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アイコン三国志外伝  作者: 小金沢
黄巾の章
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2/16

外伝(〇〇二~〇〇三)  美髯公の勇姿

~~~官軍の陣営~~~



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「は? アタイがいないと義勇軍の受け入れを認めない?

なんでそんなことになんのよ!?」



挿絵(By みてみん) 鄒靖(すうせい)

「そいつらの顔を見ればわかるだろ」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「?」



挿絵(By みてみん) 関羽(かんう)

「……………………?」



挿絵(By みてみん) 鄒靖(すうせい)

「戦力外のただの男と、

無口過ぎてろくに話も通じない馬鹿をどうしろと言うんだ。

あいにくうちは難民を保護する余裕はないんだ」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「でも劉備はともかく関羽の強さは知ってるでしょ」



挿絵(By みてみん) 鄒靖(すうせい)

「ああ。関羽の強さも、お前が官軍に加われば

関羽よりもっと戦力になることも良く知ってるよ」



挿絵(By みてみん) 朱儁(しゅしゅん)

「いい機会だ。官軍に戻れ張飛。

お前は市井に埋もれていていい人材ではない」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「官軍に戻るのは絶対にイヤだって言ってるでしょ」



挿絵(By みてみん) 鄒靖(すうせい)

「だったら義勇軍を率いろ。

お前が率いるなら戦力になるし、受け入れる準備がある」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「ぐぬぬ…………」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「張さんはすごいのう。

わしだけじゃなく官軍からも引っ張りだこじゃ」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「うっさい!」



挿絵(By みてみん) 鄒靖(すうせい)

「褒美なら弾んでやるぞ。

このご時勢、盗賊以外で金のために命を捨てる奴は少ない」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「アタイが金にがめついみたいな言い方で気に食わないけど……。

アタイが見捨てたらこいつら、

路頭に迷って黄巾賊に殺されるのが目に見えてるし。

いいわ、義勇軍を率いてあげようじゃないの」



挿絵(By みてみん) 朱儁(しゅしゅん)

「ああ、言い忘れていたが公式に率いるのは劉備にしてもらうぞ」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「へ?」



挿絵(By みてみん) 鄒靖(すうせい)

「よくわからんが黄巾賊の間では、

劉備が鄧茂、李朱汎、唐周を殺したことになっているらしい。

だから箔を付けるために総大将は劉備だ」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「唐周まで劉備に……。

ちなみに程遠志を殺したのは誰になってんの?」



挿絵(By みてみん) 朱儁(しゅしゅん)

「それは関羽のままだ」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「わはは。張さんだけなんも大将首を挙げとらんのか」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「うっさい!!」



挿絵(By みてみん) 鄒靖(すうせい)

「話がまとまったなら働いてもらうぞ。

黄巾賊の首領・張角の弟で副将の張宝の軍が進出してきている。

我々の任務はそれを叩くことだ」



挿絵(By みてみん) 関羽(かんう)

「……!!」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「待ちなさいよ! まだ行き先も聞いてないでしょ! この戦闘狂が!」



挿絵(By みてみん) 朱儁(しゅしゅん)

「早速、張飛がいて助かったな」



挿絵(By みてみん) 鄒靖(すうせい)

「ああ、まったくだ」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「もう怒るのも疲れてきたわ……」



挿絵(By みてみん) 鄒靖(すうせい)

「西の村に前線を築き、義勇軍と官軍の友軍が陣取っている。

まずは彼らと合流してくれ」



~~~黄巾賊の陣営~~~




挿絵(By みてみん) 高昇(こうしょう)

「村に火をかけてしまえば手っ取り早いではないか」



挿絵(By みてみん) 周倉(しゅうそう)

「そいつは賛成できませんね。

あっしら黄巾賊も元をたどればみんな農民でさぁ。

苦しむ民のために立ち上がったのに、

あっしらが民を苦しめたら元も子もない」



挿絵(By みてみん) 廖化(りょうか)

「周倉の言う通りだ!

俺たちは民のために官軍と戦うんだからな!」



挿絵(By みてみん) 厳政(げんせい)

「綺麗事を並べおって……。

官軍には次々と増援が現れ、味方のはずの民からも、

義勇軍なる官軍に手を貸す裏切り者が出てきている。

民に手心を加える理由などもはや無い」



挿絵(By みてみん) 裴元紹(はいげんしょう)

「だったら現実的な話をしようや。

俺は村を襲っても別に構わないと思うが、

でも村を焼いたら俺らの兵糧も枯渇するぜ」



挿絵(By みてみん) 高昇(こうしょう)

「それは官軍から奪えばいいだけの話だ!

