序章 ―― 墜ちたもの 希望と呼ばれた星
――17年前。
わたしたちが良く知っているこの星によく似ているけれど……
決して同じではない。似て非なる星のお話。
どんな生命にもまた……
生まれ出でたものにはすべてに等しく終焉が待っている。
繁栄の果てに、その星もまた、ゆっくりと死に向かっていた。
名をAERTH。
地球によく似た蒼い惑星は、文明を重ねるごとに資源を削り取り、
海は酸化し、森は痩せ、空は熱を孕んで赤く濁っていった。
戦争は消えず、国境は名ばかりとなり、混血の人々が街を満たす一方で、古い国家の概念だけが亡霊のように利権争いを続けていた。
――本来なら、世界は一つの共同体として手を取り合わねばならない時代だった。
だが、大人たちの欲望はそれを許さなかった。
その日、神邨弌の祖父が属する天文観測チーム「area7」は、
天の彼方に小さな影を見つけた。
それは小惑星のようでありながら、脈動するように光を放っていた。
「接近速度が速すぎる……あれは、ただの岩の塊じゃない」
「なんだ?あれは……得体が知れない……」
観測記録を見た生物学者たちの声は震えていた。
報告を受けた政府は、表向きは沈黙を守った。
だが裏では、宇宙研究を掌握する組織《NEOuniverse》が密かに動き出す。
「area7」の訴えを受け入れ、小型探査船「area9」を建造——天体との接触調査が決定する。
二名の乗組員が選出された。
弌の祖父 神邨介山と同チームの若き精鋭サイラス=フォクスター。
彼らは二年後、調査結果を携えてエアリスに戻ると約束し、出発する。
二人を見送る、14歳の神邨弌。
そして、サイラスの婚約者、本郷沙羅。
二人の無事の帰還を祈って――。
――そして、約束の2年後。
静かに物語が――動き出す。




