第二章 黒陽の神 第九話 器様
天気予報は、晴れだった。
しかし、村に着いたら、雨だった。
普通の雨ではない、黒い雨だった。
村までは、レイカの車で来た。
車のトランクには拳銃や機関銃、爆薬類まで積み込まれていた。
まるで、戦争でも始めるような準備だった。
そして、草薙の剣と思われる剣が、鞘に納められていた。
レイカから剣を受け取ると、思ったより、軽かった。これなら、素早く、連続切りが出来ると思い安心した。
剣は、今、蒼真が、鞘から出してしまうと何が起きるのか分からないので、戦闘直前まで、鞘に納めておくことにした。
その他、レイカが、安倍晴明神社から取り寄せた大量の護符が、沢山ダンボールに入っていた。安倍晴明の末裔である蒼真にとっては有難いことだった。
荷物の整理をしていると、村長が現れた。
村長からは礼儀正しく挨拶され、村長の家で話がしたいと言われた。
外は暑かった。雨が降っているのに、太陽は出ている異常な暑さだった。
そして、相変わらず、太陽は黒かった。
村長の家に着くと奥の座敷に通された。
そして、座敷には、前回、成仏したはずの巫女の少女が座っていた。
蒼真は、驚いた。
そして、言葉を選び、優しく、巫女に訪ねた。
「成仏出来なかったの?」
巫女は答えた。
「器が違うと言われた。」
「えっ...!?」
蒼真は驚き言葉を失った。
そして、レイカが続けて、質面した。
「誰に言われたの!?」
巫女は小さい声で、答えた。
「神様に...言われた。」
「神様...?何の神様...」蒼真は質問した。
「黒陽の神様」
「前回、あなた方が帰られてから、村長である私は、神社に向かいました。
すると、この少女が泣いていました。困った私は、とりあえず、この家に連れてきました。
しかし、ご飯は食べないし、話しかけても話さないし、困っていたのです。私は、どうすれば宜しいでしょうか?」村長は尋ねた。
レイカは、蒼真に言った。
「今日の戦いが終わってから、考えた方がいいんじゃないかな?神様も気が変わるかもしれないし。」
今は、それしか方法が無かった。
村長には、夕方まで考えさせて欲しいと言い、村長の家の側に停めた車に戻ることにした。
村長の家を出ようとすると、村人達が玄関で、ひざまづいてた。
そして、皆「器様、器様、器様...」と繰り返して言った。
蒼真とレイカは、急いで車に戻った。
すると、車のトランクが光っていた。
トランクを開けると、レイカが持ってきた安倍晴明の護符が入ったダンボールが光っていた。
ダンボールを開けると、護符が、一斉に村長の家に飛んでいった。そして、
護符は、村人の額に張り付き、光輝いた。
蒼真は、早九字を切りながら村人達の方向に走った。
臨兵闘者皆陣烈在前!
そして、光明真言を唱えた。
おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら まに はんどま じんばら はらはりたや うん!
村人たちの額に張り付いた護符は、更に、光輝き、
皆、人間とは思えない絶叫が響いた。
「アアアアアアアアアアアアアアアア!」
村人達は、全員、気を失い、その場で倒れた。
蒼真は、巫女の姿を探した。
座敷にはいなかった。
玄関にもいなかった。
何処に行ったのか分からなかった。
蒼真は、草薙の剣を握り締め、その場は、レイカに任せることにした。
神社に向かったが、巫女はいなかった。
おかしい...何かが、おかしい...
そして、蒼真は、気が付いた!




