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我が心、行方知れず

「へー、コイツがねぇ」


「よ、よろしくお願いします!」


 緊張した様子で特殊個体は、自身に目を向けてくる冒険者へと頭を下げ、挨拶した。


 ミキサンから、この目の前にある子供が自分達の探していたスライムだと聞かされた人々であったが、見た目が見慣れたスライムではなく人間の子供にしか見えないせいか、スライムと言わてもいまいちピンと来ていない者も多かった。


 それを察してか、ミキサンが特殊個体へと目配せする。

 特殊個体は、小さく頷いた後、一同の注視する中でポヨンと人型から見慣れたスライムへと変化した。


「おー」


 沸き立つ感嘆の声。

 特殊個体が照れくさそうにぷるぷると体を奮わせた。


 その人間くさい仕草に―――これは本当にスライムなのかとミキサンは思う。

 不思議な目を向けるミキサンをよそに、集まった人々に好奇心のこもった目を向けられ続ける特殊個体。

 そんな者達に向けて、


「なにはともあれご苦労様。もう散って結構ですわよ。ワラワラと鬱陶しい」


 そう言って、ミキサンがシッシッと虫でも払いのける様に小さく手を振った。


「……悪魔だな」


「あら? ご存知ありませんでした?」


 オッホッホッと悪魔が高らかに笑う。

 無償で散々捜索に付き合わせておいて、用が済んだら鬱陶しいと吐き出すミキサンに、周りの者達もただ肩をすくめて笑うしかなかった。

 

