みなと君とメールと写真
帰宅した後に、みなとちゃんからのメールが来ていたことに気付いた。
あれま、マナーモードにしてたから全然分からなかったぜ。メールが受信されると、携帯のランプがチカチカ光るとはいえ、きちんと目を向けないと気付かないもんだなー
へへへ、慣れてきたとはいえ、女子からのメールだ。偶には、初心に戻ってわくわくドキドキ感情を揺らしながら、内容をじっくりチェックしよっ!
みなとちゃんのメールを、そーっと慎重に開く。親指がする態とらしい貧乏揺すりの演技を時折止めながら……
この奥床しい行動で、そわそわポイント加点入りまーす。恋劇・好意震動の法則。俺ってば良いかんじに女の子してるぅ~~↑↑
おっ、みなとちゃん、トラブルっぽいイベントが解決して良かったなぁ。なになに、ラッキーアイテム☆孫の手が役に立った、となぁ?
えーっと、どういうことかな? 詳細が欲しい。返信する時に聞いてみるか。
メールにはあまり詳しく書いてなかったけど、どうやら、知り合いが何人か増えたみたいだ。
ギャルゲーの方だから多分女の子なんだろうけど、孫の手がどのような活躍して知り合いにまで至ったのだけは気になるな。
よし、軽く検証してみようか。
孫の手といって想像するものは、痒い所に届くスーパーハンド的のあれが目に浮かぶ。
それ以外は、ちょっと俺の頭から対象物が出てこないから、多分合っているはず。絶対に猿の手のようなオカルト物品ではない……よね?
まぁいいや、お土産さんで見掛けるタイプの『孫の手』と仮定しとこう。
で、孫の手を使用する=相手は背中が途轍も無く痒かったということか。
みなとちゃんが優しく背中を掻くことによって、掻痒感を解消したから仲良くなった説、可能性がありそうだね。
そうだとしたら、みなとちゃんらしい心が暖まるハッピーエピソードだな。トラブル系イベントではなくて、きっと、ほっこり・ほのぼのとした背中を搔き搔きだったんだろう。
幼い頃、おじいちゃんとおばあちゃんにやる肩たたきを思い出す。心がポカポカ。心がホカホカ。お好きな温もりをどうぞ。
ブレザーの上着ポケットから携帯電話を取りだして、パシャリと写真を撮る。
携帯の画面を見ると、何処と無くぼやけて見える画像が映っていた。
んー、やっぱり、カメラの画質は、携帯よりもスマートフォンの方が断然良い。文字が読めるように撮れるだけで、実はマシなんだけどね。憖、前はスマホを使っていたから、ついつい欲が出ちゃうなー
「湊、何を撮ったの?」
純ちゃんの質問に、携帯の画面を見せながら、
「初代理事長の胸像」
と、にっこり笑って答える。
笑顔の様子に純ちゃんは、怪訝な顔をする。
……俺にとっては、わりと面白いものなんだが、純一は逆に見慣れていて面白くないものだろうな。
来月、衣装チェンジ、または様子が変わるらしいので、俺は忘れない内に記録をしておきたかったのだ。
そう、今月の初代理事長の姿をな。
季節とは移り変わる。そして、同じように初代理事長の胸像も変化する。
これは毎月撮りに行くべきものだろう。
「変なものを撮るのね…………って、あっ」
「……? 蛍、どうした?」
蛍都さんの驚いた声が聞こえる。
気になる。俺と純一は、蛍都さんの視線の先へ目を向ける。
蛍都さんは胸像を見ていた。
いや、正確には胸像ではなく下の方を…………って、足!? 人間の足が?! 何で二本の足が地面に置いてあるんだ。こんな怖いものを置いとくなんて、馬鹿じゃないのか。足をちゃんと持ち帰れ! 犯人! 多分、殺人鬼or妖怪の犯人!!
ハァ~~、これでは、ホ、ホラーな雰囲気になってしまうじゃないか。どうしよう。
よく考えたら、人間の足のパーツが落ちているわけがない。普通に人が仰向けで寝ているんじゃないか。
台座の下からは、エメラルドグリーン色のトレーニングパンツを履いた足が延びている。えっと、緑色は確か三年生の着るジャージの色だっけ。三年の先輩、何やってんだ……
みなとちゃんの学校では、こんな所で寝転んでいる先輩が生息しているのか。
否、そんな人は居ない。
だとしたら、体調が悪くて倒れている可能性が高いな。至急、謎の先輩をお救いに行かねば――――!!




