妖精国へ3
「ほらほらっ、誰かに似ていると思わない?」
みなと君は、茶目っ気たっぷりにウィンクした後、自分自身を指差す。
「んん……?」
似ている人? うーん、分かんないな……
でも、みなと君の様子だと、ヒントは出してくれているのよね。ちょっと考えてみよう。
ううーん、多分なんだけど、みなと君が似せているものは、髪型ではないのかしら? 指先が示しているのは、顔というよりか髪の毛だと私は思うんだよね。合っていると良いけど。
それで、今のみなと君と髪型が似ている人物か。
短めのボブカットだし、高確率で女性かな。
そうだとすると、みなと君が関わっている、または知っている女性に範囲を絞れるね。
ええっと、女性か、女性ね……もしかして、その人物は攻略対象者ではないかしら。
ボブカットの攻略対象者の女性といえば……
「あっ! 分かった、筒見さんだね」
ギャルゲーの方で、唯一、眼鏡を掛けている筒見葵さんではないかしら。どうかな?
「おっ、正解!」
良かった、答えが合っていたようね。
眼鏡の方に気をとられてしまったけど、そういえば、筒見さんってヘアバンドも着けていたね。うふふ、共通点は二つあったんだ。
私が青色のヘアバンドをじっと見詰めていると、
「実は、このヘアバンドの色ってさ、葵さんのイメージカラーだから選んだんだ。どう? 良いかんじでしょ?」
更に、みなと君が追加情報を教えてくれる。
みなと君、少し照れているね。話しているときは気付かなかったけど、顔には出ているようだし。
「えっ、あっ、本当だ。全然気付かなかった」
攻略対象者のイメージカラーの色を纏う。なかなか良いアイディアだね。
私も乙女ゲーの方の色でやってみたいなぁ。
「みなとちゃんも気に入ったら真似してね。仲間が増えるのは大歓迎だからさ」
「本当に? じゃあ、お言葉に甘えさせて貰おうかな」
試みるならば、日常的に色彩を取り入れるよりもデートのときやイベントがあるときかしら。
うーむ、先ずは何処かで軽く試してみたいね。いきなり、ぶっつけ本番は、失敗すると凹むから挑戦したくないし。
「……ねぇ、そのやり取りって、まだ時間が掛かるの? 私、さっさと移動したいんだけど」
「……ミーナもミナミナも、そろそろ中に入るぞ。続きは、そっちでやれ」
あら、ゆったりと時間を使い過ぎだったかしら。ちょっと反省。
では早速、妖精国へ入国するとしましょうか。




