#8 戻った後に
ぐっすり寝ていたのに何か嫌な感じがして目が覚める。居間には誰も居なくなっているわけではなく、可愛い姪っ子が隣でお昼寝中。まだ眠いのに神経が研ぎ澄まされて無理矢理起こされている感じがする。どうせ厄介事だろうな。
面倒ごとはやだな。などと考えながら部屋から着替えを取ってシャワーを浴びる事にした。
髪を乾かしながらろそろ切らないと、そう言えば昔等とりとめない事を思い出しながらタンクトップの上にシャツを羽織る。「起きたんだ」と声をかけながら客を通している姉に頷き。後ろの客に目を向ける。至って普通のオッサン。家に何の用だろう。
「君が例の」と呟いて正面に座ったと思うと用件を切り出してきた。
「ストロングさんと言う異世界人の事は知っていると思うが、どうにかして貰えないか」と困り顔をしている。
「どうにかして。と言われても、こちらに来たいと言われたので規定通りにそちらに落としましたが?」
「間違っいるわけでは無いが、制御出来なく困っている。何か方法は無いものかと」
「さあ。確か快楽主義者でしたから好きな事を与えてその代わりに仕事を。まぁ、軍人だったんで、警備とか護衛とか殲滅とかをしてましたよ。そのぐらいの能力があるから大佐を任命されてましたし」
「軍人なのは解っている。来て早々警備を蹴散らしてくれたからな」と思い出しているようで息が荒い。文系と思ったら武系だったか。制御は無理だろう。あれだ。身内に置いて監視しつつ面倒事を初期段階で処理した方が良いか、手放して暴走させるかの2択だよね。つか、何時間たってるか知らないけど、大層注目されてるよね〜。
「快楽主義者か。成る程、何か興味を示すことを与えれば良いか」そう言って立ち去ったが、色事は飽きたといってたから女じゃ制御出来ないはずだが、別にそんなことを教えなくても大丈夫だよね。多分、世界の知識を学習するのに楽しみを見出だすかもだし、頭のいい人だから本家の所有する本を与えれば、こっちにも適応するんじゃないかな?ま、私には関係ない事だけどね
「そー言えば、皆いらっしゃるんだよね?どこに居るの?母さん達もだけどさ」とお見送り後の姉に聞けば娘の寝顔をみながら
「ああ、本家の説明会と葬式の中止に奔走してるよ」とのことなので、今後の事を決めるためと言うか私の身の振り方を話すために葬儀会場に行く。
祭壇を撤収している葬儀社、参列者に頭を下げている両親と兄弟。を見ながら入口に行くと驚いている人が沢山いる。あ、上司発見。するするっと近づき「この度は」と声をかけると更に驚きつつ「どうなってるんだ」と苦情を言ってきた。当たり前の事だけどさ。
「事故の時に間違われたみたいで」と説明。一応怪我(術の対価として、血肉をごっそりとられました)もしているので、納得はしていない風ですが帰られました。怪我の具合から退職を願い出たら後日、書類を提出するようにとのご達しが…。ですよね。死んだと言われたら生きてるとか、面倒事は会社も嫌ですよね〜
会社の事も片付けて、両親の元に行く。
「大丈夫?」と心配してくれているが今は無茶します。
「父さん。父さんの代で本家と手を切って。と言うか、今回の件をもって。と言ったら言いかな。別に本家に従っていて良いことなんて無いしね」
チョット驚いた顔をしてから「お前が継がないのか?」と聞かれた「継がないよ。誰が、自分を殺そうとする人に従う?と言うか、分家である意味が分からない。特に継ぐ技術も特性も無いしね」
「そうか。父さんも年だから次の代に。とは思っていたが。お前がそういうなら、それでも良い」少し寂しげに決断をした父を見ながら申し訳なくなるが、仕方がない。継ぐ気ないし。
「じゃ。その旨、叔父さん達に伝えてくるから。どこに居るの?」「多分、会場にいるわよ」と教えてくれたので、足を向ける。
「ついていくか?」と言われたが、断っとく。私のケジメだし。ホールには見慣れたと言うか、面倒事は押しつける困った親族の叔父さん・叔母さんがいた。
「すみません。お話があります」と呼ぶとこちらに来てくれる。「本当に生きてる〜」と呟いてるのは、従姉妹だ。ニッコリそちらを見て笑いかければ、顔を反らされる。なら言うなよ。
「こんなところで何ですけど」と父さんが、当主を辞めること。娘達は誰も継がない事を伝える。父よりも年上の叔母さん達は既に還暦を過ぎてもうすぐ古希になろうとしている為に納得しているが、としが離れた叔父さん(50歳)が反対している。
「なら、家督を継いで下さい。私は特に必要無いので。まぁ、そんなに面倒な事は無いので。本家に行って書類出せば良いのかな?詳しくは、本家の方に聞いてくださいね。では」と頭を下げて帰宅する。手伝いをしてくれる近所の人たちに頭を下げながらだけどね。粗方面倒事を片付けたな〜。は〜しんどい。無能、無能とバカにされた半生。根性で生き抜いた異世界。帰ってきてからも半分根性だったな。良い仕事に就いたのに、面倒さい事に巻き込まれたし…
人生波乱万丈?
