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雨の日の御伽噺  作者: 雨月 千疾
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木と虫

虫の羽音が聞こえる

空を仰ぐと沢山の羽虫が飛んでいた

優雅にヒラヒラと舞う羽虫は

虫とは思えないほど綺麗だった

暫く見上げていると

虫たちは僕が来た方へ逃げていった

僕は足を止めて虫の行った方を見た

ここでも除け者なんだろうか

『そんなの被害妄想だよ』

また木の囁きが聞こえた

そうなのかな

木からの返事は無い

今更ながら木はどこから声を出しているのだろう

声は上からも下からも

エコーがかかったように聞こえてくる

もしかしたら

そもそも木の囁きなんて無いのかもしれない

それも被害妄想なのだろうか

木への八つ当たりなだけなんだろうか

木の根に足を取られないように

下を向いて歩いた

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