↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼咎のシックザール  作者: ZERO-HAZY
第二章 剣と聖
74/176

18-A -氷牙の殺し屋-

 ファラル大陸で仲間にした者達と、無事にノスタルジアへ帰還した蒼輝(そうき)達。

 それとは別に、イーバからの刺客として訪(おとず)れた月花(げっか)。しかし、ノスタルジアの島民達と触れ合ったことで目的を忘れそうになっていた。

 

 そして月花は、抹殺(まっさつ)対象とされている目標を知ることとなった。それは金雀児(えにしだ) 奈樹(なじゅ)。月花は自(みずか)らの信念に基(もと)づき、奈樹のいる花の屋敷(やしき)へと歩いて行った。


 奈樹(なじゅ)は一人、ジョウロで庭の花に水やりをしていた。月花は無意識の内に気配を殺して、背後からそっと近付いていった。2mほど後ろに来た時、奈樹は振り返って月花を見た。


奈樹「あっ、月花さんでしたか。なにか後ろに気配を感じて…」


 表情には一切(いっさい)出さなかったが、月花は驚(おどろ)いた。今の忍(しの)んだ気配…並の人間では絶対に気付かなかっただろう。それをいとも簡単に…。やはり凶悪兵器(きょうあくへいき)なのだろうかと思ってしまった。


月花「あぁ、ちょっと奈樹ちゃんに聞きたいことがあってね」


奈樹「はい? なんですか?」


 曇(くも)りのない微笑(ほほえ)み。凶悪兵器で抹殺(まっさつ)対象とされているとは思えない。可憐(かれん)な少女にしか見えなかった。


月花「さっき…皆でイーバと戦うって言ってたけど…それって奈樹ちゃんも戦うの?」


奈樹「はい。私…E兵器(クリミナル)なんです…。それでもイーバと戦う意志(いし)を持っています」


月花「そっか…。答えてくれてありがとう」


奈樹「いえ。月花さんもたまたま島に来ただけなのに、巻き込んでしまってごめんなさい」


 奈樹は頭を下げた。ただの女の子であったら、この瞬間(しゅんかん)に仕留(しと)めることはできるだろう。しかし月花は手を出さなかった。本人の口からE兵器(クリミナル)だと聞いても、なぜか奈樹に手を出す気にはなれなかった。


奈樹「あの…できることなら…」


月花「ん?」


奈樹「刹那と…仲良くしてあげて下さい」


月花「刹那ちゃんと?」


奈樹「少し度(ど)が過(す)ぎて少し迷惑しているかもと思って…。けど仲良くしてあげてください。あの子が私以外にあそこまで懐(なつ)いているのは初めてで…」


 月花は奈樹に手を出せない理由がわかった。それは刹那の存在だった。

 ずっと一人だった自分に、この居場所を与(あた)えてくれるキッカケとなった女の子。その刹那が慕(した)っている奈樹を傷付(きずつ)けることは、刹那を傷付けてしまうことと同じだった。


奈樹「それと芙蓉(ふよう)さんも…」


月花「芙蓉さん?」


奈樹「少し言い方がキツイ所があるけど、本当は優しい人なんです。だから…」


月花「ビンタ痛かったけど大丈夫(だいじょうぶ)だよ…。わかった。芙蓉さんのことも気にかけておくよ。桔梗(ききょう)ちゃんと桜羅(さくら)ちゃんもね」


 ビンタのところまで聞いた奈樹は『言うのが遅かった…』といった表情を見せたが、その先の言葉を聞いて、安心するように微笑んだ。そうしていると蒼輝が歩いてきた。


蒼輝「おっす。二人で何してんだ?」


月花「少し話をしていただけですよ」


奈樹「刹那がお世話になっているからお礼を言っていたの」


 奈樹はクスッと悪戯(いたずら)に笑(わら)った。


蒼輝「月花も首折られないように気を付けろよー? って、そうだ。飯の準備ができたから早く行こうぜ!」


月花「首折り…?」


 こうして皆で卓(たく)を囲(かこ)んで食事をした。料理のできる奈樹と芙蓉、下ごしらえを手伝ったマテリアと颯紗(さらさ)の豪勢(ごうせい)な料理だった。

 奈樹とマテリアは颯紗を挟(はさ)んで談話(だんわ)している。蒼輝とバサラは数日前に会ったとは思えないくらい打ち解けていた。勾玉と風魔はレイとムトと話をしている。刹那と芙蓉と月花は三人で会話をした。ディアナはいつの間にか持参(じさん)していた巫女服(みこふく)に着替えて、桔梗と桜羅の二人と仲良くなっていた。プリプムはまだ桜羅に懐(なつ)いていた。サツキとブラックは軒下(のきした)で座っている。


マテリア「うん、味付けとってもいい感じです」


颯紗「おいしい…ゼラニウムで食べていた缶詰(かんづめ)と全然違う…」


奈樹「颯紗は細すぎるんだから、もっと食べていかないとね」



バサラ「…そこで…! 師匠(ししょう)がこう言ったってワケよ! シビれるだろー!?」


蒼輝「いいねいいねー! 俺も強い男になりたいからわかるぜー!」



ムト「しかし光芒(こうぼう)結社と手を組むとは先が明るいのう」


風魔「光芒結社って結構な権力あるところ?」


レイ「進んで事件調査(じけんちょうさ)や慈善事業(じぜんじぎょう)をしているからね。ファラル大陸では信頼は厚く、多くの人から支持(しじ)されているよ。実際、バサラ王子が訪(たず)ねてきたのも信頼あってこそだからね」


勾玉「レイには及(およ)ばないとは言え、それに実力を持っている者が多数いるのであれば、それも納得だ」



月花「うん、おいしい。これなら毎日でも食べたいな」


刹那「芙蓉ちゃんのお料理、とっても美味しー! どこで覚えたのお?」


芙蓉「覚えるもなにも…料理本見ながらレシピ通りにやれば誰でもできるでしょ? …桔梗と桜羅にはできてないけど…」



桔梗「その巫女服も可愛いー!」


ディアナ「デザイン違うんだね。 けどミニもいいないいなー」


桜羅「ボクは桔梗ちゃんと同じなら…」


プリプム「プリプリー!」


 こうして皆はパーティーをして親交を深めあった。久しぶりの再会と、新たな出会いに時間を忘れて盛り上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。