第四十六話
ある日ダンジョンができた。
今日は健康診断で機構に来た。
研究局の診療所兼トレーニングルームのようなフロアだ。
俺は検査着のようなものを着せられ、健康診断の項目をまずチェックされていく。
案の定、注射器は最初刺さらなかった。
刺さることを意識すると、何もなかったように注射器が刺さり、採血を開始できた。
あまり普段考えていなかったが、この辺りも手加減のうちなのか。
人間やめているのか。
肺活量は一般人と変わらないらしい。
視力も聴力も普通だ。
心電図も大丈夫。
肺のレントゲンはダメだった。
X線を防いでしまうようで、いくらやってもダメだった。CTもそうだ。
考えようによっては、放射線も防ぐ、つまり宇宙向きかもしれん。息は続かないが。
あやしいのはそれくらいだ。
検査後は、身体測定へと続いた。
握力計を壊して以降、身体測定の意味合いを考えなければならなかった。
言うなれば測定不能だ。
怪獣だからな・・・。
実は俺に先立ち、特戦隊も検査されており、身体測定はあまり用をなさないと結論が出ていた。
◆
「教授、俺たちの魔力のもとは、空気なんじゃないか?」
一般的な検査を終えて、俺たちは機構の食堂にいた。
ライトにカツ丼を食べながら、俺は言った。
「それは面白そうだな。午後からは主にスキル検証になる。空気有り無しで、千メートル疾走してくれ」
「死ぬわ」
「無呼吸で何メートル泳げるかな」
「肺活量普通だからな」
「低圧、高圧をガンガン繰り返すから、覚悟しておけよ」
「本当の死を覚悟せんとあかんやろ」
◆
少なくとも百メートルの記録は塗り替えられることはないほどのとんでもない記録となることがわかった。追い風ならぬスキル参考だ。
今のスポーツ向けの計測器も、役に立たない。
推力も馬力も、人間のものではなく、ただいわゆる超人だ、ということしかわからない。
検査を一通り終え、今度は会議室で休んでいると、教授から検査結果一覧を渡される。
「俺としてはある意味想定通りで、ある意味不満足だな」
「どのあたりが不満足なんだ?」
「このスキルってのは、どこから出ていて、なんなのかはわからないし。俺だけではなく、ダンジョンに入れる全ての人が、ここまで来る可能性がある。やはり何のために、がわからない」
「パリピで全員適当に強くなろう、ではなかったのか?」
「まあ、その線はなくなってないが、人間離れしていくのを止めることもできない」
俺は検査結果を見て言った。
ふと気になったので、聞いてみる。
「教授。このK1-1、K1-2とかって頭のナンバリングはなんなんだ?」
「なんだ? ああ、それか。
鈴木がつけてたが、梶はじめだからK1なんだろ。梶はじめの1とか2とか」
「梶はじめならKHとかだろ。勝手に名前を1にするなよ!」
「ぷっ、ダサいな。このK1-48の項目見てみろ。歌が下手って書いてあるぞ」
教授が俺の肩を叩きながら笑う。
「変な読み方して遊ぶな!そんな項目ねーよ」
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今回のリザルト
中身は普通で、外側にぼんやりしたもので覆われている。
一応健康だったことは言うまでもない。
後日検査結果を聞きに行くが、本来の目的である、どうすれば探索者を拘束できるかという方法が見つかっていないのは言うまでもない。




