復讐
「きゃああああ!何?一体何なの!?」
「消えた……!」
「落ち着きなさい、何が起こっているんだ……!?」
悲鳴が響き渡る中、俺の頭の中には以前テレビで流れていた海外のニュースが再現されていた。
高校生が校内で銃を乱射し、次々と教師や生徒を射殺――――最後は自分の頭を撃ち抜いて自殺…………。
「ハハハハハハハハハハハハハハ……!」
人間に食われる為の家畜に転生しろと念じながら、俺は自分のクラスの生徒を中心に次々と唇を奪っていった。
皆キスされるまで抵抗もしない。この俺がそんなに恐ろしいのか。
俺は……俺はお前らが恐くて仕方なかったよ。
つい昨日まで仲良く喋ってふざけ合っていた仲間だったのに、何がきっかけか知らないが手のひら返したようにイジメの加害者になった友人達。
俺が何をしたって言うんだよ……!
「ナツキ、やめて!」
駆けつけたルシフェルが俺の腕にしがみついてきた。
「放せ!こいつら俺を……これは復讐なんだ!正当な理由があるんだよ!!」
「復讐!?ナツ……」
震え声に俺とルシフェルは同時に振り向いた。
「美絵子」
美絵子は床にへたり込んでガクガクと震えていた。
「ナツ……ナツが皆を消しちゃったの?どうやって……」
「見てただろ?俺にキスされるとあの世行き」
ニヤリと笑った俺はきっと殺人鬼そのものに見えただろう。美絵子は小刻みに震えながら驚愕の表情で俺を見ていた。
「家に帰れよ、美絵子。死にたくないだろ」
「ナツ……」
美絵子は泣きながら逃げていった。
「ナツキ、あの子は誰?」
「……別に誰でもない。それより今の時点で何人送れたかわかるか?」
「八十一人よ。百人まであと十九人……」
「そっか……残りはまた明日にするわ。なんか俺、疲れた」
誰もいなくなった教室からフラフラと出て行く俺をルシフェルはじっとみつめていた。




