黒き魔物
今回も、カーマイン視点です。
魔法 《範囲捕縛》を発動してから、二日がたった夜。
深夜に俺が宿の個室にあるベットでぐっすり眠っているところに、一人の少女が部屋に侵入し、眠っている俺に揺さぶりながら問いかけてた。
「リーダー、起きて。 獲物が引っかかった」
「ん~。‥‥あと5分だけ」
「はぁ‥‥」
アルは、カーマインが寝ているところに杖を構えた。
「《ナイトメア》 これで起きなさい」
ナイトメア‥‥闇属性魔法。睡眠状態の生物に発動できる魔法。術者が見せたい夢を対象者に見せる魔法。 対象者が魘されている間は、対象者のMPを削ることができる。
ナイトメアを発動した途端、少し魘されカーマインは目が覚めた。
カーマインは、ベッドから降り、立ち上がり少し寝ぼけている様子だった。
「急に変な夢を見てしまった‥‥」
「やっと、起きた。 カナリアも起こすから、早く戦闘の準備をして」
「戦闘の準備‥‥?」
カーマインは、まだ寝ぼけているのか、アルが言った発言を理解していないようだ。
すると、数秒後。
「‥‥っ!? 獲物が釣れたのか!?」
「そう。だから準備して」
「あっ、ああ。 今準備するよ」
そう言い、安心したのかアルは、カーマインの部屋を出て、カナリアが寝ている部屋に起こしに行った。
俺は、部屋にあるクローゼットを開け、中にある赤いローブを着て、小さいバックをかけ、部屋から出てロビーに向かった。
小さいバッグには、治癒ポーションや地図などが入っている。
◇
数分後、アルとカナリアがロビーに来て合流した。
「アル、どこら辺で釣れた?」
「南門の方にある路地」
「また、路地か‥‥。 急いでいくぞ!」
「ラジャー」
「はーい」
俺たちは、獲物が釣れたとこに急いで向かった。
◇
俺たちは、南門の近くにある住宅街に来ていた。
「ここか」
「そう」
俺たち三人は、俺が先頭にアル、カナリアの順に一列になり、路地に進んだ。
すると、俺たちは獲物を見つけた。
そこには、魔法で作られた紐のようなものに縛られている。人型で、ペンキで全身黒く塗られているような魔物が紐を引千切ろうと暴れている。
「ウッ‥‥‥‥ガッ‥‥」
魔物は、俺たちの存在に気付いたのか、こちらを見ながら唸り、暴れている。
「こいつが噂の魔物か‥‥」
よく見てみると、鋭く尖った歯に、鋭く長い爪が伸びている。
「ガァアアアアッ!」
観察をしていると、酷く暴れだし、魔法の紐を引き千切った。
そして、カーマインに襲いかかろうと走ってきた。
爪が重いのか、前かがみの姿勢で走ってきた。
「チッ。バインドが解かれた。 カナリアも何があるかわからないから、いつでも魔法撃てる準備をして」
「分かったよ。アルちゃん!」
「ふっ。いいだろう。消し炭にしてやる!」
「リーダー、やめなさい。ここは、住宅街の路地よ。国民たちを焼死させたいの?」
「ぐぬぬ‥‥」
「ここは、私たちに任せて」
魔物がすぐ近くまで走ってきた。
「《バインド》」
走っていた魔物は、魔法の紐に手足を縛られ、体勢を崩しそのまま地面に転んだ。 手足を縛られじたばたと魔物は唸りながら暴れていた。
そして、カナリアは杖を持ち、魔法を放とうとしている。
カナリアは、風属性魔法と光属性魔法の使い手だ。基本はこのパーティーのヒーラー的存在だ。
だが発動する手前で、魔物は口から尖った物をカナリアに向けて吐き出し勢いよく放った。
「きゃあっ!?」
カナリアは、魔法を撃とうと集中していたため、魔物が吐き出した物を反応できなかったが、幸い腕にかすったため、出血で済んだ。
「この‥‥っ!? 《エアロカッター》っ!」
カナリアの杖から小さな竜巻が出現し、魔物に向かっていった。
すると、その竜巻に当たった魔物の体は切り刻み、バラバラになった。
俺は、魔物が死んだことを確認し、大きな袋を持ってバラバラになった魔物の死肉を入れた。
今回の騒動は、幸い死者は出ていなかった。
「痛っ‥‥! 《キュアー》」
カナリアは、怪我した腕に回復魔法をかけた。
腕は、みるみるうちに傷が塞がっていった。
「ふぅ‥‥。まったく、ひやひやしたぞ」
「あれは、反応できなかったカナリアが悪い」
「うぅ‥‥」
こうして、魔物退治を終えた。
「またあの魔物が出るかもしれないから、もう一度魔法をかけるよ 《範囲捕縛》」
「おぉ。サンキューな」
と言いながら、俺たちは宿に向かって帰っていった。
後日。俺は、王城に行き、国王に今回の報告と入手した魔物の肉片がはいっている大きな袋を渡した。
◇
~??? 視点~
ここは、とても薄暗い建物の中。
「どうじゃった? 今回の実験は」
「はい。 今回は、Sランク冒険者『クレナイ』のアルとカナリアという者が相手でした。
結果は無残に敗北でした」
「ふむ‥‥。まぁよい。 さすがは現『炎帝』のパーティーじゃ、この程度じゃ傷一つつかぬか」
白衣を着た老人が自分の顎鬚をいじりながらいった。
「いえ、カナリアという者は、この戦闘でかすり傷を負いました」
「そういった意味じゃないわ!このバカたれがっ!」
そういい、老人は持っていた杖で青年の頭を叩いた。
「す、すみません」
「ふん、まぁよい。 もう少し『ヒュークリーチャー』を強化するわ。 本当に冒険者ってのはいい実験台になってくれるわい。 イヒヒ‥‥」
そういい、老人は闇の中へと消えた。
誤字・脱字あったらすみません。
感想、アドバイス、質問を待ってます。
悪口はやめてね。作者は豆腐メンタルなので泣いちゃうから‥‥(´;ω;`)
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