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第51章:ウィンター・セラフィス

◇◇◇



#1 焼け落ちた村 ― 運命の夜


目の奥が焼けるように痛い。

この映像は、俺のものじゃない。

けれど……確かに、俺は“そこ”にいた。



これは、時を巡り、残り続ける“想いの記憶”。忘れることのできない――大切な誰かの願い。


熱い……。


周囲を包む熱。それは暖かさではなく、世界を崩壊させる暴力的な熱だった。


夜空を赤く染め上げているのは、村を飲み込む炎の塊。

風が吹くたび、炭化した木片や灰が、黒い“廃墟の息”のように漂う。

鉄と血、そして木が燃える甘ったるい匂いが、肺の奥を焼いた。


混乱の中、ウィンターは身体の芯を冷やすように意識を集中させた。

蛇の紋章が刻まれた旗――それがこの暴虐の主体。

彼らは自らを「秩序」と名乗る。


ウィンター(心の声)

「正義の名のもとに、光は奪われた。

彼らの言う“秩序”とは、人が安心するために作った枠。

だが、それは今、我々を縛る檻となった」


ウィンター(心の声)

「統計的なパターンを導き出せ。

この炎の中で、最も効率よく姉さんを見つけ出すルートはどこだ?」


その時、近くの崩れた家の陰から、荒い咳と、必死に息を吸い込む音が聞こえた。


ウィンター

「……姉さん!」


ルーナだ。

肺が熱に灼かれているのが、その呼吸のリズムで理解できた。

彼女の心は、ただ一つの名を求めている。


ルーナ

「……ウィンターは……どこ……?」


ルーナの隣に、母が倒れていた。

血に染まった手が、何かを差し出す。

視界の隅で、その手から冷たい光がわずかに脈打つのを見た。


「ルーナ……これを……忘れないで……」


それは、セラフィス家の紋章が刻まれた古びた腕輪。

代々受け継がれてきた“想いの継承”の証。肌から離れたことで、その魔力的な暖かさが失われたのが分かった。


ウィンターは、自分の左手首を覆う硬質な腕輪を固く握りしめた。

これだけが、今、家族と繋がる唯一の物理的な“絆”だった。



◇◇◇



#2 捕縛 ― 秩序の檻


騎士団長

「ここは“秩序”の管理となった。刃向かうものは容赦はしない!捕らえろ!!」


鎧の音。鎖の音。


炎の熱の中、冷たい刃が閃いた。

思考が警告を発する。

回避可能確率は28%。だが、その回避行動を取れば、ルーナを庇い切れない。


決定。


ウィンターは迷わずルーナを背後に引き寄せ、最も致命傷にならない体勢で刃を受けた。


金属音が鳴り響き、同時に身体の中心から血が飛び散る感触。


ウィンター

「ぐはっ……!」


重く鈍い痛みが身体を蝕む。

意識が遠のきそうになる。

倒れ込む彼の頭上から、騎士団長の冷たい声が降ってきた。


騎士団長

「身勝手な行動は危険だ。だから我ら、秩序の手で管理し、支配せねばならぬ」


彼の言葉は、世界の残響となって響く。

ルーナは血濡れの母を見て、そして倒れた自分を見ていた。


その瞳から、感情が消えていくのを理解した。


世界が暗転する。




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