みなとちゃんの休日
ジリリリリリリリ
昨日、セットしておいた目覚まし時計が鳴っている。
まだ眠い、二度寝したい。だけど、みなと君になって初めての休日だ。
気持ちの良い朝だし、早く起きようかしら。
「ふあー、朝ごはんは何を食べようかな」
「あら、港君、やっと起きてくれたんだ」
――布団の中に何者かがいる。
私は恐る恐る布団を捲る。すると、銀髪の少女が楽しそうに笑いながら寝転んでいた。
「グッモーニン、可愛い寝癖がついてるよ、直してあげようか?」
「に、虹野さん、おはよう、その、どうして、ここに、いるの、かな?」
今、朝の七時なんだけど、いつからベットに潜り込んだのだろうか?
いや、抑々、どうやって火置家に侵入したのか。あんまり深くは考えたくないな。
「うふふ、港君ったら夜美とのデートを忘れちゃったの?」
「…………でーと? 悪いけど、虹野さんと遊ぶ約束は、していないと思うんだけど」
正直、虹野さんに遊びに誘われても、私は絶対に断ると思う。本当にそんな約束をしたのかしら?
「うん、そうだよ、港君とデートの約束なんてしていないよ」
「だ、だよね、良かった」
はぁ、虹野さんとデートの約束なんて記憶になかったから焦った、焦った。
「だってぇ、港君、誘っても夜美と遊んでくれないでしょう? 未だに夜美の連絡先を登録していないしぃ、つれない人……でも好き」
「そ、それは……そうだけど」
虹野さんと関わりたくはないので、貰った紙切れは机の引き出しの奥に仕舞ってある。
まさか、机の中を漁ってない、よね?
「うふふ、港君は正直者だねぇ。正直すぎて夜美は、悲しい、寂しい、辛いなぁ。夜美の心をこんなに傷つける男なんて、学校には居なかったよ」
「……ごめんね」
「――謝るってことは、今日一日、夜美と遊んでくれるってことだよね? やったー! 港君と初デートだ、嬉しいなぁ」
「えぇー!? それは、ちょっと無理というか……」
私が虹野さんのデートを断ろうとすると、彼女の態度が急変した。
私の手首をぎゅっと掴み、顔を近づけて、ぼそぼそと呟く。
「港君……夜美と一緒に遊んでくれるよね? 夜美と一緒にいるよね? 夜美と今日一緒に過ごすよね?」
「は、はい……一緒に遊びます」
うわーん、虹野さんの目に光がなくって、怖くて同意してしまった。
はぁーー、しかたがない、今日は虹野さんと過ごすしかないよね。
……怖い目に合わないといいけど。




