表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
44/87

第44話:未来の残響

◇◇◇



#1 そして、光のあとに


まぶたの裏に残るのは――

永瑠の「ごめん」。

ノアの「あ……」。

黒龍の黒炎。


世界が焼け、灰となった音が、耳にこびりついたまま。


蒼真はふと気付く。

破壊され灰となった街……

しかし目の前にあったのは今までどうりの街並み。


そして、元通りの学校がそこにはあった。


蒼真は、息を呑んだ。


視界が“白”から“色”へ戻る。


蒼真

「教室だ……、みんなは?!」


蒼真は走り出していた。



朝の日差し。

ざわつく生徒たちの声。

黒板に残る「昨日の授業の落書き」。


教科書の裏に隠れてプリンを食べる吸血鬼。


机の下に隠れてプリンを食べる聖女。


ノア

「あらあら、蒼真さんどうしちゃったんですか〜?プリン一口あげましょうか?」


永瑠

「……? な、なんでアンタ泣いてるの?」


――生きてる。


二人とも。


その瞬間、


蒼真の心臓が爆発音を立てた。


先生

「おい!雪村!もう授業始まってんだぞ!」


蒼真(心の声)

「……戻った……!

 俺は……世界線を戻したんだ……!

 永瑠も……ノアも……!」


込み上げてくる衝動を抑えきれない。


蒼真

「お……おはよう……永瑠…………」


永瑠

「は? 急にどうしたの。

 あんた……体調でも悪いんじゃない?」


蒼真(心の声)

「……体調が悪いんじゃない。

 “別世界線の痛み”と“今の幸せ”が同時にきてるんだ……」


ノアは机の下から顔だけ出し、じっと蒼真を観察した。


ノア

「観測完了。

 体温……3度上昇。脈拍……4倍。

 恋愛病みたいですよ?」


蒼真

「う、うるせえノア!!

 いつも通りのこと言ってんじゃねえよ(涙)」


ノア

「はい!私はいつも通り元気でございます。」


永瑠は、いつもより長く蒼真を見ていた。


永瑠(心の声)

「……おかしい。

 “ウルサイ”で片づけられない。

 なんで……こんな顔するのよ……。」


少しだけ、永瑠の胸に痛みが走った。



◇◇◇



#2 未来を知る男の焦燥


雪村家・朝食。


蒼真は味噌汁を前に、震える手で箸を持っていた。


蒼真(心の声)

「落ち着け……落ち着け俺……

 黒龍は、今日……必ず来る。

 そして、あの初撃だけは……防がなきゃいけない」


蒼真

「永瑠、ノア。

 今日……学校は休むぞ」


永瑠

「は?」


ノア

「え〜? なんでですか〜?」


蒼真

「いいから聞け!

 放課後、この街に“滅びの黒龍”が現れる。

 俺たち三人で迎え撃つしかないんだよ!」


永瑠

「そんな突拍子もない話……信じられるわけ……」


蒼真は、震える手で永瑠の肩を掴んだ。


蒼真

「信じるんだ……!

 俺は――見たんだよ。

 お前たちが……俺を庇って……消える未来を……ッ!!」


涙が、一筋だけ溢れた。


それは、未来で流した涙が、

現在の彼に“重なった”もの。


永瑠は息を呑む。


永瑠(心の声)

「……そんな……顔……

 嘘じゃない……

 これは……本気で……誰かを失った時の……」


ノアはパンッと手を叩いた。


ノア

「観測完了!

 永瑠さんの心拍数……180突破!

 蒼真さんの“真実値”に完全同期!」


永瑠

「うるさいわノア!!

 ……でも……(蒼真の手を見る)……嘘を言ってる手じゃない……」


蒼真は焔生を置き、まっすぐ二人を見る。


蒼真

「いいか。

 これは二度目の世界だ。

 今度は三人で……“勝つ”。

 黒龍の初撃を凌ぎ、討つんだ。

 もう絶対に……誰も失わない。」


永瑠は息を整えた。


永瑠

「……わかった。

 信じるわ。蒼真」


ノア

「蒼真さん……あなたは、嘘をついていません。“何かを失った顔”をしています」


蒼真(心の声)

「……ノア……ありがとう……」



◇◇◇



#3 黒龍、再来


放課後。


神楽市の空に――

再び、黒い“ひび割れ”が走った。


風向きが逆流し、鳥が一斉に逃げ出す。


蒼真(心の声)

「……来る……!」


永瑠は、蒼真の隣に立つ。


永瑠

「ねえ、蒼真」


蒼真

「なんだ」


永瑠は、まっすぐに言った。


永瑠

「……アンタの言ってること全部は理解できない。

 でも……あんたが震えてるのは分かる。

 だから、今度は……隣で戦う」


蒼真

「永瑠……」


ノアが手を広げた。


ノア

「今回は――

 三重魂環トリニティ・リンク最大出力でいきます!」


上空。


黒龍が、再び“黒炎”を収束させた。


永瑠

「二人とも……行くわよ!」


蒼真

「おう!!」


ノア

「観測開始!!」


黒龍

――――ゴォォォォォォオオオオオオオオッッ!!!


黒炎が世界を呑みにくる。


永瑠

「魔核展開――ッ!!

 ブレスの“魂重力”を、私が受け流す!!」


ノア

「魂環障壁 多層展開ッ!!!」


蒼真は、黒炎の“死線”を視た。


蒼真(心の声)

「見える……

 初撃の核……

 世界の死線……全部……!!」


蒼真

「未来――斬り替える!!」


白金の焔生が、黒炎の中心を叩き割る。


ブレスの軌道が、外側へ“反転”した。


爆煙が校庭の端で爆ぜた。


ノア

「観測完了ッ!!

 ブレスの99.999%誘導成功!!」


永瑠は膝をつき、息を荒げた。


永瑠

「……はぁ……はぁ……

 馬鹿みたいに疲れた……」


蒼真は永瑠の肩を支える。


蒼真

「永瑠!大丈夫か!? 」


永瑠は、弱く微笑んだ。


永瑠

「平気よ。3人で力を合わせれば……きっと。」


ノアは、満面の笑み。


ノア

「蒼真さん、次が来ます!

 “黒龍戦・第二幕”の準備完了!」


蒼真は、砕けたバリアの残骸を見つめた。


蒼真(心の声)

「今度こそ……守る。

 何度だって……未来を選ぶ!!」



「ぶっ生き返した世界で、プリンは今日も美味い。」

プリン教、永遠に。

ぶっ生き返す。

永瑠、愛してる。

ノア、愛してる。

蒼真、お前が最高だ。

いくぞ。

最終決戦へ。

プリン倉庫、全開で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