攫われたみなとちゃん3
船内を徘徊している宇宙人さんたちに警戒しながら通路を歩く。何度か彼らを見かけたけど、幸い遠くの場所で隠れていたので見付かることはなかった。
ふーそれにしても、宇宙人さんたちは、個性的な格好をしているなぁ。全員ロボットアニメのパイロットスーツのようなサイバーっぽい服を着用していてカッコいい!
多分みなと君は女子に着てもらいたいんだろうなぁ。山田さんもここに住んでいるのなら着ているのかしら。デザインがなかなか素敵だから女性でも似合いそうね。
もしも女性が着るなら、ぴっちりと密着した素材だからセクシーな印象を与えそうだね。私はセクシー過ぎて恥ずかしいから、正直着たくないかな。今は、みなと君だから着用しても気にならないんだけどね。
軽く考え事をしながら物陰に隠れる。どうやら、人が集まりやすい場所が近くに存在しているらしく、なかなか進みづらい状況になっている。
こういう時は何かで彼らを誘導させて、ささっと部屋を調べるのがベストだよね。
先程見付けた部屋で注意を引く道具がないか調べてみよう。何かしらあるといいんだけど……
とりあえず、使えそうな道具を幾つか見繕ってみました。
まず一つ目はキッチンタイマー。時間を指定して音が鳴る道具です。目覚まし時計のように大きな音は出ないけど、充分に彼らの注意を引けると思います。
二つ目はロボットの形をした動くおもちゃです。箱の中にあった取扱説明書によると、喋って動く高性能なおもちゃみたい。これを通路に放てば注目度抜群で、誘導させるのに持って来いです。
ただ箱にプリントしてあるロボットの外見と違うのは気になる。実は中身がすり替わったりして……ま、まさかね。
三つ目は精巧に出来た本物そっくりのおもちゃです。意外な場所にこれを置いて相手をドッキリびっくりさせます。
んーでも、見付かりそうになった時にささっと使い、相手が驚いている隙に移動する作戦もいいかも。是非、これも視野に入れましょう。意外と汎用性が高そうなおもちゃだし、色々使い道を考えられそう。
そういえば、このおもちゃは種類は豊富だったけど、私が苦手な生き物のおもちゃは持ってこれなかったなぁ。私が触れられない生き物は、使った時に私も悲鳴をあげる可能性があるし、しょうがないね。
よし、これらを使って彼らを誘導しよう。上手くいくといいな。いや、上手くやります!
まずは水玉模様の箱にキッチンタイマーを入れて、ついでに蛙のおもちゃを周りに敷き詰める。
一匹だけだど何とも思わないけど、沢山いると偽物だとしてもドキドキするなぁ。開けた人もびっくりするといいんだけど。
音が漏れるように、箱に隙間を空けるのも忘れずに。うーん、穴をあける訳にもいかないし、箱を半開きにしとけば音は聞こえるかな。時間があればどれくらい音が聞こえるか実験をするんだけど、今回はぶっつけ本番です!
うん、上手くいくかドキドキするなぁ。
私は多くの宇宙人さんたちが集まっている場所から離れた部屋に、この仕掛けを施した。音を鳴らすことによって、私の入室したい部屋から気を逸らす効果を狙う為である。
誰も居ない部屋で音が鳴っていたら不審に思うし、運がよければその部屋を調べるために留まってくれるかもしれない。うまく時間稼ぎになるといいけど。
さて次は、ロボットのおもちゃに活躍してもらおうかしら。
私が音が鳴るロボットを通路を放ちます。そうすると、あら不思議! 通路が騒がしいのに気付き、彼らが部屋から出て行きます。私は居なくなった隙に、パパッと水晶玉を探す算段です。
まあ、かなり見通しが甘い作戦だけど、初めてはこんなものだよね。
もっと緻密で高度な作戦は次に考えよう。うん、なんか凄そうな作戦は次に考えるから、今回は急ごしらえで進めていきましょう。
では早速、ロボットを起動しよう。確か背中のボタンを押すと動くんだよね、ポチッとな。
ロボットはピコーンと起動音が鳴り、目が赤くピカッと光った。ひゃー、ついに動き出すかな?
