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第67話:絶対零度の敗北と竜の巣へ

◇◇◇



#1 中層での過信と永瑠の警告


ダンジョン中層。


Lv. 5になった蒼真は、AGI 35の速度で魔物を圧倒し始めていた。


蒼真:

「いける!未来予測とAGIで、敵が止まって見える!

この調子なら、七日あれば本当にルシェルを……」


永瑠:

「……馬鹿にしないで」


永瑠は冷たく言い放つ。


永瑠:

「ルシェルは、あなたが見た『未来の残像』を断ち切る。

彼の時間軸に、あなたの予測は存在しない。


もしこのダンジョンに、Lv. 20を超える魔物が現れたら、あなたは一秒も持たずに死ぬわ」


その時、蒼真の未来予測に激しいノイズが入った。



◇◇◇



#2 理不尽な絶望


通路の奥から、けたたましい咆哮と共に、二つの首を持つ巨大な影が姿を現した。


【ツインヘッド・ワイバーン:Lv. 22】


蒼真の全身の細胞が、「死」を叫んだ。


蒼真(心の声):

「(Lv. 22……?無理だ。これは、絶対に勝てない相手だ!)」


ワイバーンは、炎と氷のブレスを同時に吐き出す。


蒼真は反射的に焔生で防ごうとするが、その圧倒的な速度差に、未来予測すら役に立たない。


蒼真:

「ぐあぁっ!」


ブレスは蒼真を直撃せず、通路の壁を粉砕した。その破片が蒼真の全身を容赦なく叩きつける。


ノア:

「回避できません!情報の奔流が、蒼真さんの魂の処理速度を完全にオーバーロードしています!」



◇◇◇



#3 永瑠の献身


蒼真の骨が軋み、全身から血が吹き出す。永瑠は、蒼真を庇うように前に出る。


永瑠:

「ノア!魂環ソウルリンクの強制開放を!最大値で!」


永瑠は自らの腕の血管に爪を立て、ネオヴァンパイアの血を滲ませた。


彼女の全身のVIT(耐久)が一時的に『0』に近づき、その膨大なエネルギーが、二人の魂のリンクを通じて蒼真に流れ込んだ。


永瑠:

「未来を捨てて!この毒を乗り越えて、『今』を掴むのよ!」


蒼真の魂紋が、白い炎を噴き出し始める直前。


ワイバーンは、永瑠の行動に気づき、本能的に最大の物理攻撃を放った。

二つの首を振り抜き、巨大な尾が永瑠と蒼真を同時に叩きつける。


永瑠:

「しまっ——!」


ドガァン!!


永瑠は再生力で耐えるが、蒼真は、その衝撃で通路の壁を突き破り、そのまま地下深くへと続く巨大な縦穴(竜の巣)へと投げ出された。


永瑠:

「くっ……蒼真!!!」

ノア:

「蒼真さん!!」


蒼真は、高速で落下しながら、折れた肋骨が内臓を突き上げる激痛と、永瑠の苦痛に満ちた表情が焼き付くのを見た。


蒼真(心の声):

「(くそっ……こんなところで!!)」


永瑠の魂の献身エネルギーが、落下する蒼真のDEXを異常に高める。

彼は本能的に、刀を振り下ろし、落下軌道をわずかに修正した。



◇◇◇



#4 池ポチャ


落下速度が最大になったとき、縦穴の底に、淡く光を放つ青い泉がわずかに見えた。


ザブゥン!!


激しい水しぶきと共に、蒼真は泉の中へと沈んでいった。


蒼真は運良く、地面への衝突は間逃れた。


蒼真(心の声):

「(がぁ……は……ゴボゴボ……)」


しかし、意識は朦朧としながら泉の底へと沈んでいく……。



◇◇◇



#5 孤立と捜索開始


ノアと永瑠は、崩れた通路の端に立つ。ワイバーンは、獲物が落ちた穴を見下ろしてから、別の獲物を求めて去っていった。


ノア:

「蒼真さん……あの傷と、この深さ……生存率……0.8…%」


永瑠:

「馬鹿言わないで。」


永瑠は即座にノアの言葉を遮った。


その瞳には、ネオヴァンパイアの血族特有の、冷たい光が宿っている。


永瑠:

「蒼真が死ぬわけない!絶対生きてる!!」


ノア:

「はい……探しましょう!!」


永瑠:

「ノア、あなたは情報収集と魔力の補給に戻って。私は、この穴の周辺を徹底的に捜索する」


ノア:

「永瑠さん!?あなたの体力は」


永瑠:

「大丈夫。蒼真は必ず戻ってくる。それまで、諦めない」


永瑠とノアは、蒼真の捜索を開始した。




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