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イセカイGO!  作者: 葉月 優奈
三十九話:『纒 慎二』と呪われた大陸
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ホーフブルグという男を、この調査団で知らない者はいない。

彼は前サスマラ大統領で、大統領をやめてこの調査団を結成した。

ただ獣人であり紫色の肌に、長いしっぽが特徴だ。

それでも、サスマラでは絶対的な指導者として大統領に選ばれた。


「諸君、我らは世界の謎を解明する第一人者になろう!」

その出だしから、ホーフブルグが演説を始める。

彼が話すと同時に、周りの集団は彼に目を向けていた。

その言葉には、強い思いのようなものが感じられた。


(なんだ、少し歯が痛いような)

彼の演説を聞くのは、これで三度目だ。

だけど、彼の演説を聞くたびになぜか歯が痛くなるようだ。

彼の強い声が、虫歯に影響しているのだろうか。それはわからない。

それでも、俺はホーフブルグの話を聞いていた。


「この大陸は、死んでなんかいない。

テスコンダルは、滅んだ大陸ではない。

勇者の国エドンタールが滅んで、約三百年。

魔族や邪悪な存在が、この地に住み着くようになった。

先人たちも、何度かこのテスコンダルを調査しようとしたが跳ね返されてきた。

それでも、我らは邪悪なものに屈するわけにはいかない!

我らには知る権利がある、この世界に住む以上。この世界のすべてを知る権利が!」

ホーフブルグの言葉に、歓声が上がった。

団長の声は、透きとおっていて周りに響く。

声を聴くたびに、徐々に心が焚きつけられるようなそんな気分だ。


「あれが大統領か……」

「そう、ホーフブルグ。サスマラの元大統領」

そばにいたダムレイもまた、ホーフブルグに顔を向けて聞いていた。

だが、俺はふと気になったことがあった。


「ナーリー」ナーリーは、心配そうな顔でダムレイの白衣にしがみついていた。

まるで、それは子供が怖がるようなそんな顔を見せていた。


「彼は、平民の出だと聞いたのですが……」

「初め、サスマラ大で演説をしていた時から彼の演説の虜だよ」

「ダムレイさん……」

「僕はね、彼の演説が好きだ。

ナーリーは彼の演説を怯えるのだろうが、僕は好きなんだよ」

ホーフブルグの演説は、聴衆を興奮させながらも続いていく。

彼の声と同時に、兵士たちが声を上げていた。

歓声が、全く鳴りやまない。


「まあ、よくわからないけど。確かに彼の演説には迫力がある」

そうだ、聞いているだけで心が熱くなる。

とにかく俺の、胸が熱くなっていた。

だけど、それは魔法や魔術の類ではない。

この感情が、ホーフブルグのカリスマ性なのだろうか。


「この調査団には、さらにすごい人物も加わることになった」

「すごい人物?」ホーフブルグの言葉に、会場の兵士たちがどよめいた。

「そうだ、その人物こそ……勇者セイツ様だ!」

ホーフブルグに言われると、彼の後ろから壇上に上がる人物がいた。

それは、凛々しい顔をした金髪の青年。腰には長い片手剣……いや勇者の刀剣が携えられていた。


「せ、セイツ様!」

「あのエド様の直系の勇者……セイツ様だと」

口々に、団員の声が聞こえてきた。


「名簿にも……ないです!」

俺の隣にいたサーレスが、名簿を見比べながら言っていた。

俺も、その話は聞かされていない。

ホーフブルグが用意した、完全なサプライズだった。


「おーっ!」「セイツ様」調査団の士気が、さらに上がった。

青年勇者セイツは、にこやかに手を振っていた。


「あれが勇者様か……アイロニート大陸の勇者。八勇者の一人」

「初めて見ましたよ、すごい……」隣にいるサーレスは、興奮していた。

俺も、初めて見る勇者にどこか驚いていた。


「さあ、世界の真理を知るために旅に出よう」

ホーフブルグのこの言葉で、会場は一気に異様な熱気に包まれた。

それと同時に、壇上には二人の兵士が現れた。

手には、木の掲示板を抱えて姿を見せていた。


「では、これより第一陣の発表を行う。

セイツ様も、無論……第一陣として参加をお願いできますか?」

「わかりました」

ホーフブルグに言われて、セイツはしゃがんで了承した。

それと同時に、再び団員たちが沸き上がっていた。

そんな中、木の掲示板がホーフブルグのそばに建てられていた。



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