……もういい。地公将軍(張宝)から兵権を託されているのは俺だ。

反対する者は陣の防衛に残れ。

俺と厳政で村に火攻めをかける!」



挿絵(By みてみん) 周倉(しゅうそう)

「くっ…………」



~~~義勇軍の陣営~~~



挿絵(By みてみん) 田豫(でんよ)

「あなたが増援の義勇軍の方ですね。待ってましたよ。

ここの義勇軍を率いている田豫と申します」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「おやおや、これはかわいい隊長さんじゃな。

わしは劉備、こっちは義弟の張飛と関羽じゃ。

何歳じゃ? なんで子供が義勇軍を率いとるんじゃ?」



挿絵(By みてみん) 田豫(でんよ)

「年齢は関係ありません。

最も軍才に優れている者が指揮をとるだけです」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「全くだわ」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「ははは。名目だけじゃが部隊を率いとるわしには耳の痛い話じゃな。

ところで田豫さん、官軍はどこにおるんじゃ?

それらしき姿を見なかったが」



挿絵(By みてみん) 田豫(でんよ)

「官軍ならとっくに引き上げましたよ。

ここの黄巾賊は強いと見て取るやいなやね」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「こんな子供に戦わしといてだらしない連中ねえ」



挿絵(By みてみん) 田豫(でんよ)

「無理もありません。兵力では圧倒的に負けていますし、

僕の前の指揮官も討ち死にしています」



挿絵(By みてみん) 関羽(かんう)

「………………」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「関さんの目の色が変わったぞ。手応えのありそうな相手じゃな」



挿絵(By みてみん) 田豫(でんよ)

「確かに腕の立つ将が二人いますが、それよりも厄介なのは――」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「ちょっと! あっちで火の手が上がったわよ!」



挿絵(By みてみん) 田豫(でんよ)

「あれは負傷兵や病人を収容した野営の方向だ……ッ!

奴らの指揮官は、手段を選ばずこういう汚い手を使うんです。

救援に出向いた僕らを伏兵で叩くつもりだ」



挿絵(By みてみん) 関羽(かんう)

「……ッ!!」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「敵が来たと聞いて関さんが飛び出して行ったぞ!」



挿絵(By みてみん) 田豫(でんよ)

「いけません! みすみす罠に掛かりに行くようなものです!」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「まあ任しときなさいよ。今度は大人が頑張る番なんだからさ」



~~~黄巾賊~~~



挿絵(By みてみん) 高昇(こうしょう)

「怪我人や病人はいつでも殺せる。放っておけ。

のこのこ近づいてきた元気な兵の方を殺すんだ!」



挿絵(By みてみん) 厳政(げんせい)

「弓を揃えて待ち構えておけよ!」



挿絵(By みてみん) 周倉(しゅうそう)

(相変わらず汚い手を考えつきまさぁな)



挿絵(By みてみん) 廖化(りょうか)

(これでは怪我人や病人を人質に取っているようなものだ!)



挿絵(By みてみん) 裴元紹(はいげんしょう)

(ただでさえ兵力では勝ってるってのに、

たかが義勇軍を相手によくここまでやるぜ。俺でも引くわ)



挿絵(By みてみん) 廖化(りょうか)

(高昇や厳政に見つからぬように、

負傷兵を救助することはできないか?)



挿絵(By みてみん) 周倉(しゅうそう)

(この三人でせいぜい二人ずつが関の山でしょうが、

やらないよりはマシでしょうや)



挿絵(By みてみん) 裴元紹(はいげんしょう)

(俺も頭数に入ってんのか? ったく、しょうがねえな)



挿絵(By みてみん) 高昇(こうしょう)

「義勇軍はまだか? 早く来ないと大事な仲間が焼け死んじまうぞ~?」



挿絵(By みてみん) 厳政(げんせい)

「汚物は消毒だ~~!!」



挿絵(By みてみん) 関羽(かんう)

「…………!!」



挿絵(By みてみん) 高昇(こうしょう)

「な、なにィ!? 火の中を突っ切って何者かが現れたぞ!」



挿絵(By みてみん) 関羽(かんう)

「ッッ!」



挿絵(By みてみん) 高昇(こうしょう)

「ぎゃああああああっ!!」



挿絵(By みてみん) 廖化(りょうか)

「な、何者だ!? 炎の中から現れて高昇を一刀両断したぞ!」



挿絵(By みてみん) 厳政(げんせい)

「き、貴様よくも! 撃て! 撃ちまくれ!!」



挿絵(By みてみん) 関羽(かんう)