「どうせ行き先はみんな同じだろ?」


「もっともですが、わたくしはあなた方の帰りの面倒まで見る気はありませんわよ?」


「そう冷たい事言うなよミキ嬢」


 笑ってランドールへと向けて歩き出す一行に、行き先が同じなのは事実であるし、まあいいかとミキサンも歩き始めた。


「ちょっと待て! 魔王!」


「なんですの?」


 歩き始めてすぐ、ミキサンを呼び止める声があった。

 ミキサンが振り返った先には、統一された黒服を纏った数人のカラスが、少し難しい顔をして立っていた。


「そいつをフォルテ様の許可もなく、街に住まわせる気か?」


「いけませんの?」


「いけませんに決まっているだろう……」


 呆れたようにカラスの一人が言う。


「今更スライムの一匹や二匹が街に居着いたからといって、何が変わる訳でもありませんでしょうに」


 そう述べ、問題など無いと言わんばかりの態度をして、ミキサンは止めていた歩みを再開させた。

 ランドールには現在、何処から紛れ込んでいるのか多くのスライムが街のあちこちに居座ってしまっている。もはやそれが当たり前の風景のように。

 特殊個体とはいえ、今更スライムが一匹増えた位では何の変化も無いだろう。


 歩みを再開させたミキサンを追って、カラス達も慌てて歩き出す。

 カラスの一人はミキサンの隣まで来ると、その歩調に合わせて歩いた。


「そうは言うが魔王。ただのスライムならばともかく、コイツは―――強いのだろう? とてもそうは見えんが……」


 ミキサンのすぐ後ろをくっついて歩くスライムに視線を落としながらカラスは言った。


「強いですわよ。―――あなた、わたくしのアレで死なない自信でもありまして?」


 言われたカラスが険しい表情をして押し黙る。

 ミキサンの言う、アレ、とは、先程森の一角を更地へと変貌させた魔王の魔法。


 確かに―――と、カラスだけでなく、周囲で二人の会話を聞いていた者達も納得顔を作る。

 口では何だかんだと悪態をつきつつも、誰かを傷つけるつもりは無いこの魔王が、魔法の被害が人々に及ばぬ様に配慮したゆえ森の消失以外に人的被害は出ていない。

 しかし、アレを真正面から受けてはひとたまりもないのは、誰もが理解していた。


 友達、では無いだろうが、同じランドール住民で良かったとつくづく思った人々であった。


「客人として数日過ごすならば良いが、コイツを住まわせるつもりなのだろう? そうであるなら、やはり勝手に連れて行く訳にはいかん」


「仲間外れは良くありませんわよ。―――ご覧なさい。ただでさえ軟弱なのに、面と向かって言われて泣いているではありませんか」


「は? ―――いや、泣いていると言われても、スライムに表情など……」


 ミキサンの言葉にカラスが困惑していると、スライムが再びポヨンと姿を変えた。

 途端に聞こえてくる嗚咽。

 人型になった特殊個体は、目からポロポロ涙を溢して泣いていた。


「あ、いや、違うんだ。君が悪いわけでは……」


 声こそわんわんあげてはいないが、あまりに泣きじゃくる特殊個体―――もとい子供を前に、カラスが激しく狼狽していた。


「いいんです。ぐすっ。嫌われ者なのは、ヒック! 知っていますから。ごめんなさい。僕やっぱり」


「帰る事は許しませんわよ」


 背後を振り返る事も歩みを止める事もせずに、ミキサンがキツい口調で告げた。


「ようは小娘の許可さえ取れれば良いのです。心配せずとも許可は直ぐに降りますわ。―――全く、たかが小さな街に住むのに許可が必要などと、あんな小娘が何様なのかしら」


「……我がランドールの領主だ」


「世も末ですわね」


 ミキサンがおかしそうに笑った。

 そんなこんなで泣きじゃくる子供を引き連れた一行は、ランドールの街を目指して森を歩き続けた。





 街に着くと、集まっていた人々はそれぞれまた元の自分の生活へと戻っていった。

 ミキサンと目を赤くしていまだグズつく子供、それからカラスの数人達は、姉シスネの代わりに領主の座についたランドール家の暫定当主フォルテ・ランドールの住む人屋敷を目指して街を歩く。


 ランドール家の屋敷のある丘へと続く坂を登り、屋敷の前に着いた時、「ん?」とミキサンが何かに気付いた。


 ミキサン達の視線の先では、屋敷の前に人の輪が出来ていた。


「出迎えご苦労様」


 別に自分を待っていた訳ではない事など百も承知している上で、ミキサンが輪へと言葉を投げた。

 輪の中心にすっぽりと収まったミキサンの声に気付き、その輪の全員がミキサン達へと顔を向けた。


「ミキサンか―――シンジュはどうした?」


 そう尋ねたのは輪の中にいたフォルテであった。


「シンジュならば今日はアイと買い物を楽しんでいますわ」


「何を言ってる? 森で探していたのではないのか?」


 フォルテが怪訝な顔をしてミキサンに尋ね返した。

 それにミキサンも「は?」と首を傾げる。


「ミキサン」


 どういう意味かとフォルテに尋ね返そうとしていたミキサンを呼ぶ声。

 輪の後方からアイが歩み出てきた。


「いるではありませんか。買い物は終わったのかしら?」


 ミキサンの問い掛けにアイが首を横に振る。

 ミキサンには、そんなアイの表情が何処か悲壮感を帯びている様に見えた。


「違うのよ。私、今日は買い物に行かなかったの。フォルテちゃんにミキサンが森で探してるって聞いてここで待ってたの」


「小娘ならばともかく、シンジュとの約束を反故にしてまで何故あなたが気にするのかしら?」


 ミキサンがまた首を傾げる。


「あの、フォルテ様」


 両者の話に割って入るように、ミキサンの隣にいたカラスがフォルテに呼び掛けた。


「ああ、ご苦労。すまないな、人探しなどさせて」


「いえ―――その事ですが、人探しではなく、スライム探しでした。それで、探しだしたスライムが今ここに居るのです。申し訳ありません。許可無く街に入れるのは駄目だと止めたのですが、」


