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みなと君と料理部11

「……もう甘いもんでも口にしないとやってられない。くそっ、自棄やけ食いよ、自棄食い。体重なんて気にせず、デブりに行くよ!!」

「はわわっ、賛成っ! ムカムカする時は糖分が効くからね。何食べようかな~っ?」

「心のクールダウンは大切ですものね。ホホホ、一日くらいならデザート食べ放題でも、どうということでもなくってよ。あたくしは、和スイーツでお腹を満たしたいわ!」


 二年の先輩たちは、靴を履きながら今後の予定を話している。


 うおっ、よく見たら先輩たちの履いてる外履そとばきは、革靴や運動靴のたぐいじゃない!?

 ハイヒールに、パンプスに、ブーツって……めっちゃ自由人だ。すげーっ、学校のルール破りで、何でも有りじゃんか。

 これが許されるのならば、雨の日はレインブーツか長靴で登校したい。おニューのピカピカの革靴は雨で濡らしたくないし、泥で汚したくないもん。積極的に検討しとこう。






 料理部の先輩方(二年生)と争っていた怖い二年の先輩たちは、やっと下駄箱から去っていった。



 俺たちのことを最初の頃はチラチラと気にしている様子だったが、最後の方になると彼女たちの意識から完全に除外されたようだ。

 なんとなくだけど、竜頭さんがいるからからむのはめようって雰囲気ふんいきになったのかな。

 それならば、竜頭さんに守られてしまったなぁ。ガードしてくれて、サンキューです!



「……んむ、酸っぱい……」 


 竜頭さんは、おにぎりの梅部分を食べていた。

 目をしかめていて、すぼめた口元を俺らに見えないよう手で隠している。


 女子の酸っぱい顔は良いものだと個人的に思う。

 隠さなくてもなぁ……でも、恥ずかしがりやの女子もいるから、まぁ仕方がないか。



「ふぅ、ご馳走さま、大変美味しゅうございました。では、わたくしも帰りますね。お二人とも、日が落ちて辺りは暗くなっていますので、足元に気を付けて下校してください……」


 おにぎりを食べ終わると、竜頭さんは立ち上がる。


 ややや! 竜頭さんのお帰りでござるな!! 彼女には大変お世話になったので、お見送りはきちんとせねばならぬーーん。



「残っていたのって、私たちの為だよね! ありがとう、竜頭さん」

「委員長、迷惑をかけたわね。借りは、その内返すわ」


 竜頭さんに御礼おれいを言って、お見送り中。

 ありがたや、ありがたや。心の中でおがんどこう。



「わたくしとしては、あまり大したことはしていませんが、お役に立てたのなら嬉しいです――それでは、また明日学校で会いましょう」


 竜頭さん、メチャクチャ良い人すぎる。

 実は背中に白い羽とか生えてない? バックに後光とか差しているんじゃない? 地上に降りて大丈夫?


 この、天使笑顔。

 この、神のまにまに。

 この、仏のような好人物こうじんぶつ


 俺の学校には、あまり見掛けないタイプなので、ちょっぴりビックリするなぁ。

 竜頭さん、本当にライバルなのか? 

 塩だけでなく砂糖や味噌をまとめて箱詰めでてきに送る優しいタイプだろうに……謎だ。

 





「……遅れてごめん! 二人ともすごく待たせたね!」


 竜頭さんが下駄箱から去った後、ぐに純ちゃんが昇降口からやって来た。

 もうちょっと早ければ、竜頭さんとすれ違うベスト・タイミングだったな。純ちゃん、惜しい。



 そんでもって、そういえば、俺たちは純一を待っていたのだった。若干忘れてた。



「待ちくたびれたわ、純」

「悪いね、実は先輩たちに捕まって、少し話し込んでしまったんだ」


 ダッシュで此処ここへ向かったのだろう。ちょっと息が荒く感じる。



「俺のことより……そっちの部活は、どうだった?」


 下駄箱の鍵をカチャカチャと掛けている最中さいちゅうの俺に、純一は話し掛ける。

 俺の背後に立たないで欲しいなぁ。



「んー……今日は仮入部だったから見学だけだったけど、わりと面白かったよ。それに、お土産みやげのおにぎりも頂いたし、先輩方は優しかったし……楽しい部活動だったね」


 毎日のように部活動があるガチガチの運動部ではなくて、週に一日~三日程度の活動内容であるユルユルの文化部というのも高ポイント。


 今の俺は、女子歴一年(いちねん)未満のヒヨコちゃんだ。

 だから、まだ女の子というものに慣れていないので、いきなり運動部に入部するのは、ちとハードルが高過ぎてしまう。

 ずは、小さなことから兀々(こつこつ)と経験値を貯めていくつもり。女子力(?)をどんどこ高めていきます。



「そっちは良さげの部活だね。俺の方は熱が入りすぎて疲れそうだったよ」

「ならば、次は別の部活動を見学するのかしら?」

「うん、一通り見てみるつもり。入部を決めたら二人に伝えるよ」

「――いっそのこと、壬生と同じ部活にしたら?」

「それも良いかもね、疲れた……」


 やはり運動部を選択肢から外しておいて良かった。

 体力がありそうな純ちゃんがお疲れモードだもん。からの着いたヒヨコの俺では、絶対に無理。



 俺と蛍都さんのおにぎりを疲れ気味の純ちゃんに手渡す。

 これでエネルギーを充電するのだ。炭水化物でHPを回復!


 あっ……とても喜んでいるところ悪いけど、食べるのは家に帰ってからだ。此処で食べると更に遅くなるからね。腹ペコでも我慢だ、純一。



 そうして、俺たちも昇降口を出て、家に帰った。 





 








 活動報告に来年の更新日を書き込みました。

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