表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/19

ピクニック

キュイッと遠くでもふもふの声がした気がした。

今日も元気だな、と抱きよせようとした時、目覚まし時計のけたたましい音が聞こえた。

パシッと軽く叩いてそれを止めると、そばで震えているもふもふの頭を撫でた。

「ごめん、目覚ましかけてたの忘れてた。

驚かせたよな?」

<キュッ>

大丈夫!と言うように勇ましく鳴いたあと、キュル、という可愛い音を出した。

「お腹すいたよな。

…朝はパン派なんだけど、それでもいい?」

ノーと言うことはないだろうな、とは思いつつ様子を伺うと、キュイッと嬉しそうに鳴いた。


下に降りて行くと、俺の後ろを楽しそうに飛びながらもふもふがついてくる。

それがなんだか可愛くて、もふもふの声と一緒に笑いながら歩いた。

一階に降りると、もふもふはもうわかっているかのように冷蔵庫の前に座った。

昨日の牛乳を出したのもここだったし、きちんと覚えているのかもしれない。

「もふもふ、ちょっと冷蔵庫開けるぞ」

と声をかければパタパタ飛んで机に移動する。

そして、冷蔵庫を閉めるとまた移動してくる。

もふもふにとって、冷蔵庫はおもちゃみたいなものなのかもしれないと思った。

「せっかく冷蔵庫を開けたわけだし、サンドイッチとかにしてピクニックでも行くかな」

<キュ?>

呟いただけで、なになに?とこっちへ寄ってくるもふもふ。

…外を散歩するのは、決定事項になるかもしれない。


<キュッキュイ!>

<キュ?>

<キュー!>

外に出てすぐからもふもふはこんな感じで、初めてであろう外に興味津々だった。

それでも、家を出る前に言った[遠くまで行きすぎない]というルールを守って戻って来るあたり、ちゃんと考えてもいるみたいだ。

…少し歩くと海がある、というのは前から知っていたが、まさかスーパーもその近くにあるとは思っていなかった。

ピクニックの帰りに、少し寄って行こうか。

そんなことを考えていると、外に出てから3度目のもふもふの帰宅が行われた。

周りを見て、俺が遠いことに気づいたらしい。

賢いもふもふに、えらいぞーという意味を込めて頭をわしゃわしゃする。

いつもとは違う刺激に、きょとん、としているのが少し面白かった。


「よし、着いたぞ、もふもふ。

ここがピクニック会場の公園だ」

幸い、他に人もいなかったのでもふもふが飛んで行っても安心していられた。

他に人がいたら、もふもふのことをどう説明したらいいかもよくわかっていなかったし、ちょうど良かったのかもしれない。

自由に公園の空を飛んでいるもふもふを見て、鳥の雛、なんてこともあり得るかもしれないと考えていた。

想像に過ぎないけれど、これだけ自由に空を飛べるものなんて限られてくるし。

鳥なら、何を食べるんだっけ、なんて考えていると、近くでキュッキュという声が聞こえた。

もしかして、もふもふが飛ぶのに飽きたかな。

そう思って横を見ると、そこにいたのはハムスターのような生物だった。

…ハムスターにしては大きいし、猫やでも多分ない。

まるで、もふもふと初めて出会った時のようなわからなさがあった…いや、もふもふの正体は今でもわからないけれど。


ハムスター似の不思議な生物は、近くに俺がいることを忘れたのか、器用に短い前足で顔をかいていた。

その行動を見て、猫みたいなハムスター…?という謎の感想が出てきた。

キュッキュと鳴くのは上機嫌の証拠なのか、ダンスのようなものを踊り始めた。

もちろん二足歩行になっている。

「ええ…?」

全くわからなくなってしまい、謎の生物となった目の前の生き物をひたすら見つめていた。

…やがて、もふもふが戻ってきて<キュッ!>と鳴いた。

この不思議生物はそれでも構わずに踊り続けていたので、放っておいて朝ごはんを食べることにした。

今日のサンドイッチはハムオンリー。

野菜を入れるのが面倒くさくなったのが主な理由。

それでも美味しいから、まあいいかと頬張る。

小さく切ったもふもふ用のサンドイッチはもふもふのお気に入りになったらしく。

俺のサンドイッチにも手(羽)を伸ばそうとするほどだった。

また作ってやるから、と約束をして、自分のサンドイッチを守った。

と、視界の端でハムスター似の子のダンスが終わったらしい。

キュッ!と鳴きながら前足で汗を拭っていた。

…なかなかのインパクトある光景だと思う。

それでも、もふもふと過ごしているからか、少し慣れたような気がした。


そんな不思議な出会いもありつつのんびりしていると、いつのまにか辺りは暗くなり始めていた。

お昼の頃にはいた不思議生物もどこかへ消えており、のんびりし過ぎたかもしれない。

「もふもふー、帰るぞー」

一声かけるとすぐに寄って来るもふもふを撫でながら、ゆっくり家に帰った。

…スーパーは明日でもいいか。

そう思いながら。


家に着くと、ここが家だと分かったのかもふもふがパタパタと飛んで玄関の前に座った。

お風呂に入った時も思ったけれど、やっぱりもふもふは扉を開けることは出来ないらしい。

…羽と足だと難しいのかな。

<キュー>

早くーと催促された気分になりながら、扉を開ける。

今日は外を少し見れたし、スーパーが近いことも分かった。

もふもふがハムサンドが好きなことも分かったし、色々知れていい一日だったかな。

…そう、勝手にまとめに入っていると、奥の方でもふもふの声がした。

あっちはお風呂場の方だから、お風呂に入るってことを覚えたのかもしれない。

出会ってからたくさんのことを覚えていくもふもふに、もっと色々教えてあげたくなった日だった。

不思議生物は、もしかしたらまた出て来るかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