「ちょ、ちょっと待て!」


「はい?」


 カラスの話をフォルテが何やら慌てて途中で止めてしまった。


「お前ら、ミキサンの―――まあ頼まれてはないが、捜索の手伝いに参加すると言ったよな?」


「はい」


「スライムの?」


「はい、そうですが……」


「シンジュを探してたんじゃないのか?」


「はい? いいえ、違いますが……」


 カラスが答えた途端、フォルテが額を押さえて上を見上げた。何か失態でもやらかした様な態度であった。


「シンジュは何処です!?」


 突然、ミキサンが叫んだ。

 そのあまりの声量に、その場の全員がビクリと震えた。


 フォルテとカラスの妙に噛み合わない会話を聞き、何気無く魔力感知を発動させたミキサン。

 ミキサンはそのまま感知の範囲をランドールの街全域にまで拡げ―――気付いた。


 街の何処にもシンジュが居ない事に。


「シンジュは何処に行ったかと聞いているのです!!」


 声を荒げるミキサンにアイが答える。


「そんなの私達が聞きたいよ。私達はてっきりミキサンが探しているものとばかり思っていて」


 それでようやくミキサン以外の者も、お互いの認識の齟齬についてハッキリと理解する。

 シンジュが居なくなったという事を。


「昼前に、アイちゃんのコレを渡して、それからは誰も見てない」


 そう言い、フォルテが表に退職届と書かれた一枚の紙をミキサンへ差し出した。

 ミキサンは乱暴な手付きでそれを受け取り、開き、中を見る。


 そこにはただ一言。

 『そうだ、キョウトに行こう』とだけ書かれていた。


 青筋を立てたまま、ミキサンはクスリともしなかった。

 一度、フーと長い息を吐いて、気を落ち着かせるよう努める。

 驚きと疑問、そして吐き出したもののフツフツと沸き上がって来る怒りのさめやらぬまま、ミキサンはフォルテに尋ねた。


「……キョウトとは、何処ですの?」


「わからない。ランドールにも、ランドール周辺にもそのキョウトという名の場所は無い。一応、ハトにも大陸の地図を調べて貰ったが、該当する場所は無かった」


「つまり……」


 フォルテの話に静かにミキサンが呟き、続く言葉をフォルテが口にした。


「……行方不明」


 フォルテがその言葉を口にした途端、カラス達がフォルテの前へと素早く躍り出た。

 魔王がキレると思ったからである。


 魔王の癇癪は凄まじい。

 以前、街の中でミキサンを子供扱いした馬鹿な冒険者が、ミキサンの肩を叩いて、振り向いたその頬に指を突き立てるという愚行を犯した事がある。

 その愚行に対し、ミキサンはブチギレた。


 シンジュが咄嗟にミキサンから冒険者を引き剥がしたため事無きを得たのだが、魔王の沸き上がる怒りをそのまま形にした様な爆発は、天を突き抜け、ランドールの街に新しい広場を作った。

 今でもそこは更地となったままになっている。


 この悪戯に際し、慣行した冒険者を責めてはいけない。

 彼はただ真似をしてみただけなのである。

 魔王とはいえ、シンジュと共に穏やかな生活を送る魔王に、ランドールの者達も親しみを覚えている。以前程に、怯えてこそこそする様な人も随分減った。


 そんな事もあり、冒険者は、以前にシンジュが魔王にたいしてやっていた事と同じ事を試してみたのだ。

 名を呼び、肩を叩いて、頬をプニ。

 シンジュに頬プニをやられた魔王は、呆れつつも笑っていた。

 だから、冒険者は勘違いしたのである。

 多少怒る事も覚悟していたが、自分がやっても笑ってくれると思ってしまったのである。少なくともブチギレるまではいかないだろうと……。

 しかし、結果は前述の通り。


 人々は、悪戯ひとつするにも命懸けである事を知った。


 もっとも、この件で大変キツいお叱りを受けたらしいミキサンは、しばらく落ち込んでいた。

 癇癪で街を壊すなと。

 仲良くなる為のジョークなのだからと。


 勿論、魔王がそんなお叱りを受けた事などシンジュを含めて、怒られた本人と怒った本人しか知らない。


 そんな訳で、シンジュの行方不明を知った魔王がキレて辺りを更地にすると身構えたのだ。


 たが、意外にもミキサンはそんな事はしなかった。

 周囲が緊張する中、魔王は怒るどころか、全身から全ての力でも抜けたかの様に両手両膝を大地につけて、酷く落ち込んでいた。酷くショックを受けたらしい。


「ミ、ミキサン? 大丈夫か?」


 フォルテがやや緊張しつつもへたれ込む魔王を心配し、声を掛けた。


「……大丈夫ですわ」


 とてもそうは見えない様子のまま、自分にでも言い聞かせる様にミキサンは返した。


 四つん這いのままミキサンは苦悶する。


 ―――なんたる事!

