プロローグ
プロローグ
エルシア大陸にはある伝説が残されていた。
世界全土を作成したと言われる天上の神が人間にある審判を千年に一度下す。
その千年に一度の審判を潜り抜けて<神の審判>を合格した者が現れた時、その者にあらゆる生命を操る力を分け与えて神は再び眠りにつく。
<神の審判>を合格する人間が居なければ全ての地上を神が滅ぼすという。
エルシア大陸に最初に住み着いたのは、一人の青年と天女のような美しい少女であった。
異界から来たとも、神から遣わされたとも後に言われる二人は、子を授かり、移住してきた民達と共に大陸を栄えさせた。
神から遣わされたとされる者達を中心に人々は神を崇め、<天界塔>を建て、その周囲に神殿を建設し、長い平和と繁栄を祈り、時は過ぎていった。
しかし、人は繁栄と豊かさを知ると、より大きな富を求め、土地、金品、農作物などを取りあい、争いを始めた。
次第に人々は神への信仰を忘れ、<天界塔>や神殿に供物を捧げる者もなくなり、その周りは鬱蒼とした森林に囲まれ、廃墟と化していった。
その争いが続いて数年経ったある日、突如大きな災害を引き起こす天災に襲われ、大陸に住む者達は逃げまどった。
妖怪が何処からか現れ、人々を食いちぎる。
流行り病が人々の命を奪い、大地が裂けて作物を枯らし、海は波が牙のように襲いかかってくる。大きな津波は大地や人々も飲み込んでいった。
人々は恐怖に怯えながら日々を過ごすが、やがて現れた妖怪たちと戦い出す者が現れた。
その者達は<天界塔>から妖怪が沸き出してくる事をつきとめる。
天界塔は、神を祀り、神の元へ辿りつく天界へと続くと言われてきた塔。
神が怒っている。
誰しもがその時に絶望に苛まれた。
しかし、滅びを待つより、神に挑む事を決意した者達が<天界塔>へ登る事を決意した。
古くから聳え立つ廃墟と化した塔<天界塔>にあらゆる自薦他薦の屈強な達が揃って登った。
天界塔から現れる妖怪共に、次々と精鋭達の命は失われ、最後の一人となった青年はその塔の最上階に辿り着いて、神が与えたとされる<神の審判>に打ち勝ち、失われた者達の命を取り戻した。
天災も収まり、妖怪も姿を消し、人々は歓喜に沸いた。
その者達の子孫がエルシアの全土を治め、繁栄を極めた。
神に認められた力を持つ者が、その伝説の力を持って、混沌にあれはてたこの世界の秩序を回復し、平和に導く事が出来るという伝説である。
それが時の経過と共に伝説となり、再び人々は争い、命を奪いあい、神への信仰を忘れつつあった。
やがてそれぞれの意見の対立などから、エルシア大陸は二つの部族に分かれ、ソグド族が東側を、リラ族が西側を治めることになる。その境界では何年もそれぞれの地の支配権を巡り、小競り合いが続いた。
そして長い時が流れ、再び<神の審判>の日が近づこうとしている時、エルシア大陸はかつてない大不況と、不作や天災に襲われていた。
伝染病が流行り、作物が不作に、度重なる地震や落雷の恐怖に怯えながら暮らしていた。
伝説を信じぬ者も多かったが、エルシア大陸を襲う謎の天災続きに、彼らも遂には<預言者>に頼る事になる。どちらの部族でもその伝説に乗っ取り、特殊な能力を持つ<預言者>に、天上の神の審判に勝つ者を占わせた。
<預言者>は、神の意志を受ける者とされ、伝説に残る、神の審判に勝ち残った青年の子孫の力を強く受け継いだ者がそれぞれ一族に代々一人ずつ任命された。
そして預言者は、共に一人の者の名を口にした。




