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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
三十九話:『纒 慎二』と呪われた大陸
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(MATOI’S EYES)

十五年前の、俺たちの敗北だ。

世界各地に集められた精鋭たちは、僅か三か月で全滅した。

その時にいたナーリーも、俺の部下であるサーレスも、団長のホーフブルグも。

誰一人、戻ることはなかった。

調査団は、そこで中止しテスコンダル大陸を後にした。


アントンが無念の顔で、その話をしてくれた。

一気に食事の空気が重くなっていた。


「そういうことがあったんですか」

「あそこには、魔族もいる。あの当時より、魔族は確実に増えている」

サラの言葉に、アントンは静かに答えた。


「戻れたのは全部で七人、ここに残った六人と、勇者セイツだけだ。

第一班で行った調査団メンバーは、誰一人戻らなかった。

その後、俺はこのトロンダールの守備兵に立候補した。

もしかしたらサーレスが、戻ってくるんじゃないかと思ったのだが……」

「アントンさん、大丈夫ですか?」

サラが立ち上がって、アントンを慰めていた。

だけど、そんなサラの優しさもアントンは首を横に振っていた。


「慰めなどいらぬ。ただ有望な若者が、ここで死んだだけだ。

おいぼれが、この大陸の呪いにとり憑かれただけなのだよ。魔王の呪いに」

「魔王の呪い?」

「勇者を恨み、この地に眠る魔王の呪い」

「魔王とは何者だ?」

「魔王クドーを、知らないの?」

レティアがいきなり言ってきた。

そういえば、俺は魔王の名前を知らなかった。『魔王クドー』っていう名前か。

その魔王が、魔族を使ってよみがえらせようとしているのだろうか。


「だから、君らは呪われる必要はない。明日の便で……」

「いいえ、私は行きます」

それでも、サラは曲げなかった。


「君はダメだ、危険なのはわかっただろう。それに母はもう……」

「わかっています。それでも私は前に進みます。

ママが、私を呼んでいるので」

「サラちゃん……」

「シブーストさん、心配してくれてありがとうございます。

これで、私は決心がつきましたから」

サラの言葉に、迷いはもうない。

胸を張って言う彼女に対し、シブーストは頭を抱えていた。


(サラを、絶対に危険な目に合わせてはいけないのに……)

うわごとで、シブーストがつぶやいていた。

それでもアントンは、サラの方を見上げていた。


「すでに覚悟は、できているのか?」

「はい」

「どんな状態であっても、受け入れられるな」

「わかっています」

「ならば何も言うまい。ダムレイも、それを理解してここに向かわせたのだろう」

それはダムレイが渡した、アントンへの手紙だった。


「娘に協力してくれと、書かれていた。

納得できるまで、この大陸を調べるがいい。その代わり約束してくれ」

「はい。生きてここに帰ってくる……ですね」

「ああ」アントンはそういうと、懐から一枚のボロボロの地図を取り出した。


「これを君に渡そう」

アントンが渡した地図を、サラは決意の顔で受け取っていた。

そうだ、この瞬間からの俺たちの進路は決まっていた。

サラに対して、もう誰も反対することはできなくなった。



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