 我が君より信頼されシンジュの事を任されたというのに、なんという失態! とんでもない不忠!

 実は夢では無いのかと自身の頬をつねって確かめたくなった。

 これではお叱りどころか殺されてしまいますわ!

 いえ、我が君に殺されるならば本望。見捨てられでもしたら―――


「探し出しますわよ! 全力で!」


 突然立ち上がったミキサンが、鬼気迫る表情で宣言した。


「あ、ああ、それは勿論。だが、私は行き先の見当もつかない。ミキサンはどうだ?」


 フォルテの言葉に、親指の爪を強く噛んだ。

 そのままミキサンが考え込む。


 ―――行き先の心当たりなどあるはずがない。

 ランドールの中ならばともかく、外となると全く見当がつかない。

 本当に……悪夢でも見ている様な気分ですわ……。


 爪を噛んだままのミキサンの頭に先程のフォルテの言葉が再生される。


 ―――大丈夫か?

 大丈夫に決まっていますわ。

 いまわたくしが欲しいのは心配でも、同情でも無く、次に進む為の建設的な意見。為すべき事に繋がる知恵。


 普通に考えて駄目ならばアプローチを変える。

 そもそも―――


「何故、急に居なくなったりしたのです?」


 ミキサンはその心当たりから探る事にした。


「ギルドの仕事が嫌になったのかしら?」


 ミキサンの誰に向けたわけでもない問い掛けに、険しい顔を作ったアイが答えた。

 アイの言葉が続く。


「元々冒険者になりたかったみたいだし、ほんとはギルドの仕事を嫌々していたのかも」


 険しい顔から一点し、申し訳なさそうな表情を浮かべるアイ。

 ミキサンはその言葉を聞き、彼女がすぐにそんな事を口にしたという事は、彼女はシンジュが冒険者になれない事に対して後ろめたい気持ちを少なからず持っていたという事だろう。

 それ自体は別にアイのせいではない。年齢という時間でしか解決出来ない壁が立ちはだかっている以上、いち職員に過ぎないアイではどうしようもない事だろう。


「姉さんにあれだけ啖呵を切ったんだ。ちょっと嫌な事があったくらいで逃げるとは思えないけどなぁ」


「でも、それが重荷になった可能性も」


「……それはありませんわ。シンジュは、抜けたところこそありますが、そこまでいい加減ではありませんことよ。それに、ギルドの仕事にたいする不満を漏らした事なども一度もありませんわ」


「それは私も同じ意見だが、もしかしたら、ランドールで駄目なら、と他所のギルドに冒険者になりにいったのではないか?」


「それはないんじゃないかな? そもそもシンジュが冒険者になれないのはギルドの規定する年齢に達していないからだから、他所のギルドでも冒険者にはなれないのよ」


「あ、そっか」


 そこにカラスの一人が小さく手を上げて、意見を述べる。


「男が出来たのでは? 噂になった例の」


 フォルテとアイがカラスの顔をまじまじと見つめる。


「いくらなんでもそれは……」


「うんうん。私も無いと思う」


「そうですかね? じゃあ原因は何なのでしょうね?」


「仕事でも男でも無いとすると……」


 皆が考え込む中、


「僕がいけないんです」


 そんな泣きの入った声が聞こえた。


「僕が街に来たから、きっと僕に会うのが嫌で、それで……」


 みるみる目の端に涙を貯め始めた特殊個体。

 それを前に、ミキサンがため息をつく。


「何度も言いますが、別にシンジュはあなたを嫌ってなどいませんわ」


 たぶん、と心の中だけでミキサンは付け足しておく。


「それに、シンジュはあなたがここに来るとは知らないはずです。あなたが原因という訳はありませんわ」


 たぶん、とやっぱり心の中だけで付け足す。


 そもそもシンジュが家出した原因はミキサンにあるのだが、まさかミキサンも朝の保険の話を勘違いしたシンジュが、命の危機を感じて逃亡したなどと微塵も分かるはずなどなかった。


