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今回は短いです...
まずは整理しよう
私は今、前世(?)でプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢になっている。
そして平民になるために断罪イベントを作り上げ、その後は楽しくこの世界を満喫と.......
で、私は今4歳だから、16歳まであと12年.....
12年間も私はこの生活をしなきゃいけないのか.........
.....仕方ない。平民になるために、悪役を磨くしか道はないのね!!
.....てか、私は初めから王子様との婚約は決まってたけど.....まだ会ってなかったんだね.....
昨日ランに「お嬢様!明日は王子様とのご対面ですね!!」って聞かされたわけだけど、あんまり乗り気じゃないなぁ.....
まず4歳って...まだまだ赤ちゃんみたいなものじゃん?その赤ちゃんみたいなものがこんな言葉ペラペラ話してるのも怖いけど、それは仕方ない。中身はJKだもん。
4歳同士で何話せって言うの...お花さん綺麗だねぇって子供っぽく言ってればいいの??お絵描きでもしてればいいの!?
「ねぇねぇラン、王子様見たことある?」
「いいえ、ございませんね...」
「そっかぁ、どんな人なんだろうね?」
知ってっけど。
めっちゃイケメンって知ってるけど。
「どうでしょう...ですがとても気弱だと聞いております」
「へぇ!私と大違い!」
ほお...気弱.....なら可愛い系男子になるのかな!!
ちょっと残念...私ワイルドな人の方が好きだわ
「リル、もうすぐ王子様がいらっしゃいますからね。子供だからといって失礼なことをしちゃダメよ」
「お母様!大丈夫ですわ!私、この日を待ち望んでいましたのよ!」
よし...とりあえず第一印象はうざく.....
王子様はずっとリルのことをよく思っていなかったから
だからあんなに早く主人公に目移りしてしまった...
なら、リルは子供の頃から王子様を困らせていたに違いない!
しつこく迫ればいいんだ!!
「ラン!戦いは今始まるんだよ!!」
「はい!そうですね!」
「リリア様、ご到着なされました」
来た.......ついにご対面...!
「さぁリル、こちらへ」
「は、はい」
リリアの誘導でリルは外へ足を進める
リルの胸には期待と恐怖、好奇心でいっぱいだった
より良く、効率的に悪役になるかを考え、王子のいる馬車の前に立つ
ゆっくりと、馬車の扉が開かれた
「アルト様、足元にお気をつけください」
「うん、ありがとう...」
この子がアルト.....私の婚約者.......
.....めっっっちゃ可愛いやん...
「王子様、ようこそいらっしゃいました。」
「ご、ごきげんよう」
か、噛んじゃったぁぁぁあ.......
あぁ...ランに笑われてる...........昨日キッチンでつまみ食いしてたのバラしてやるからぁぁぁあ!
「僕はアルトです。貴方が僕の婚約者なのですね...?」
「え、えぇ!そうですわ!私、リルと申します!」
ちょっとだるいと思わせるには厚かましく、図々しくいかないとだめだよね!
「アルト様!まずは仲を深めるために二人きりにならないといけませんわ!さぁ、こちらにいらして!」
「えっと.......わっ」
リルはアルトの腕を思いっきり引っ張り庭へ向かう
少し顔を歪めたアルトだが、すぐに立ち直り大人しくリルの後ろへと着いていた
「ねえ、アルト様!私のことはリルとお呼びください!敬語もいりませんわ!!」
「う、うん。わかったよ、リル...」
うーん.....リルはどうやって王子様に嫌われてたのかなぁ...
多分、ゲームの中にそれらしき情報書いてた気がするけど.....
なんだっけ.....王子様が女の子と話してたら怒ったり、その女の子をズタズタにしたり.......こんなんだっけ.......
ただのメンヘラかヤンデレ女だけど...とりあえずこれをしていかないと嫌われないんだね?
「ねぇ、リル」
「.......えっ、あ、な、なんですの?」
き、急に話しかけるからびっくりしたぁ...
「嫌じゃないの?会ったことも無い僕と婚約するなんて.....僕達まだ子供なんだよ?大人達の言ってることは難しくて分からないけど、僕達は縛られちゃいけないと思う。リルはリルの好きな人がすぐに見つかるし、やっぱり可笑しいよ.......」
.............こ、この子、なかなか大人っぽいこと言うじゃないの.........
お花の話とかなめたこと考えて申し訳ない...
けど、王子様には悪いけど...
「私、アルト様と結婚出来るなんてとても嬉しいですわ!そんな気にしなくてもいいんです!」
アルトの手をそっと握る
無意識に、リルは柔らかい笑みを向けて囁いていた
「私は貴方を心から尊敬しております。アルト様に無理をさせるつもりなんてございませんわ...でも、どうか少しずつ...少しずつでいいんです...私に慣れてくださいませ」
「...........!」
まずは婚約というものを完全にしないといけないね.....王子様...君は私の夢のための道具でしかないんだよ!!
だから上手く使われてね...!
「.......うん、ありがとうね」
アルトがリルの手を握り返す
その頬は、薄いが赤く染まっていて、その笑みはどこかとろんとしているようだった
「さて、まずはお互いのことをしらなくちゃいけませんわ!」
「うん.....リルのこと、全部教えてほしいな」
「リル、王子様とはちゃんと話せたかしら。迷惑をかけてないわよね?」
「えぇ、大丈夫よお母様!」
「...そうね、私の娘だもの。下手なことするわけないわよねぇ」
「ふふっ、お父様に似なくて良かったですね!お嬢様!」
「ラン!どういうことですの!」
「あの人が居なくなった今、私だけでこの家を支えていかないとと思っていたけれど.....リル、貴方は私に似てとても強い子よ。少しは役に立ってもらうわ」
「もちろんですわ!」
そうだ、リルのお父さんはリルが産まれてから暗殺されたって話だね
アルヴァハン家は悪役令嬢が育つ家、そりゃ恨みかったりするわな.......お母様の噂もあんまり良くないし、どうせ変なことやらかしたんだろーね...
しっかし...今日はなんか楽しんじゃったなぁ.....
王子様の話聞いてると、毎日お勉強やら剣の稽古やらですごくしんどそうだったのに、王子様はそれが楽しいって...
私だったら発狂もんだわな.......
まぁ私の好きなことって言ったらショッピングとかカフェ巡りだったけど、そんなの言えるわけないし.....
とりあえず嘘つくしかなかったよね.........
お裁縫が趣味で毎日ずっと縫ってますの!って言った時は本当に泣きたくなった。
でもそんな話でもちゃんと話聞いてくれたし、質問も多々あって面白かったなぁ.....ふつうに王子様、カッコイイ.........
...けど残念だけど私は平民ルート目指してっから!!!
そっから筋肉質の高身長イケメンと結婚して幸せな平民生活送るって決まってるから!!!
けどそれまでは、なるべく仲良くしていたい.....
主人公は徹底的に、潰さないとダメだけど。
「お嬢様、今日はお疲れでしょう。もう寝てください。明日もいつも通りに戻るんですからね!」
「えー!またお勉強ー??」
「当たり前です!!」
今日あったことを振り返り、この先の数々の壁に向けてリルは頭を働かせる
順調に...ゆっくりと.......嫌われていくんだよ.....
そしてはやく主人公と接触させて、終わりを迎えるんだ.....
投稿日はバラバラなので、待っていてくださると有難いです。