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Adonai's Failure  作者: 白河田沼
第三章 裏切りの魔女の代理

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第39話 七度目の復活



『我は魔女教団の残党の()()()()汝の七度目の復活を助けに来た。』

と頭に残るような声で「魔女」は人のような笑みを浮かべる私に対して言葉にした。

「魔女」の後ろで浮かぶ白と黒の二匹のなり損ない(フェイラー)を見て、

して後ろに居る魔女教団の残党、

仔羊の面をした魔女(ウィッチ)達を私は赤い瞳で見る。

彼女らはどう見ても禍根鳥が示した魔女教団の残党その人だった。

「魔女」の手下達の手によって「計画」が動き出すような気がした。

それ故に理解する・・




これは「魔女」からの「死」の宣告なのだと












第二特性情報の「収集」と「集積」を用いて魔女教団の残党の偽物達を読み取り、解析する私である。

「魔女」、目の前の存在は今は全知全能とは程遠い。

その圧倒的な存在感から無尽蔵な魔力の状態ではある事は理解出来る。

けれど魔女教団の残党の偽物についても底が知れない。

精々一人一人が魔女の代理の十分の一程度以上という”旗持ち”いわば国家近衛部隊を匹敵か上回る力を持つ程度であるのだ。

脅威ではあるもののそこまで深刻とは思えないが彼女らの情報が足りなかった。

だが、魔女の代理に匹敵する白と黒の二匹のなり損ない(フェイラー)は傲慢の魔女の代理にも劣らない魔力を放っている。




彼我の圧倒的な戦力差が私には見えていた。




「偽物の魔女教団、どうしてそれがこんな私の夢の中になんか有るのか。」




「私には何んとなしに理解出来る。

魔女教団では恐らく私の夢の中に入り込めないのだろう。

この疑似空間は許可した者と私以外を排除する。

抜け殻とは言え魔女の代理と同程度以上か、「魔女」の力が無ければ意味が無かったんだろう。」



「だからこそ、そこにある仔羊の面をした魔女教団の残党の偽物達を侍らせてきたのか。けれど一体何の為に。」





『それはともかく、シアよ。汝は何か言う事は無いか。』

頭に残るような声でけれど淡々と「魔女」は私に言葉を吐く。

けれど私は首を傾げる。

一体何の事なのか分からなかったのだ。






『そう考えているな、全く困った事だ。

汝の為に二度介錯をした事忘れていないぞ。

あれにはそれなりに代償が伴っていてな、こうして夢の中に干渉する事のように一苦労をしたのだ。』




「それで私に要求するのは何?

やっぱり感謝、それともお金?