「貴様男イヤ……女カ?」
あっ、喋った! 喋ったっていうより話し掛けられたね。
「一目見ただけで性別を当てるなんて凄いなぁ。どうやって感知をしているのかなぁ」
「女カ……ナラ用ハナイ」
ギギギっと軋む音を鳴らして、私からロボットは離れて行く。
おっと、ぼーっとしている場合じゃない。ちょっと計画は狂っちゃったけど、作戦を始めないと。
「ちょっと待って! 君に頼みたいことがあるんだけどいいかな?」
「ナンダ粛清カ?」
いや、粛清だなんて物騒なものを頼みたい訳ではないので。
「えっとね、あの部屋にいる方たちを遠くへ移動させたいんだけど、頼めるかな?」
「ソレハ男カ?」
何かやけに男性に拘るロボットだなぁ。男性に興味を持つプログラムでも仕込んでいたりするのかしら。
「うーん、俺はまだ一度も女性を見掛けていないから、あの部屋にいるのは多分男性だと思うよ」
「了解シタ」
話が分かるロボットさんで良かった。じゃあ、私は見付からないように、隠れましょう。
暫くして、男性陣の絶叫、阿鼻叫喚、悲鳴が聞こえました。あの部屋で何が起きているのかしら。
どきどきしながら状況を見守っていると、バタバタと足音を立てながら慌ただしく部屋を出て行く音が聞こえた。
またギギギと軋んだ音を立てながら、彼らを追いかけていく怪しい音も聞こえる。
ついに私がいる周辺は、しーんと静まり返った。
……何か思っていたよりも上手くいったけど、ロボットさんに追い掛けられていた人たちは大丈夫なのだろうか。彼らにとって予想外のアクシデントだったみたいで、すっごい奇声と悲鳴が聞こえていたんだけど。
うーん、気になるけど時間制限があるし、今回は様子を見に行けないなぁ。
予期せぬトラブルを起こしてごめんなさい。次回はもう少し控えめな作戦を練るので、今回は許して下さい。
私は心の中で今回の騒動を謝る。しっかり心に刻んで次に繋げないと。
そういえば、キッチンタイマーの仕掛けは要らなかったなぁ。明日、時間が取れたらカレンちゃんと反省会でもしよう!
「そうだ、彼らが戻ってくる前に部屋を調べなきゃっ!」
部屋の中に入ると、大きなテーブルが六つ配置している広い空間が現れる。コンビニに置いてある冷蔵庫のようなものが設置しており、様々な液体の入ったボトルが置かれている。
ここはカレンちゃんが言っていた休憩室かな? 携帯ゲーム機や本、ボードゲーム等がテーブルに置かれているし、テレビのような液晶パネルも壁に取り付けてあるようだしね。
さて目的の物を探さないと――きょろきょろと辺りを見渡す。すると、奥のテーブルの端に紫色の水晶玉が置いてある。
あった! カレンちゃんの言うとおりテーブルに置かれている。
「カレンちゃん、見つけたよ! この転送装置ってどう使えばいいの?」
『さすがミーナね! 初めてなのに、こんなに早く見付けるなんてとても優秀だわ』
「うーん、色々とイレギュラーな事が起きたから、こんなに早く見付かったんだと思うよ」
『そうなの? まあ帰ったらそれについて教えてちょうだいな。転送は水晶玉に触りながら行きたい場所を念じれば移動するわよ』
転送方法は結構簡単なんだね。
では、やってみますか。
みなと君の家の近くにあるこじんまりとした可愛い公園を思い出す。
気がつくと、私は公園のベンチに座っていた。
「転送は成功したようね」
「カレンちゃん、迎えに来てくれたんだね、ありがとう」
「ふふん、主人公のサポート妖精なんだから当たり前よ」
そう言うとカレンちゃんは、ベンチに引っ掛けてある手提げ袋とかけてあるジャージの上着を指差す。
そういえば、私は寝巻きで裸足スタイルだったね。
「それ持って来たから、ちゃっちゃっと着替えて、ここを出ましょう」
「そうだね、もう少ししたら朝の散歩をしている人とすれ違うし、走って帰らないといけないね」
急いで運動靴を履いてジャージを羽織る。
「あと最低でも二回、最大で四回は連れ去られるから、覚悟した方がいいわよ」
えぇー、必ずあと二回は船から脱出をしないといけないのか。
つ、疲れそう。でも、これも能力アップの為だ、頑張りましょう!
そうはいっても、今日はさすがに疲れたから、頑張るのは明日からにしよう。休息は大事だからね。
紫愛の指輪:山田ハナ子をイメージした装備品。妖精店にて高額で売られている商品。装備中に勉強や運動を行うと通常より能力値が上昇する。また山田ハナ子の遭遇率と好感度も上がり、特殊イベント時には通信機能がつく。
※各キャラクターのイメージした装備品は特殊イベントをこなすと妖精店で販売される。




