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転生したらホムンクルスだった場合は合法ショタを名乗っていいですか?  作者: 茶色烏賊
少年体ホムンクルスを望む領主と会うまでの三日間・後半
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金髪美少年ホムンクルスの寝起きはナイスミドル領主様の寝室で、ですか?

「まずはルカに詫びておきたい」


 コホン、と小さく咳払いした領主様が、表情を真面目なものに改めて言った言葉が分からず、私は瞬きをする。


「そんなの、ちょっと遅いんじゃないの?」


 何のお詫びかと問う間もなく、言い返したのはヒルデガルトだ。なんだか奥歯がガチガチと鳴りそうな噛みつき具合に感じられる。

 ちょっと遅いお詫びというのもヒントなのだろうが、詫びられなくてはならないことが思い浮かばなくて、私はちょっと首をひねった。


 ヒルデガルトは私の仕草に気付かずに言葉を続けようとしているが、領主様は私の様子も視界の端に収めている様子がある。

 本当に、なんだか全然、予想していたタイプとは違う人だ。


「大体、教会があれだけで引き下がらなかったら、どうするつもりだったのよ」


 お詫びの内容と、領主様の人柄について私がぼんやり考えている間に、ヒルデガルトがそんなことを言っていた。

 そこまで聞けば、何の話だったのか私のも分かる。

 分かるが、別にお詫びされるようなことでもないな、というのが私の思うところだ。


「……ヒルデガルト、この場合、教会の目を欺こうとした場合の方が、ルカにとっても悪い結果になっただろうということは、話しただろう?」


 やれやれ、とこめかみに触れながら領主様が諭すように伝えると、ヒルデガルトはぷいっとそっぽを向いてしまった。

 理屈は分かるが、感情としては納得していないといったところだろう。


 何か言うべきか、口を挟まずにいるべきか。

 迷っている間に、領主様の目は私に向けられる。


「というわけなのだが、教会との関係は、この国ではそれなりに大きな意味があるものでね。君の許可なく審問官を招き入れたことを、許してくれないだろうか?」


 お互い腰掛けたまま、テーブルを挟んでのやり取りだったが、領主様の目は真剣に許しを求めているように見えた。

 正直なところ、そこまで私に対して誠実な態度を取る必要もないんじゃないだろうかと思う。


 この体を作ったのは、領主様の財力があってのことなのだろうし、作られた体だと思えば、今一つ自分の体に対して権利を感じにくい。

 もっとも、権利なんてことをやや他人事のごとく悠長に考えていられるのは、それだけ余裕のある扱いを受けているからなのだろうけど。


 ともかく、私にとっては許すも許さないもない話だ。

 領主として優先すべきことがあるのは、分かっている話だし、私がイレギュラーな存在であることもそれなりに理解しているつもりなので、私をこの城に置くことに教会の許可がいることくらいは仕方がないだろうと思う。


 本当はそんな仕草を領主様の前でするべきではないのだろうけど、私はつい肩をすくめてしまった。

 この件に関する私の気持ちは、本当に、この仕草が全て、と言えなくもない。


「私は、領主様は当然の判断をされたと思っています」


 そう、本当にそれだけなのだ。

 イレギュラーな存在が、教会の許可を得た上で、領主の元に届けられる。

 これなら、どう考えたって安全だし、安心だ。

 そうでなければ、まあ、この領主に敵がいるなら、どうにだって利用出来ただろう。

 なので、領主としての判断も、段取りも、特に文句があるものではない。


 もちろん、私が審問官の判断で淫魔扱いにでもされていたらどうなっていたのか、というのは考えると恐ろしいことなので、考えないけれど。


 ふう、と息を吐いたのは、領主様だ。

 なるべく大げさにならないように吐いた様子だったが、私には安堵のため息に感じられた。


「ありがとうルカ」

「いえ」


 領主であり、このホムンクルスである体の所有者であることを考えれば、もっと自分の行いが当然だという態度でも構わないだろうに。

 予想していなかったタイプの人間であることは確かだけれど、人として嫌いなタイプではないことに、私も安心する。

 何せ、どうしたってこの人のそばにいることになるのだし。


 その点では、外見が素敵な中年男性であったことは喜ぶべきことだし、そこに並ぶのが金髪美少年であることは心の底から祝うべきことでもある。それが自分でなければ。

 正直な話、今後のことを考えるなら、自分がナイスミドルに並ぶ美少年であるのではなく、それを眺めるメイド長の立場が一番羨ましい。


 なんてことを考えていたところに、領主様が驚きの言葉を口にした。


「それでこれからのことなのだが、さしあたって、ルカの寝起きの場所は、私の寝室ということでいいかな?」


 ヒルデガルトが、音にすらなっていない絶叫を上げた。

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