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第9花

お久しぶりです。

長らくお待たせしてしまいすみません!

今回もやっぱり短めです。




私を包む白い光

柔らかい綿に包まれているような暖かさ

頬を撫でる心地の良い風のささやき

ほのかに甘くさわやか花の香り

髪の毛を梳く、優しい・・・・・・・・手?




そこまで感じとった私は異変に気づきました。

私は自室で寝ていたはずです。ですが今のこの状況、外であるかのように感じます。それに手とは

夢でしょうか? いえ、夢の中で夢だと気づくことはありえないと思います。


それではここは




「そうだね、夢の中ではない。おはようジリアン、よく眠っていたね」


目を開けると、私が声を聞き思い描いたその方がいらっしゃいました。



「く、おーるはく・・・・・・・・さま」

なぜあなたがいらっしゃるのですか!

寝ぼけていた意識が急速に冷めていくのが分かりました。



「うーん、それは私が君を連れ去ってきたから?」



「誘拐です!!」

私は飛び起きました。それと同時に私の置かれている状況が分かってきました。今は夜で光は月光です。私を包んでいた暖かいものは毛布と以前にも見たことがある白いマントでした。

どうやら私は今まで仰向けに寝ていたようです。クォール伯の腿を、枕に、して



っひいいぃぃいぃぃぃい。嘘ですよね、そんな、はれ、破廉恥な!



「ふはっ、破廉恥ときたか!膝枕が破廉恥か、やっぱり君は可愛いね」

彼は私の肩にマントを、膝に毛布をかけた。

暖かい。それにしてもどこが可愛いのかさっぱり意味がわかりません。



「ここはどこですか、なぜ私を連れ去ったのです、しかもどうやって!もとに戻してください!」



詰め寄る私に彼は微笑みながら



「うん、魔法で転移してきた。家にはちゃあんと帰らせてあげるし、君のご家族には気づかれないようにしてきたよ。それでね、ここはリンディル国の端っこの端っこ。雪の精霊さまが住まうとされる森の中、だよ」


彼が指を指したその先には、白く揺れる





「ユキノハナだ・・・・・・・・」





ユキノハナが群になって、そこにありました。

目の前に広がるその圧倒的な綺麗さと、澄んでいる風景に目が離せません。



「ユキノハナはね、雪の精霊さまの力そのものなんだよ。だから雪の精霊さまの力を強くうける場所じゃないと群生しない。それに悪用されると危険だから、おいそれと人の目に映る場所で群生したらいけない。」



そうか、だからお城にもないんだ。お城は様々な人が行き交うから。

そして精霊さまの魔力は霊力とされるもので魔力の何千倍も質が良い。だから悪用されると危険。


それって・・・・・・・・


「私に教えても良いのですか?こんな、大切な場所」



他国の、ただの貴族の娘に見せてはいけない場所なのではないでしょうか。この世のものとは思えないほどの澄んでいて、綺麗なこの地を。




「大丈夫だよ、君は花を愛しているしそんなことをするような子ではないと私は知っている。それに君は随分精霊さまに愛されているようだし、君に見せたかったんだ。君の願いは私が叶えてあげたいし、私が君を笑顔にしたい」



いつの間にか立ってユキノハナを眺めていた私は同じく隣に立っていたクォール伯に目を向けた。

きっと今の私は顔が真っ赤だろうし、声がうまく出ないかもしれないけどこの時は気にならなかった。



「ありがとう、ございます。・・・・・・・・見せてくれてありがとうございます。とても綺麗、です」



不思議と嬉しかった。彼が私にユキノハナを見せてくれたことも、私をユキノハナを悪用するような人じゃないと思っていることも、彼がその瞳に私を写して微笑んでいることも



「私も嬉しいよ。君が喜んでくれて、笑ってくれて嬉しい」



私が心の底から感動し、喜び、笑っていることをわかってくれて嬉しかった。






ジリアンは人に感情がうまく伝わらないことが実はコンプレックスだったりします。

ありがとうございました!

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