「けど……ッ!」


 ついに泣き出した特殊個体が反論しようするが、ミキサンがそれをひと睨みで黙らせる。


「くだらない心配をしていないで、あなたも何か考えなさい。どれだけ自分が主の役に立つ者なのか証明して見せなさい」


 ミキサンが言うと、グッと涙を止めて、特殊個体がコクコクと首肯いた。

 そんな二人のやり取りのあと、


「来た時から疑問だったんだが、その子供は誰だ? ランドールでは見掛けない顔だが……」


 不思議そうに特殊個体に目を向けたフォルテが尋ねる。


「下僕2号ですわ」


「下僕2号?」


 チラリと特殊個体を一瞥したミキサンが、事も無げに言うと、フォルテが首を傾げる。


「ぼ、僕の方が先に下僕になったんだからね! ミキサンが二番目なんだから!」


「はぁぁ? 挨拶すら出来ない無能がちょっと甘やかせたくらいで何を図に乗っているんですの? 寝言は寝て言え。ですわ」


「でも僕は怒られた事なんて一度も無いもんね! ミキサンなんか何度も―――」


「うるさい」


 余計な事を言うなと、反論する特殊個体をゲシッと蹴飛ばすミキサン。

 蹴られた特殊個体は、小さく叫んで倒れると、そのまま人型からスライムへと姿が戻ってしまった。


 その様子に、子供の正体を知らなかった者達がギョッとする。


「え!? スライムになったぞ!?」


「それが本性ですわ。スライムの―――まあ上位種ですわ」


「……なるほど。上位種のスライムねぇ……。私はまたミキサンの呪いかと思ったよ」


「小娘。あなたはわたくしをなんだと思っているのです」


「……魔王」


 フォルテが答えると、ミキサンは何も言えず、場に妙な沈黙が流れた。


 沈黙の中で、またポヨンと人型になった特殊個体が口を挟む。


「フォルテさん」


「え? ああ、なんだ?」


「僕もこの街に住んで良いですか?」


「え?」


 スライムからの突然の住んで良いかという問い掛けにフォルテの頭に大きな疑問符が浮かぶ。

 そんなフォルテに慌ててカラスが弁明する。


「申し訳ありませんフォルテ様。その事をご報告しよう思っていたのですが、タイミングを無くしてしまって」


「ああ、そう言えばそんな話をしていたな……。ランドールに住みたいのか?」


「駄目ですか?」


 潤んだつぶらな瞳をフォルテに向けて、捨てられた子犬の様な態度で、おずおずと特殊個体が尋ねた。


「……構わないが―――うん、今更一匹や二匹」


 フォルテが軽く許可を出すと、途端に特殊個体の表情がパァとあかるくなる。


「ありがとうございます!」


「無理に許可など出さずとも良いですわよ?」


 笑顔でフォルテに礼を述べた特殊個体。その様子を見ていたミキサンが鬱陶しそうに言った。

 先程までの特殊個体を庇う様な素振りは何処に行ったのかと尋ねたくなる様な、素っ気ない態度だった。


 そんなミキサンの態度をどんな風に捉えたのか、特殊個体がキョトンと眺め―――

 ニヤリと小さく口の端を上げて言った。


「……嫉妬?」


「このガキッ、ブチ殺しますわよ」





 それから数日。

 ランドール家やミキサン、果ては冒険者達までもがシンジュの行方を追ったが、件の少女の行方はトンとして掴めなかった。

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ミキサン
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素晴らしい考察が書かれた超ファンタジー(頭が)
考える我が輩
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