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雨の日の御伽噺  作者: 雨月 千疾
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14/50

電車からの景色

気がついた時には

駅のホームに立っていた

絶え間なく蠢く下を向く人達が

パノラマのように見えた

駅に真っ赤な電車が入り

吐き出されるように下を向く人が降り

飲み込まれるように下を向く人が乗る

自分の進む道しか見えていない

周りが見えない人たち

それを僕はただ眺めていた

ホームの人が少なくなり

珍しい黒い色の電車が入ってきた

僕はそれに乗った

なんで乗ったのかは分からないけど

誰かに呼ばれた気がして

乗らなきゃって思ったのだ

電車は動き出し

窓からの風景を変えた

はじめは古びた集落を走り抜けて

広大に広がる海を映し出し

焼け野原のような大地を映し出し

人が転がる世界を映した

人はみな焼け焦げて転がっていた

そんな風景を眺めていた

『呑まれないでね』

そんな優しい声が聞こえた

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