紅い影が噴き出し、闇が霧のように立ち昇る。彼女の黒髪が無風でふわりと浮かび上がり、瞳は深紅に輝く。
蒼真
「……え、ちょ……永瑠さん……!?
完全に悪役モードじゃない!?
ヒロインじゃなかった!?
絶対ラスボス側の立ち絵じゃんこれ!!」
永瑠
「黙って。今、集中してる。」
(声もなんか艶やかで危険な感じ!!!)
モンスター
「ほう……血が暴走し始めたか。影喰“シャドウ・ドレイン”……。
その力は、ネオヴァンパイアの血統でも最上位の——」
永瑠
「五月蠅い。」
紅い影が一閃した。
次の瞬間、モンスターの巨体が数メートル後退していた。
蒼真
「えっっ!?速っ!?
見えなかったんだが!?!?」
永瑠
「蒼真、さっきはありがとう。
……あなたのおかげで血の乱れが整った。」
蒼真
(死ぬほど照れるんだが……!?
こ、この子……素が出ると……
なんか、カッコよくて可愛くて……
なんだよこのヒロイン……!?)
永瑠
「……でも、まだ止まらない。
暴れたい。」
蒼真
「え?今なんて言った?」
永瑠
「暴れたい。」
蒼真
(やっぱりちょっと怖い!!)
◇◇◇
#2 蒼真、限界突破の“反射予知”
獣が咆哮し、灼熱の炎の奔流を永瑠へ放つ。
永瑠
「——ッ!」
永瑠の身体が微かにふらつく。吸血衝動による再生限界が近づいている。
蒼真
「……ッ!!」
未来が再び“閃く”。
蒼真
「永瑠、下がれッ!!」
彼は永瑠の腕を引き寄せ、刀を構えたまま横へ跳んだ。
炎の奔流が通り過ぎ、地面を焦がす。
永瑠
「蒼真……?」
蒼真
「わかんない!!なんでかわかんないけど……。勝手に動くんだよ体が!!
俺じゃない誰かが“こう動け”って言ってる!!」
永瑠
(これは、ユニークスキルの片鱗……?)
◇◇◇
#3 モンスター、突然“説法”を始める
モンスター
「……なるほど。
蒼真、貴様の魂には“覚醒者”の記憶が宿っている。そして永瑠、お前の暴走……
この二つが揃ったということは——」
蒼真
「え、ちょっ、敵のくせに普通に喋る!?
え!?今までの威圧感どうした!?
口調まで丁寧になった!?」
永瑠
「……戦闘中なのに余裕ね。」
モンスター
「もちろんだ。……ただし、お前達に用があるのは戦闘ではない。」
永瑠・蒼真
「「え」」
モンスター
「目的は“確認”だ。
お前達二人が、ネオヴァンパイアと光の騎士の『魂環』を継ぐ者かどうか。
それを確かめるために、ここに降りた。」
蒼真
「いや、なに、その情報量!!
ちょ、なら殺す気なかったのかよ!?」
モンスター
「多少は殺すつもりだった。」
蒼真
「おい!!!???」
永瑠
「“多少”って何。」
モンスター
「確かめるついでに人間のサンプルを一つくらい……」
蒼真
「サンプルとか言うな!!俺をオマケ扱いするな!!」
◇◇◇
#4 最後の一撃 — “共闘”
モンスター
「では次で最後の確認だ。
“魂環の共鳴”が起こるかどうか。」
モンスターが地面を蹴り、蒼真へ向かって飛びかかる。
永瑠
「蒼真!!」
蒼真
「わかってる!!永瑠!!
同じタイミングで——跳べ!!」
二人
「「——ッ!!」
未来予測の“閃き”と
ネオヴァンパイアの“瞬速”が
完璧に同期する。
永瑠がモンスターの背に紅い影爪を突き立て、蒼真が《焔生》を胸元へ叩き込む。
モンスター
「……ッ!!
認めよう……
二人は確かに——魂環の後継……」
黒い靄となり、
モンスターは空へ消えていった。
◇◇◇
#5 残された“謎の言葉”
永瑠
「……終わった?」
蒼真
「みたいだな……
俺たち……勝ったのか……?」
永瑠
「……蒼真。」
蒼真
「ん?」
永瑠
「あなたの血……
ちょっとだけ、欲しい。」
蒼真
「おいやっぱりヒロインじゃなくてモンスター寄り!!!!!」
永瑠
「だって、我慢の限界……
……美味しそうな匂いしてる。」
蒼真
「やめてくれえええええええ!!」
黒い粉塵だけが静かに漂う河川敷で、
二人の追いかけっこが始まった。