人よりチョットだけ特殊なだけか?
「何でこうなった」呟きながら通された部屋を見渡す。
質の良い家具。掃除の行き届いた部屋。そこに座っているのは、若くて40歳〜70歳位までの高学歴の人たち。
は〜とため息を隠さずついて空いている席に座る。居心地悪いし。何で呼ばれたのか皆目見当つかないと言いたい。
私ぐらいの能力は普通に有る。強い力では無い。唯一特徴が有るとすれば返せ無いくらいかな〜。呪わば穴二つにならないが、確実に落とせないのが難点です。
「なに用ですか?」と面倒臭いと云う顔を隠さない私に憤慨しているみたいだが、考えるだけただじゃん。君たちの部下でもないし。「なんのようですか?ただの一般市民に」
「一般市民は、異世界渡りをしないですよ。お呼びした理由なんですが、送り返したい人がいるのでご協力を」と突っ込みを入れながら説明されました。
「あ〜。失礼ながら無理です」ざわめきが起きた。そんなに返したいのかな?
「ご自分の能力を見せつけたくないか?いくら出せば良い」と言われましたが、無理です
「いや〜。いくら積まれても無理です。対価で渡しちゃいました。それに力が薄いこの世界では、まず実施したところで失敗するでしょ」その言葉に苦い顔をしている人がいる。「送り返す事はできないと」
「そうですね。まず無理でしょう。送り返す場所も特定できないと門を開くだけ無駄ですし」
「はあ?どういう事だ」あれ?そんなこともわからないの?
「開くだけなら開きますよ既存の術でも。だけど、送り届ける場所がわからないなら送り返す事は出来ないじゃないですか」
「ああ。そうゆう事か。なら、術に場所を追加したら」なんとかなるのではないかと、皆さんうなずき合っている。と言うか、気づかなかったのかよ!!お偉いさん
「用件は、それだけなら私は失礼します」断り退室しようとすると止められる。
「君は、一族の術を網羅しているか?」術を全部覚える記憶力なんて無いからね
「残念ながら、皆さんより私は知らないと思いますよ。なんせ落ちこぼれですから。分家を継ぐ話がでたのも、私以外家を出たから仕方がなく。と言うことですし。現に私ではなく叔父が継いでます」
「そうか。有難い助言感謝する」その言葉に礼をしてホテルにもどる。
こっちに戻ってから1週間結構忙しいな〜。仕事を辞めて、直ぐに呼び出されて。ゆっくりしたいよ〜。小金もあるし、湯治とか。あぁ。未だ傷が治ってないから無理か〜。明日の昼間に戻るし遊びに行こうかな。動物園とか水族館とかあるだろうし〜。とベッドに転がりながら考えているが動くのが面倒。少し寝るか。と休憩することにした。
まどろみのかな、携帯が鳴っているのに気づき開くと知らない所から。何の用だろうと出る(出るなよ。オイ)
「どなた?」
「え〜っと」何かイラっとしたから切る。ついでに着拒否もして、尚且つ電源を落として再度入眠。
なんか、ゆっくり出来ないよね最近