表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

12月19日(火)〈葵〉

朝8:00。

今日もコーヒーショップに入り、オーダーの列に並ぶ。


絶対に昨日のメッセージのお礼を伝えるぞ、と意気込み前の列が空くのを待つ。


ついに自分の番となり、緊張しながら一歩前に踏み出す。ほぼ毎日見ているのに未だに彼の顔を見ると自分の頬が少し赤くなるのを感じる。

それでも言うぞ、と気合いを入れて口を開いた。


「えっ、と…覚えてないと思うんですけど…き、昨日のメッセージありがとうございました。」


言った、言ったぞ俺、と一種の達成感を感じながらも彼の返答を待っているこの時間が少し怖い。


もし覚えてないと言われたら、今日は鬼嶋の肩を借りて泣こうと思ったが、どうやらそれは杞憂に終わったようだ。

覚えてるよ、と言われ思わずほっとしてしまいそれが向こうにも伝わったのか笑顔を返された。


すっかり覚えてくれていたという事実に浮かれて忘れていたが、まだ注文をしていなかった事に気付いて慌てていつも通りココアを注文した。


彼がまた少し思案しながら何かを書き込んでいるのを横目で眺め、今日は何が書かれているのだろうとドキドキしながら待った。


書き終わった彼が渡してくれたカップを受け取ると、そこには"やっぱり寒い日にはココアだよね"と書かれており、もしかして俺が毎日ココア頼んでること覚えてくれてたのかな、と嬉しくなった。


嬉しい気持ちのまま、いつも通りお礼を言って店を後にした。






店を出てから再び受け取ったメッセージを眺め、よくよく考えてみると、毎朝8:00にココアを頼みに来る変な高校生と認識されていただけかもしれない、と先程までの喜びを自分で台無しにする様な事を思った。もし店員の間で毎朝8:00にココアを頼みに来る変な男がいると馬鹿にされ陰でココア男とか呼ばれてたりしたら生きてけないな、なんて思ったがそれでも明日からもココアを頼みに行くことをやめようとは思わなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