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黒針、天を穿つ

ちょっととある作品に影響されて作りたい気持ちになったので作ってみました

命名の仕方に関してとある作品をいくつか取り入れてます

(まぁ..昨今いろんなものがアニメ化とかしてていろんな設定が飽和している状況なので、似てるのは仕方がないってことで)

午前八時十一分。


 それは、何の前触れもなく現れた。


 地面から、黒い何かが空へ向かって伸びている。


 最初に目撃した人間は、それを巨大な煙突か何かだと思った。だが、すぐにその考えを捨てることになる。煙突にしては太すぎる。建造物として考えるには高すぎる。そして何より、それは誰かが建てたものではなかった。


 大地から、直接生えていた。


 黒い針。


 そう表現するのが最も近かった。


 根元だけでも、人間が何人も横に並んで歩けるほどの幅がある。表面は光をほとんど反射せず、黒いというよりも、光そのものが吸い込まれているように見えた。


 そして、それは空へ向かって伸びていた。


 音はない。爆発もない。地面が大きく割れることもない。ただ、巨大な黒い構造物が、何の抵抗も受けていないかのように空へ伸びていく。


 数百メートル。


 さらにその上。


 やがて雲を突き抜け、それでも止まらない。


「……何、あれ」


 誰かが呟いた。


 その声を聞いた別の人間がスマートフォンを取り出す。カメラを向ける。録画を始める。その数秒後には、さらに別の人間が同じように撮影していた。


 誰も状況を理解していない。


 だからこそ、最初に行われたのは撮影だった。


 午前八時十五分。


 インターネット上に最初の映像が投稿される。


 巨大な黒い柱。


 空へ伸びる謎の構造物。


 合成映像ではないか。


 映画か何かの撮影ではないか。


 海外の実験施設ではないか。


 投稿された映像に付けられたコメントは、そんな憶測で埋め尽くされた。


 しかし、数分もしないうちに状況は変わった。


 別の場所から撮影された映像が投稿されたからだ。


 撮影場所は違う。角度も違う。それでも映っているものは同じだった。


 黒い針。


 そして、人々は二つ目の異常に気付く。


 黒い針を中心とした空だけが、晴れている。


 直径は少なくとも百メートル以上。


 その範囲には雲が存在しない。


 周囲には雲がある。少し離れた場所にも雲がある。それなのに黒い針の真上だけが、まるでそこだけ切り取られたように青空になっていた。


 風によって雲が流されたようには見えない。雲の切れ目が偶然円形になったとも考えにくい。


 そこだけ、空が違っていた。


 午前八時二十分頃。


 黒い針の伸長が止まった。


 それ以上、伸びることはなかった。


 しかし、消えることもなかった。


 地上から遥か上空まで伸びた黒い針は、そのまま空に固定されたように存在し続けている。


 観測機関が高度の推定を始め、航空関係者が警戒を強める。やがて観測結果から、その先端が人間の通常の航空活動域を遥かに越え、最終的にはオゾン層にまで達している可能性が報告された。


 その時点で、誰もそれを「巨大な建造物」とだけ呼ぶことはできなくなっていた。


 何が起きているのか。


 誰にも分からなかった。


 ただ一つ分かっているのは、昨日まで存在しなかったものが、今日の朝にはそこにあるということだけだった。


     ◇


 午前八時二十三分。


 最初の通報が警察へ入った。


「空に変なものが出ています」


「黒い柱みたいなものが見えるんですけど、あれは何ですか?」


「山の向こうから空まで伸びてます。かなり大きいです」


 通報内容は曖昧だった。


 当然だ。警察側にも、それを何と呼べばいいのか分からない。


 現場へ向かった警察官が最初に行ったのも、原因の特定ではなかった。周辺の安全確認、道路状況の確認、住民の状況確認。そして何より、現場へ人が殺到しないようにすることだった。


