みなとちゃんの初デート
「ふーん、レトロちっくで、なかなかオシャレな喫茶店ね。ねぇ、港君は此処によく来るの?」
「えっ、い、いや、あんまり、かな?」
虹野さんとの買い物休憩に、純ちゃんオススメのカフェに入った。
目的は、このお店の美味しいコーヒーである。疲弊しているから、精神エネルギーを回復したいなぁ。
「そうなの? うふふ、それじゃあ、今度からは夜美と二人っきりで来ましょうね」
「え? うん……考えとくよ」
……危ない、危ない。完全否定だと、また朝みたいに詰め寄られるかもしれない。
卑怯かもしれないが、ここは曖昧にぼかしとこう。
「今日は港君と一緒にお買い物できて、夜美、とても楽しかった。夜美と付き合ってくれてありがとう」
「う、うん、それは良かった」
買い物を楽しんでいた虹野さんには、申し訳ないけど、緊張と恐怖で生きた心地がしなかったなぁ。
一体何で虹野さんの地雷を踏むか、冷や冷やさせられたよ。
「港君も夜美のこといっぱい、いっぱい、いーっぱい知れて……今日、とても・とても・とても楽しかったでしょう?」
「……そうだね」
とりあえず、虹野さんの知らない一面……というか、好きなもの・嫌いなものが、ある程度は分かったかな。これをどう生かせばいいのか、私には分からないけど。
「うふふ、そう、そうなんだ。港君も夜美と同じなんだ。うふふ、嬉しいなぁ、嬉しい、幸せな気分」
虹野さんは満面の笑顔で私を見つめる。
まるで無邪気なお姫様みたいで可愛らしい笑顔。
みなと君だったら、多分胸がドキドキするのだろうなぁ。なんで私は、みなと君なんだろう。
「港君、また夜美と一緒に遊ぼうね」
虹野さんは、ニコニコと嬉しそうに笑いながら、こちらに手を伸ばす。
「それは止めた方がいい」
えっ、誰?




