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アイコン三国志外伝  作者: 小金沢
董卓の章
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7/16

外伝(〇一四)      董卓三天王

~~~長安(ちょうあん)の都~~~



挿絵(By みてみん) 呂布(りょふ)

「………………」



挿絵(By みてみん) 李傕(りかく)

「や、やった! 呂布が逃げて行くぞ!」



挿絵(By みてみん) 郭汜(かくし)

「呂布が逃げたぞ!

呂布さえいなければこっちのものだ! かかれ!!」



挿絵(By みてみん) 王允(おういん)

「そ、そんな……貂蝉……」



挿絵(By みてみん) 董白(とうはく)

「わーい! 呂布に勝った!」



挿絵(By みてみん) 李傕(りかく)

「張済の言う通りにしたら呂布が逃げやがったぜ!」



挿絵(By みてみん) 郭汜(かくし)

「お手柄だぞ!」



挿絵(By みてみん) 張済(ちょうせい)

「俺の力ではない。種を明かせば賈詡の助言に従ったのだ」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「それを言うならば、

小生の言葉を採り上げた張済殿を褒めるべきであろう」



挿絵(By みてみん) 張済(ちょうせい)

「なんの、我らの力を合わせれば出来ないことは無いということだ。

魔王様(董卓)は倒れたが、董卓軍が滅びたわけではない。

都は我らのものだ!」



挿絵(By みてみん) 郭汜(かくし)

「その通りだ!」



挿絵(By みてみん) 李傕(りかく)

「おうっ!!」



~~~長安の都 郭汜の邸宅~~~



挿絵(By みてみん) 郭汜(かくし)

「民の様子はどうだ?」



挿絵(By みてみん) 王方(おうほう)

「騒ぎ立てる者もいやしたが、

5~6人見せしめに殺したら落ち着きやした」



挿絵(By みてみん) 趙岑(ちょうしん)

「魔王様に代わり我々が統治するだけだと理解したようです」



挿絵(By みてみん) 郭汜(かくし)

「それならいい。

逃げていった呂布はどうしている?」



挿絵(By みてみん) 趙岑(ちょうしん)

「袁紹を頼っていったようです。

都に戻ってくることはまず無いでしょう」



挿絵(By みてみん) 王方(おうほう)

「そうなると、次に対処すべきは都の中の問題ですぜ」



挿絵(By みてみん) 郭汜(かくし)

「李傕のことか」



挿絵(By みてみん) 趙岑(ちょうしん)

「李傕は郭汜将軍や張済を差し置いて、

まるで魔王様の後継者のように振る舞っています」



挿絵(By みてみん) 郭汜(かくし)

「聞いている。だがあいつは俺と同格の董卓四天王だった。

この都も俺と李傕、張済の三人で分割統治している。

俺があいつのやり方に口を挟むのは筋違いだろう」



挿絵(By みてみん) 王方(おうほう)

「その謙虚さが郭汜将軍の良い所ですが……。

しかし李傕については他にも良からぬ噂を聞きますぜ」



挿絵(By みてみん) 趙岑(ちょうしん)

「なんでも邪教を崇めて、その教祖の言いなりになっているそうです。

しかもその教祖は、郭汜将軍や張済を除くべきだと進言しているとか」



挿絵(By みてみん) 郭汜(かくし)

「むう……それは聞き捨てならんな」



挿絵(By みてみん) 王方(おうほう)

「こうなりゃやられる前にやっちまいやしょう!」



挿絵(By みてみん) 趙岑(ちょうしん)

「簡単に言うが、李傕のそばには常にあの胡封(こほう)が付き従っているぞ」



挿絵(By みてみん) 王方(おうほう)

「素手で牛をも絞め殺すという絞殺魔のサイコ野郎か」



挿絵(By みてみん) 趙岑(ちょうしん)

「素手でやるなら扼殺魔ではないのか?」



挿絵(By みてみん) 郭汜(かくし)