「本部、こちら現場。通報のあった構造物を確認しました」


『状況を報告してください』


「かなり大きいです。正確な高さは目視では判断できません。少なくとも、一般的な建造物として考えられる規模ではありません」


『周辺に被害は?』


「現時点では確認されていません。ただ、周辺住民が集まり始めています。安全確保のため、近付かせないよう対応します」


『了解。何か変化があればすぐ報告してください』


「了解しました」


 その時点では、まだ大規模な災害対応にはなっていなかった。


 異常ではある。しかし、人的被害がない。建物の倒壊もない。火災もない。インフラも今のところ大きな障害は発生していない。


 だから警察も消防も、まずは通常の危機管理の延長として対応を始めた。


 だが、それは長く続かなかった。


 別の地域からも同様の通報が入った。


 消防にも連絡が入る。自治体にも情報が上がる。気象関係機関が異常を認識し、航空関係機関も警戒を始める。


 午前八時四十分頃には、県庁内にも情報が集まり始めていた。


「人的被害は?」


「今のところ確認されていません」


「建物被害は?」


「構造物そのものによる被害はありません。ただし、周辺住民がかなり集まっています」


「警察は?」


「現場の安全確保を進めています。消防も確認に入っています」


「自衛隊への連絡は?」


 そこで、わずかに間が空いた。


「……まだです」


「理由は?」


「現時点では、自衛隊に何をしてもらうのかが明確ではありません」


「でも、あれですよ?」


 窓越しに見える黒い針へ視線が向く。


「それは分かっています。ただ、災害派遣を要請するのであれば、目的と必要性を整理する必要があります。現状では警察と消防で対応できています」


 誰も反論できなかった。


 自衛隊を呼ぶべきだという感覚はある。


 しかし、何のために呼ぶのかと問われれば、答えがない。


 黒い針を破壊するのか。周辺を警備するのか。住民を避難させるのか。それとも調査をするのか。


 何が起きているのかすら分かっていない以上、今の段階で自衛隊を動かすことにも慎重にならざるを得ない。


「まずは現場から情報を集めましょう。何か状況が変われば、その時点で改めて判断します」


「分かりました」


 そうして、その場では決定されなかった。


 それは無責任な判断だったわけではない。


 むしろ、情報が不足している状態で不用意に大きな決定をしないという意味では、妥当な判断だった。


 ただし、未知のものを相手にした時、「妥当」という言葉は時として「何もしない」という意味にもなり得る。


     ◇


 午前九時。


 気象観測に関する報告が入った。


「黒い構造物周辺の雲量について、異常が確認されています」


「異常?」


「構造物を中心に、直径百メートル以上の範囲で雲が存在していません」


「ただ晴れているだけでは?」


「周囲の気象条件から見ると不自然です。雲の分布が、構造物を中心に円形に近い形で途切れています」


「構造物との関連性は?」


「現時点では不明です」


 また不明だった。


 材質も分からない。


 発生原因も分からない。


 なぜ空へ伸びたのかも分からない。


 周辺の雲が消えた理由も分からない。


 それでも観測できるものは観測し、測れるものは測るしかない。


 各機関が情報を集め、数値を記録し、映像を保存していく。


 その中で、黒い針の大きさを測定していた担当者が一つの妙な結果を報告した。


「距離の測定結果が安定しません」


「誤差じゃないの?」


「可能性はあります。ただ、測定するたびに僅かに数値が変わっています」


「機器の異常は?」


「確認しました。正常です」


「別の機器でもう一度」


「はい」


 再測定。


 結果はやはり完全には一致しなかった。


 とはいえ、差は小さい。


 測定環境による誤差、観測角度の違い、機器の精度。説明できそうな理由はいくらでもあった。


 そのため、その報告は「継続観測」として処理された。


 この時、誰もそれ以上の意味を考えなかった。


 そして――午前九時十一分。


 日本各地の地震計が、一斉に反応した。


     ◇


