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蒼咎のシックザール  作者: ZERO-HAZY
第一章 ノスタルジア
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9-A -襲来する邪の化身-

 前回のあらすじ


 ノスタルジアへ降り立った者は、今まで森にある小屋で生活していたが、人数が増えてきたので奈樹(なじゅ)、マテリア、刹那(せつな)、芙蓉(ふよう)に服や家を用意した。

 その後、島の地下にある図書室(としょしつ)を訪(おとず)れたことで奈樹の気が動転(どうてん)してしまう。芙蓉の迂闊(うかつ)な発言と挑発(ちょうはつ)により、奈樹と芙蓉が衝突(しょうとつ)しそうになるが、何とか理解し合うことができた。




 翌日(よくじつ)…奈樹がノスタルジアへ来てから六日目(むいかめ)。

 奈樹は自分が選んだ家、自分が選んだ場所の寝室(しんしつ)で目を覚ました。刹那に飛びつかれた時に痛めた首は治っていた。見渡すとインテリアに乏(とぼ)しく、やや殺風景(さっぷうけい)だが落ち着く空間。ベッドの上で伸(の)びをする。ベッドから出てクローゼットから着替えの服を取り出した。

 部屋を出て廊下(ろうか)を歩く。一階に吹き抜けとなっており、リビングを見下ろせる。奈樹は階段(かいだん)を降(お)り、脱衣所(だついじょ)へ向かう。パジャマと下着を脱(ぬ)いで、バスルームへ入る。ボタン一つでシャワーから出る水が温かくなる。

 

奈樹「ふぅ…」


 湯気(ゆげ)が立ち込める空間で、地に付きそうなほど長い髪と身体が濡(ぬ)れてゆく。奈樹は自分の小さな身体(からだ)を両手で抱(だ)き締(し)めるようにした。


奈樹「今のままじゃ…イーバは倒せない…」


 自分の力は絶大(ぜつだい)だと思っていた。しかし芙蓉とぶつかりあうことで『井(い)の中(なか)の蛙(かえる)』だったと気付かされた。イーバの生み出す力は今の自分を超(こ)えているのかも知れない不安があった。


奈樹「下層部(かそうぶ)にいるE兵器(クリミナル)でさえ…あんな強大な力を秘(ひ)めている…。じゃあ…エース級のE兵器(クリミナル)に…私の力は…」


 しばらく考え込みながらシャワーを浴びた奈樹は脱衣所へ戻る。濡れた身体と髪をバスタオルで拭(ふ)き、ドライヤーで髪を乾(かわ)かす。我(われ)ながら乾くまで時間が掛かると感じる奈樹だったが、この蒼い髪が、この長い髪が大好きだった。自分の育て親だった人が自分の髪をいっぱい褒(ほ)めてくれた。いっぱい撫(な)でてくれた。大袈裟(おおげさ)かも知れないが、この髪は自分自身の生きている証(あかし)そのものだと感じていた。

 奈樹は櫛(くし)で髪を梳(と)く。用意していた服を着て、脱衣所を出た。


蒼輝「おーい、奈樹! 起きてるかー」


奈樹「あっ…蒼輝、おはよう」

 

蒼輝「おう、おはよう」


 脱衣所から出ると、蒼輝が玄関(げんかん)を開けてリビングに来た。このように全員が家の鍵(かぎ)をしていない。この島に盗難(とうなん)するような者はいないと確信(かくしん)があるからであり、自由に出入(でい)りできる状態にしてある。


奈樹「迂闊(うかつ)に…そのまま出てこなくてよかった…」


蒼輝「?」


 もし怠(なま)けて脱衣所から服を着ずに出ていたら…などと思うと奈樹の顔は少し赤くなった。


蒼輝「そうだ、外へ来てくれ! 芙蓉の所に!」


 蒼輝に連れられて、奈樹は外へ出た。


奈樹「何があったの?」


蒼輝「ホームに行ったら増えてたんだよ…」


奈樹「増えた?」


 足速(あしばや)に森のホームへ向かう。他の皆、勾玉(まがたま)、風魔(ふうま)、マテリア、刹那が既(すで)に居て挨拶(あいさつ)交(か)わした。


奈樹「何があったの?」


 なにやら芙蓉がいるはずのホームが騒(さわ)がしい。風魔は人差(ひとさ)し指を建てて小屋へ向けた。


風魔「今、着替え中」


 そう言ってしばらく待つと、扉が開いて人が出てきた。その数三人。


「じゃーん! これすっごいアタシに似合(にあ)ってない?」


「ボク…ちょっと恥(は)ずかしい…」

 挿絵(By みてみん)


 小屋から芙蓉と、ミニスカートの巫女服を着た女の子が二人出てきた。その二人と一緒に芙蓉が呆(あき)れ顔で出てきた。

 また島が騒がしくなるだろうなと感じるノスタルジアの一同であった。

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