「………………」



挿絵(By みてみん) 周倉(しゅうそう)

「す、涼しい顔で全ての矢を叩き落としやしたぜ……」



挿絵(By みてみん) 裴元紹(はいげんしょう)

「ば、化け物だ…………」



挿絵(By みてみん) 厳政(げんせい)

「ひいいいいいっ!! た、助けてくれえええ!!」



挿絵(By みてみん) 田豫(でんよ)

「逃がしはしない!」



挿絵(By みてみん) 厳政(げんせい)

「うぎゃああっ!!」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「おお! 見事な弓の腕前じゃな田豫さん」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「ちょっと関羽! いくらなんでも火の中を突っ切るなんてむちゃくちゃよ。

敵が目に入ったら、周りがなんも見えなくなるのは相変わらずね。

……アンタ、頭巾の後ろが燃えてるじゃないの!! 気づかないの!?」



挿絵(By みてみん) 関羽(かんう)

「…………?」



挿絵(By みてみん) 周倉(しゅうそう)

「関羽というのか……なんという方だ……」



挿絵(By みてみん) 廖化(りょうか)

「逃げ惑う人々を救うため、身を顧みずに火の中を突っ切って助けに来たんだ!

しかもその功績を誇るどころか、何もなかったような顔をしている。

なんと気高い男、いや漢なんだ!」



挿絵(By みてみん) 裴元紹(はいげんしょう)

「ああ、すげえかっこいいな……。

で、でもどうすんだよ。高昇も厳政も殺されちまったし、

あんな化け物にはとても敵わないぜ」



挿絵(By みてみん) 廖化(りょうか)

「迷うことはない! あの関羽という方に降伏しよう!」



挿絵(By みてみん) 周倉(しゅうそう)

「いや、それは待ってくだせえ。

今のあっしらは薄汚い黄巾賊で、あの方から見れば高昇や厳政と一緒でさあ。

あの方に仕えるなら、すっぱり足を洗って、

綺麗な身体になってから、またお目に掛かりましょうや」



挿絵(By みてみん) 廖化(りょうか)

「おお……。それもそうだな。

うむ、恥ずかしくない身分になってから、また願い出るとしよう」



挿絵(By みてみん) 裴元紹(はいげんしょう)

「足を洗うかどうかはともかく、あいつと戦わないってのは賛成だ。

気づかれないうちに逃げようぜ」



~~~官軍の陣営~~~



挿絵(By みてみん) 鄒靖(すうせい)

「もう片付いたのか。流石だな張飛」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「アタイは何もしてないわ。

敵将を片付けたのも関羽と田豫の坊やだったし」



挿絵(By みてみん) 朱儁(しゅしゅん)

「そうなのか? お前が高昇を討ち取ったと報告があったぞ」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「今度は殺してない奴を殺したことになってんの!?」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「それより話が違ったぞ。

官軍はもう逃げちまって、義勇軍しかおらんかったじゃないか」



挿絵(By みてみん) 鄒靖(すうせい)

「ああ、我々もいま聞いたところだ。

袁術(えんじゅつ)は実戦経験の薄い指揮官だったからな。

臆病風に吹かれたのだろう」



挿絵(By みてみん) 朱儁(しゅしゅん)

「正直に言えば、各戦線で同じようなことが起きている。

だからお前たちのような存在が貴重なのだ」



挿絵(By みてみん) 関羽(かんう)

「………………」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「だからって子供に戦わせて軍人が逃げるなんてあんまりじゃないの」



挿絵(By みてみん) 田豫(でんよ)

「張飛さん、僕はいいんですよ。

子供だろうと誰だろうと、戦える者が戦うべきです」



挿絵(By みてみん) 鄒靖(すうせい)

「頼もしいガキだな。どうだ、官軍に入らんか?」



挿絵(By みてみん) 田豫(でんよ)

「官軍に入るくらいなら義勇軍を続けますよ。

希望できるなら、張飛さんたちと一緒に戦わせて下さい」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「アタイたちと?」



挿絵(By みてみん) 田豫(でんよ)

「はい。だって、あなた達は逃げたりしないでしょう?」



挿絵(By みてみん) 劉備(りゅうび)

「わっはっはっ! もちろん大歓迎じゃ!

これは頼もしい味方が加わったな!」



挿絵(By みてみん) 張飛(ちょうひ)

「ホント、誰かに見習って欲しいものだわ」



~~~~~~~~~



かくして義兄弟は黄巾賊に襲われた村を救い、

少年兵を新たに仲間に加えた。

だが各戦線では官軍の苦戦が続き、黄巾賊の勢いはいや増していた。

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