 最初は普通の地震だと思われた。


 建物が揺れた。


 窓が鳴った。


 棚から物が落ちた。


 駅では係員が安全確認を始め、学校では教師が生徒へ身を低くするよう指示する。テレビでは緊急地震速報が流れ、スマートフォンにも警報が届いた。


 だが、地震を観測する側では、すぐに異常が判明した。


「震源は?」


「解析中です」


「深さは?」


「まだ出ません」


「各観測点のデータを確認してください」


「しています」


 全国各地の観測データが画面へ並んでいく。


 北海道。


 東北。


 関東。


 中部。


 近畿。


 中国。


 四国。


 九州。


 揺れが広がっている。


 しかし、通常の地震とは違った。


 どこか一ヶ所から揺れが伝わっているように見えない。


「……震源が決まりません」


「決まらない?」


「一つの震源に収束しません」


 室内が静まり返った。


 地震であることは間違いない。


 だが、通常の地震として説明できない。


 そして、その発生時刻は――黒い針が現れてから、およそ一時間後だった。


     ◇


 午前九時二十分。


 官邸へ情報が集中し始めた。


「警察庁、消防庁、気象庁、防衛省、国土交通省、経済産業省。各省庁から情報を集約してください。まずは被害状況を」


「はい」


「黒い構造物についても、現時点で判明していることを全部」


 電話が鳴る。


 担当者が受話器を取る。


「はい、官邸です……はい。被害状況については?」


 別の画面では警察からの情報が更新される。


「現時点で大規模な人的被害は確認されていません」


「インフラは?」


「鉄道は一部運転見合わせ。道路も一部通行規制。電力についても局所的な障害が確認されています」


「通信は?」


「現在確認中です」


「黒い構造物は?」


「複数地点で確認されています」


「複数?」


「はい」


 その一言で、室内の空気が変わった。


 単独の異常ではない。


 同じようなものが複数の地点に存在している。


「原因は?」


「現時点では不明です」


「地震との関係は?」


「こちらも不明です」


「自然現象の可能性は?」


「否定はできませんが、現在の観測結果では説明できません」


「外国からの攻撃の可能性は?」


「現時点では判断できません」


「テロの可能性は?」


「同じく、判断材料がありません」


 結局、ここでも答えは同じだった。


 分からない。


 だからこそ、政府としては確認できた事実と推測を分けなければならない。


「国民への発表は?」


「現在、内容を整理しています」


「何を発表するんです?」


「確認できた事実を中心にします」


「黒い構造物については?」


「正式名称がありません」


「では、名称は?」


「現時点で正式名称を付ける必要性は低いかと。誤った名称が先行すると、後から訂正することになり、かえって混乱を招く可能性があります」


「……分かりました。では暫定的な呼称で統一してください」


 それすらも、すぐには決まらなかった。


 黒色構造物。


 巨大構造物。


 柱状構造物。


 正体不明構造物。


 各機関が使っている名称はバラバラだった。


 そして、その一方で「自衛隊はどうする」という問題が再び浮上する。


「防衛省との調整は?」


「現在協議中です」


「災害派遣の要請は?」


「まだです」


「地震が起きています」


「承知しています。ただし、現時点では自衛隊の能力を必要とする規模の被害が確認されているわけではありません」


「黒い構造物は?」


「警察と消防が現場対応中です」


「それで十分ですか?」


「現時点では対応できています」


「……現時点では?」


「はい」


 それ以上、誰も言わなかった。


 各組織は動いている。


 警察は現場を押さえている。


 消防は被害を確認している。


 自治体は住民への対応を進めている。


 気象庁は地震を解析している。


 防衛省も情報収集を行っている。


 だが、国家として「次に何をするのか」だけが決まらない。


 原因が分からない。


 被害も確定していない。