「どっちでもいい。

李傕はいずれどうにかすべきだが、四天王のもう一人の張済は、

前々から俺に協力を表明してくれている。

四天王の二人で掛かれば問題になるまい」



~~~長安の都 李傕の邸宅~~~



挿絵(By みてみん) 李傕(りかく)

「郭汜の野郎はどうしている?」



挿絵(By みてみん) 李蒙(りもう)

「俺らの縄張りに毎日のようにちょっかいを掛けて来るづら。

あいつ図に乗ってやがるづらぜ!」



挿絵(By みてみん) 胡封(こほう)

「絞め殺そう……キュッと……」



挿絵(By みてみん) 李傕(りかく)

「待て待て。殺すのはいつでもできる。

だが魔王様が斃れたばかりで情勢は不安定だ。

余計な混乱は招くべきではない」



挿絵(By みてみん) 笮融(さくゆう)

「……李傕の言う通りだ」



挿絵(By みてみん) 李傕(りかく)

「おお、教祖様!」



挿絵(By みてみん) 笮融(さくゆう)

「……いざとなれば私が郭汜を呪い殺す。

……今は都の治安を取り戻すのが先決だ」



挿絵(By みてみん) 李蒙(りもう)

「わかった!

治安維持のためにまた不穏分子を公開処刑してやるづら!」



挿絵(By みてみん) 胡封(こほう)

「公の場で……絞め殺せる……」



挿絵(By みてみん) 李傕(りかく)

「慌てることはない。俺には教祖様がついてるし、

いざとなれば張済も力を貸してくれる約束だ。

圧倒的に俺らが優位に立ってるんだからな」



~~~長安の都 宮廷~~~



挿絵(By みてみん) 董白(とうはく)

「ええ~、どうして民をいじめちゃダメなの?」



挿絵(By みてみん) 献帝(けんてい)

「民は国の宝なんだ。民がいなければ朕たちは生きていけない。

だから民は大事にしなければいけないんだよ」



挿絵(By みてみん) 董白(とうはく)

「でもおじい様や李傕たちは民をいじめて遊んでるよ?」



挿絵(By みてみん) 献帝(けんてい)

「それは間違っていることなんだ」



挿絵(By みてみん) 董白(とうはく)

「……間違ってたからおじい様は死んじゃったの?」



挿絵(By みてみん) 献帝(けんてい)

「…………そうだ」



挿絵(By みてみん) 董白(とうはく)

「じゃあ李傕や郭汜もそのうち死んじゃうの?」



挿絵(By みてみん) 献帝(けんてい)

「そうかも知れない。だからそんなことはしちゃいけないんだ」



挿絵(By みてみん) 董白(とうはく)

「……わかんない。ヘイカはおじい様たちと違うことばっかり言う。

あたし、よくわかんない。どっちが正しいのか」



挿絵(By みてみん) 献帝(けんてい)

「董白……」



挿絵(By みてみん) 董白(とうはく)

「あたし、ヘイカとお話したくない!」



挿絵(By みてみん) 献帝(けんてい)

「ああっ、董白!

……行ってしまった」



挿絵(By みてみん) 董承(とうじょう)

「陛下、失礼致します。また李傕らが裁決を求めて来ています」



挿絵(By みてみん) 献帝(けんてい)

「……また暴虐の限りを尽くすような、

自分達にばかり都合の良い法案だけだな」



挿絵(By みてみん) 董承(とうじょう)

「内容に目を通す必要はありません。

玉璽を捺すだけの簡単なお仕事だとお思い下さい」



挿絵(By みてみん) 献帝(けんてい)

「わかっている。今の朕は無力だ。

この玉璽も本物を失い、作り直した代用品。

朕も皇帝とは名ばかりの代用品のようだ……」



挿絵(By みてみん) 董承(とうじょう)

「もうしばらくお忍び下さい。

陛下が本来あるべき力を取り戻す日は必ず訪れます。

それに敵ばかりではありません。

張済は密かに陛下に助力を申し出ています」



挿絵(By みてみん) 献帝(けんてい)

「ああ、彼がそんな忠臣だとは思いもしなかったよ。

お前もいてくれるから心強い」



挿絵(By みてみん) 董承(とうじょう)

「もったいないお言葉です」



挿絵(By みてみん) 献帝(けんてい)

「この世に悪が栄えた試しはないと聞く。

いつかこの苦境を救ってくれる者が現れるだろう。

……いや、待っているだけではいけない。

朕にも何か出来ることがないか考えなくてはな」



挿絵(By みてみん) 董承(とうじょう)

