54話 刹那
大変お待たせいたしました!
約一ヶ月ぶりの投稿です!
〜〜ラルナside〜〜
……ダイルさんが私の首に刃を当てたとき、気づいた。
私は、自分の言葉に続けて心の中でそう呟く。
きっと今そんなこと言えば、ダイルさんはまた謝り倒してくる。
それじゃあ話が進まないよ。
そう思いながら、私は一度切った会話を、また繋げ直す。
「……ダイルさんが言ったあの言葉。 あれは、ダイルさんを信じると言う意味以外にももう一つ、別の違う意味が隠されてた」
「……」
「違う意味って言っても、誰を信じるのかが違うだけなんだけど……あれって、私自身を信じろって意味だったんだよね?」
ダイルさんはなにも反応を示さないが、恐らくこの推測はあってるはず。
そうじゃなきゃ、私はもしかしたらお母さん
の方に味方していたかもしれない。
「……ダイルさんを信じるって言うのは、お母さん側としてのダイルさんを信じると言う意味と、私の側……ううん。 反王宮側のダイルさんを信じると言う意味の、二つの選択肢に分けることが出来る。 だからダイルさんは、わざわざ一人称を変えて、”自分”を信じてください。 て、言ったんだよね」
ここまで話すと、ダイルさんはようやく
「はい」
と答えて、頷いた。
良かった。 ここまで話しておいて、「全く違います」 なんて言われたらどうしようかと思ってたけど……
いやでも、ダイルさんだったら私に気を使って頷くかもしれない。
もしそうだったら恥ずかしいなぁ……
「ありがとうございます。 ラルナ王女」
そんな不安を抱えていると、逆にダイルさんは、緊張のほどけたゆっくりとした口調で話し始めた。
「実を言うと、このメッセージを解いていただけるかどうか、かなり不安だったのですが、必要のない心配だったようですね」
「ま、まぁね」
首元に刃を当てられるまで全然気づかなかったんだけど……
まぁそれはお互いの為にも隠しておこう。
「いえ……気づいていたとしても、その選択をするのは難しかったはずです」
「……」
「首元に刃を当て脅され、命の危機を間近にしたあの状況。 もし、助かると知っていたとしても、常人の人間ではあのような判断はできません」
……自分の事だけど、確かにそうだ。 常人の人間じゃ、そんな選択できないと思う。
でもあの時、私は思った。
「あんな人達に、屈したくない。 死んだっていいから、反発したかった」
「……」
子供の我儘みたいな理由だと、罵られてもいい。
それでもいいから、私はお母さんを……そしてヴィシュヌを否定したい。
「……」
「……」
暗闇の牢獄の中の静寂……喋ってもいないし、動いてもいないのにその静寂は、耳元で聞こえるコバエの羽音のように鬱陶しく感じられた。
ヴィシュヌは、明らかにこの国を荒らそうとしてる。
どうして?
ヴィシュヌの目的は、竜族を絶滅させる事……
なのに、どうしてこの国を荒らそうとしているの?
なんで……!
「……」
私は、静かにゆっくりと硬い拳を作る。
最近……多いような気がする。
こうやって、何かにイライラして、痛いほどに手を握ることが。
「……ふぅ」
私は、ダイルさんにも聞こえるように、強く息をはいた。
「ダイルさん。 私をここから出してもらえる」
私の声を聞いて、座ったままだったダイルさんは立ち上がる。
「もちろん、そのつもりです。 ですが、今はまだできません」
「……どうして?」
できるだけ、表には出さないように意識したけど……きっとバレてるだろうな。
私がイライラしてるの。
「焦るお気持ちはお察し致します。 ですが、より安全にここを脱出するためにも、今は味方が来るのをお待ちください」
「……味方?」
「はい。 もうすぐ、反王宮側の人間の誰かが、私と同じように忍び込んでいるもう一人のスパイと合流して、ここに来るはずです」
スパイが来るはずって事は、多分この今の状況は、計画されて作り上げられた状況なんだ。 私を救い出すために。
という事はきっと、このまま放って置かれたら本当に私は殺されるんだ……お母さんに……
「……」
「……ラルナ王女?」
「とりあえず、ここから出してくれる」
「……」
「大丈夫。 流石にみんなの計画を壊すような事はしないから」
「……」
〜〜ヘイロンside〜〜
「時間だ。 作戦を始めるぞ」
全員武器を持って立ち上がり、外へ繋がる扉へと向かう。
「いいか。 これは戦争ではない、あくまで人民の避難とラルナの保護が目的だ。 自ら戦おうとするな。 逃げられる戦いは逃げろ。 そして生き延びるんだ」
扉の前で放ったラルの言葉に、静かに頷く。
俺とシャカラは逃げられねぇがな……まぁ、逃げるつもりもねぇけどよ。
「よし! いくぞッ!」
本当に一瞬……刹那の出来事だった。
これから始まる作戦に気合を入れ、一歩を踏み出そう出した時、悲鳴が聞こえてきた。
なんだ!?
そんな短い言葉すら間に挟める暇もなく、建物の屋根を破り奴らがやってきた。
……ガルダ族……!!
ご閲覧ありがとうございました!
一ヶ月もの時間を開けてしまうと、やっぱり感覚を取り戻すのが大変ですね……
週一投稿復活できるだろうか……
と、とりあえず頑張ります!
次回もよろしくお願い致します!