 危険性も分からない。


 何より、未知のものに対して、どこまで動けば適切なのかを判断できる材料がない。


 そんな中。


「現地から追加報告です」


 報告を持ってきた職員の声に、何人かが顔を上げた。


「黒い構造物についてです」


「何が分かりました?」


「根元部分に……入口が確認されました」


「入口?」


「はい。内部へ入れるようです」


     ◇


 午前十時過ぎ。


 黒い針の根元では、警察と消防が周囲を確認していた。


 近くで見ると、黒い構造物はさらに異様だった。


 人間が何人も横に並んで歩けるほど太い。表面は黒く、光をほとんど反射しない。金属にも石にも見えるが、どちらとも断定できない。


 そして、その根元には大きな開口部があった。


「これ……入口ですよね?」


「そう見えるな」


 入口の奥には暗闇が広がっている。


 懐中電灯を向けると、光が岩肌を照らした。


「洞窟?」


「少なくとも、見た目はそうだな」


 人工物らしい加工跡は確認できない。壁面は岩肌のように凹凸があり、内部へ進むほど暗くなっている。


 隊員が足元を照らした。


「……下ってます」


「深さは?」


「分かりません。奥が見えない」


 入口から先は、緩やかな下り坂になっていた。


 外から見れば、黒い針は地上から空へ伸びている。


 その根元から内部へ入れば、今度は地面が地下へ向かって続いている。


 どこまで続いているのか。


 何があるのか。


 内部がどのような構造になっているのか。


 現場にいる誰にも分からなかった。


 隊員の一人が無線を取る。


「本部、こちら現場。構造物根元に開口部を確認。内部への進入が可能です」


『内部の状況は?』


「洞窟状の空間です。入口から先は下方向へ続いています。深さは現時点で不明」


『人の侵入は?』


「まだ本格的には入っていません。安全確認を優先しています」


『了解。現状維持で。勝手に奥へ進まないでください』


「了解」


 無線を切る。


 誰も、すぐに中へ入ろうとはしなかった。


 未知の空間。


 未知の構造物。


 未知の地震。


 そして、何も分からない。


 それでも、現場から送られた映像はすでに官邸へ届いていた。


 黒い入口。


 その奥へ続く暗闇。


 そして、ゆっくりと地下へ下っていく道。


「……調査する必要がありますね」


 官邸の一室で、誰かが呟いた。


「はい」


「警察だけでいいのか?」


「分かりません」


「消防は?」


「内部環境が不明です」


「自衛隊は?」


「災害派遣の必要性について、現在検討中です」


「研究機関は?」


「現時点では、まだ」


 また、検討だった。


 また、確認だった。


 また、判断をするための情報が足りなかった。


 しかし、そんな政府の事情とは関係なく、黒い針はそこに存在している。


 地上から空へ伸び、オゾン層へ達した巨大な黒い構造物。


 その根元には、人間が通れるほどの入口がある。


 入口の先には、地下へ向かう洞窟がある。


 そして、その先がどこへ繋がっているのかは――まだ誰も知らない。


 この日、世界はまだ、それを「ダンジョン」と呼んでいなかった。


 だが、人類はすでに、その入口を見つけていた。


 あとは、誰かが中へ入るだけだった。


ちょっと今後のために設定のネタバラシをしますが

この世界には魔法とスキルが存在するようになります。

スキルに関しては連発できるわけでもないですが汎用性ではなく特化した能 or 物理系という方向性です。魔法に関しては汎用性重視の属性系の能力ですが鍛えればスキルに以上に強くなる可能性があります。特に範囲攻撃とか正に魔法のイメージあるよね。

イメージは1v1ならスキルが優勢、1v多数なら魔法が優勢って感じです


さらに追加情報ですがスキルは現時点で発生するようになりますが、まだ現時点での使い方を知っているのは3人だけです。

この三人に関してはなんで使い方をわかるのかについてはまだちょっと設定決まってないんですよね...

なんかいい案ある人いないですかね?

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