(フン、せいぜい悩むがいい。

いずれお前は何も悩まなくても良くなるのだからな)



~~~長安の都 張済の邸宅~~~



挿絵(By みてみん) 張済(ちょうせい)

「……賈詡よ、これで本当に良いのか?」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「ええ。あなたは実に上手くやっておられる」



挿絵(By みてみん) 張済(ちょうせい)

「郭汜にも李傕にも陛下にも良い顔をしているだけだ。

これではただの八方美人だぞ」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「それで良いのだ。彼らはあなたが味方だと信じ、

それゆえにいつでも相手を殺せると侮っている。

戦況は膠着し、主導権は我々にある。

全ては小生の掌の中にあるのだ」



挿絵(By みてみん) 張済(ちょうせい)

「むう。お前の言うことだから間違いは無いのだろうが……」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「不安ならば狩りにでも出たらどうですかな。

あるいは付近の盗賊の討伐にでも出掛けては?」



挿絵(By みてみん) 張繍(ちょうしゅう)

「おお、それはいい。俺が露払いを務めましょうか叔父上」



挿絵(By みてみん) 張済(ちょうせい)

「いや、気が進まぬ。

賈詡にばかり働かせてすまぬが、鄒氏(すうし)とでも話してこよう」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「それは羨ましい。どうぞごゆるりと……」



挿絵(By みてみん) 張繍(ちょうしゅう)

(叔母上…………)



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「どう致しましたかな、張繍殿?」



挿絵(By みてみん) 張繍(ちょうしゅう)

「い、いや、なんでもない。

お前の言う通り、俺は狩りにでも行ってこよう!」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「胡車児(こしゃじ)を護衛につけましょうか」



挿絵(By みてみん) 張繍(ちょうしゅう)

「いや、一人で大丈夫だ。行ってくる」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

(ククク……。まことに全てが小生の思うままに進んでおる。

李傕に郭汜、献帝と董承、張済に鄒氏と張繍……。

他愛もない連中ばかりだ)



挿絵(By みてみん) 張繍(ちょうしゅう)

「か、賈詡よ」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「どうなされた」



挿絵(By みてみん) 張繍(ちょうしゅう)

「ちょっと小耳に挟んだのだが、李粛(りしゅく)が行方知れずになっているらしい」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「ほう。たしか彼は呂布と同郷の間柄でしたな」



挿絵(By みてみん) 張繍(ちょうしゅう)

「ああ、そう聞いている」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「……不確定要素は排除すべきか。

張繍殿、すこし狩りに付き合っていただきたい」



~~~長安の都 南部~~~



挿絵(By みてみん) 李粛(りしゅく)

「ケケケッ。李傕や郭汜に支配された都にいたんじゃあ、

呂布と同郷の俺には出世の見込みはありゃしねえ。

いっそのこと呂布を手引きしてあいつらを追い出させるか、

それとも……」



挿絵(By みてみん) 胡車児(こしゃじ)

「マテ」



挿絵(By みてみん) 李粛(りしゅく)

「んん? なんだてめえは。

……見覚えがあるな。

たしか張済の配下の――」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「左様。我が手の者だ」



挿絵(By みてみん) 李粛(りしゅく)

「お、お前はたしか張済の……ええと、誰だったけか」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「思い出す必要はない。すぐに死ぬのだからな」



挿絵(By みてみん) 張繍(ちょうしゅう)

「あわせろ胡車児! 喰らえッ!!」



挿絵(By みてみん) 胡車児(こしゃじ)

「シネ」



挿絵(By みてみん) 李粛(りしゅく)

「ぐはあああああっ!!」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「ふむ。念には念を入れて良かった。

この男、呂布と内通しようとしておったぞ」



挿絵(By みてみん) 張繍(ちょうしゅう)

「それは良かったな! 未然に阻止できたぜ」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

「この分では他にも良からぬことを考える者はいるだろう。

忙しくなりそうだな」



挿絵(By みてみん) 張繍(ちょうしゅう)

「こういう仕事なら歓迎だ。

いくらでも手伝うぜ賈詡!」



挿絵(By みてみん) 賈詡(かく)

(……どうやら運が向いてきているようだ。

それに張済よりも、この男のほうが扱いやすいやもな)



~~~~~~~~~



かくして魔王の死後も残党は相争い、都に戦乱は続く。

裏で糸を引く賈詡は、彼らの野望を束ねて、

乱世を紡ぎ出そうとしていた。

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