第2話 武装集団
「どうなってんだよ……」
いつもは大賑わいの駅はすっかり無人駅。
運行時間である電車も止まったまま動かなかった。もちろん駅員もいない。
俺は不自然に静かな駅のホームで頭を抱え座り込んだ。
意味がわからない。なぜ人がいない、なぜ俺しかいないんだ。
思い当たるフシはない。あるわけない。昨日は酒飲んで帰っただけなのだから。
だが何かが起こってるのは事実だろう。これは信じざるをえない。
……これからどうすんの?
今までは与えられた事しかやらないゆとり世代だったので
いざ一人になってしまうと八方塞がりである。
そういえば昔、こんなことを考えたことがあった。
もしこの世で存在してるのが俺一人だったら、好きな事をして
一生楽しい人生を送れるかもしれない。
でも現実はぜんぜん違う。誰にも頼ることが出来ない不安感と孤独感が
一気に押し寄せてくる。一緒に出かける友達もいない。
病気になっても治してくれる人はいない。
考えるだけで身体が震えてくる。
……とにかく、人を探すしかないか。俺と同じ状況の奴だって少なからずいるだろ。
俺は希望を持ち直して駅を後にした。
やっぱり神は薄情なものでして。
行動出来る範囲はほぼ回った。会社、ショッピングモール、住宅街、
全てヒット無しだった。
もしかしてこのまま誰とも出会わないまま死んでいくんじゃないのか?
段々とそんな気がしてきた。
疲れから出る汗と焦りから出る汗が混ざって気持ちが悪い。
かといって落ち着いて風呂に入る気には到底なれない。
受け入れるしかないのか?この現状を。……認めたくはないが。
はぁ……少し休憩しよう。
目に付いたベンチにどさっと腰をおろし、大きく嘆息する。
俺以外の人間がいなくなっている。この現状は理解したが
何故誰もいなくなったのかがわからない。でも誰もいないんじゃ理由も聞けない。
そういえば今日、誰とも会話してないな俺。
毎日上司にネチネチ言われ同期の奴と愚痴りあうだけの毎日だけど
意外と充実してたんだな。
……もぉ何がなんだかわかんね。今日は帰って明日ゆっくり考えよう。
「やってられっかよ。疲れたっつーの!!」
ストレスを声にぶちまけ、すっかり暗くなってる夜道を帰ろうと立ち上がった。
「……動くな」
「……へ?」
突如として側頭部に鉄の感触が伝わり俺はマヌケな声をあげた。
「お前、人間か」
「ど、どういう事ですか?」
横目で見ると全身黒ずくめの男がそこにいた。しかも俺に銃を向けて。
……やっと人に出会えたかと思えば強盗か!?
「質問に答えろ。お前、人間か」
「は、はい。人間です」
「ハンターの者じゃないだろうな」
「ちょ、ちょっとよくわからないです……」
……質問がわからない。金目的ではないみたいだが。
周囲を見回してみると他にも黒ずくめが二、三、五、七、合計で
十人はいる。どうやら包囲されてるみたいだ。黒ずくめ達は皆マシンガンらしき物を
持っていて銃口を俺の眉間に向けている。俺……殺されるのか!?
が、「一般人だったのか。良く無事だったな」
黒ずくめの男はそう言って銃を下ろした。た、助かった。
「あ、あの、何か知ってるんですか……?」
すかさず黒ずくめに尋ねる。この物言いからして必ず何か情報を持ってるに違いない。
聞くだけでも恐ろしいが……これを逃したら駄目だ。
「ああ」
「教えてください!お願いします!」
「名前は?」
「ふ、藤崎燈夜って言います」
「そうか。ついてこい燈夜。そこで話す」
一瞬こんな武装集団達についていっていいのかな、と思ったが
状況を考えて、今はそれしか方法がなかった。
「わかりました!」
男を先頭に、黒ずくめ達に囲まれながら俺はついていった。