記憶にないけど今の私ならコンビニでアルバイトとかしてお金で返すと思うよ。」



『違う、他に何かあるだろう。例えば・・』

その頭に残るような声でけれど「魔女」は言った。

微塵も気おくれせず、

代償を要求する「神」のように

あるいは時代錯誤の悪魔のように、

平然とした声音でこう言った。






『そう、お前の義魂の残滓などだ。』

記憶の実感も、感情も、そして魂や肉体、

記憶の全てすらない私はその失った筈の義魂、その残滓を用いて人のような笑みを同時に浮かべながらも、

言葉に悪寒を覚えた。





まるで「神」を畏怖するように









「魔女」が二度介錯した代償として何かを私に求める。

それについては何んとなしに理解していた。

権限の管理者である「蛇」が六度も復活する折、代償を私の願いを叶える為とは言え要求するのだ。

己が望んでいる事とは言えそれも筋が通っているように思えた。

けれど今回「魔女」が代償として要求した物は記憶の全てを失った私にとっては本当に首を絞めるような問いだった。



今の私は義魂の残滓によって生かされている


今の私には記憶の実感が無い。

感情も無く、魂すら無い。

肉体や記憶の全ても有りはしないのだ。

そんな義魂すら奪われ、残滓しか持たない今の私から、

その義魂の残滓すら奪われればけれど私は本当に死ぬ。

今度こそ死んでしまう、そんな確信が在った。





己が何者なのかすら知る事無く、ただ一つだけ残されたシアという名前だけ抱いて死んでいく。


それは私にとっては必ず避けるべき事だった。

だってまだ私は何者でもないのだ。

名前を持って孤児院で愛された記憶すら、

第五特性「全知全能」を解析する時に得ただけのただの”とある少女のなり損ない”でしかない。

「シアのなり損ない」でしかない。

そんな私が、私は嫌だった。





考えてみれば当たり前だ、

いくら「神」のように笑みを私が浮かべようと・・

色々と人外染みた笑みを浮かべようと・・

私はただの記憶を失った女子高生でしかない。




黒を基調としたセーラー服を着ていようと裸の少女と変わらない、

何の称号も無い、何も己を持たない、何も守る物も無い。

ただ美人な事が取柄の17歳の少女でしかないのだ。

これではまるで生まれたての赤ん坊だ。

その心には何もない、皆への想いすら欠片も持たない。

”空っぽの王”それこそが今の私を飾り立てる精一杯の美辞麗句なのかも知れない。

称号が増えたな、惨めったらしい私らしい。

けれどそれこそが変えられない事実であり、今の私を示す記号そのものだった。






だけれど私には変えられない思いが在った、

まだ死にたくないという願いが在った。

まだ生きていたいという想いが在った。

まだ皆と居たいという「心」が在った。

これら三つが心をゆっくりと満たしていく、私の心を確かに満たしていく。

そうだ、決めたのだ

私は死なない。私はまだ生き続ける。




だってまだ鏡の国(クルシア)の人々に平和を与えられていないのだから



『人情劇はそこまでだ。』






『返答を聞こう。』

そう頭に残るような声で「魔女」が言った。

さあ、シア。

覚悟を決める時だ。

そうして前髪を掻き上げ、手を放して髪が降りていくのを見れば、

けれど沈みかけの上弦の月のような赤い瞳で人のように笑んで私は言った。








()()()()()()()、「()()」。()()()()()()()()()()()。」

して右手を貫き手の形にする。

沈みかけの上弦の月のような赤い瞳を閉じ、自身の手指に意識を集中させる。

「魔女文字」を使って肉体に身体強化魔法を付与すれば深呼吸をして私は私自身の心臓に貫き手を刺した。

体から血が噴き出る、手指が皮を、肉を、肋骨を貫いたのを感じた私である。




崩れた視線と薄れゆく視界、

姿勢を崩し、膝を付く。

辛うじて視線を前に向けながら

血溜まりで痙攣する体、朧気な意識の輪郭を知覚する。

私を見つめる「魔女」、その奥にある鼓動する光輪(ヘイロー)を見つめていれば、

けれど透明な世界の中で私は目覚めた。










透明な世界の中で、私は目覚めた。

ただ透明な地平線の中で九度目に目を覚ました私である。

なり損ない(フェイラー)の「王」、

(ドミネイト)とも言われている「蛇」の姿がそこに在った。

沈みかけの上弦の月のような瞳を持つ、黒髪赤目の少女がそこに居たのだ。




光輪(ヘイロー)が鼓動する空の下、


そこに私と瞳以外寸分違わない姿の「蛇」が居た。

ここに光輪(ヘイロー)があるのは私がそれを理解したからだと理解している。

いいや、正確にはずっと光輪(ヘイロー)についての知識を私は持っていたのだ

一度目の復活の後の、

記憶の実感を失くした私が禍根鳥から貰った新しい記憶達の中にあったのだ。

「光輪は死する者の前に現れる。」という知識を知っていたのだ。

だからこそ、「蛇」に話しかける私である。






「・・・何をしに来たのか何ていう風には聞かないよ。気配(オーラ)が漏れ出てるからね」






「そうか、随分迷っていたようだがな、お前よ。」

血反吐を吐くような気配(オーラ)が包みこんでいたのを理解した私である。

肋骨を軋ませ、

内臓を圧迫するそんな気配(オーラ)の中で血反吐を滲ませながら私は「蛇」を見据える。

いいや、睨み付ける。

今の私には記憶の実感が在り、感情が在り、魂が在る。

肉体が在り、記憶の全てが在り、義魂すら持ち合わせているのだ。

満たされない事が当たり前だった私が今は絶好調なのである。

これを利用しない手は無かった。







「どうして、私に私が売り払った全てを返したのかは知らないけどこれが餞別のつもりなら、粋な事をしてくれるね、「蛇」。」




「そうか、何か話したい事はあるか?遺言くらいは聞こう。」




「・・・・・成程、理解したよ。私はやっぱり生きられないんだね「蛇」。」

この短いやり取りで理解出来た事が三つ在った私である。

まず一つ目は私の確かな死、

して二つ目は「蛇」の復活、

そして三つ目は「蛇」の予言の確実性であった。

「黒き蛇の王が帰還せし時、諸王は蘇りその威光を己が力によって鏡の国に知らしめるだろう」、この予言が叶う時が来たのである。





恐らくだが「蛇」は私の体を以て鏡の世界(クルシア)に顕現するつもりなのだろう。


それによって数多く居る(ドミネイト)が目覚め、

青水の大地(ゲヘナ)に居るなり損ない(フェイラー)鏡の世界(クルシア)に攻め入る。

そうしてなり損ない(フェイラー)戦線に居る魔女(ウィッチ)や魔女の代理を殺し、

(ドミネイト)としての威光を占めるという理屈である。

私の死は「蛇」の復活によって確定するのだ。







「少し違うな、お前よ。

お前は私の心の中で生き続ける。

第五特性「全知全能」を解析する記憶も魂も肉体すら無い存在に成れ果てるのだ、

それ以上でも以下でもない。

お前が辿るのは1000年の地獄であると言えるだろう。」




「理解したか。」

あっさりと「蛇」に言われた言葉にけれど理解する私である。

この(ドミネイト)がどうして私の施しを甘んじて受け入れていたか理屈が理解出来たのだ。

(ドミネイト)は「魔女」に第五特性を解析し使用して、

本気で勝つつもりなのだと理解した私である。

だからこそ、言葉を吐く。







「理解したよ、私は利用されてたんだね。」






「・・・動揺は少ないようだな。よもや予想して私に代償を払っていたのか。」

「蛇」の声が怒りに震えた。

私は知っていた、「蛇」が邪悪が成りきれない事を

私は知っていた、私自身の覚悟が既に決まっている事を

「蛇」と私はもう会えないそれを理解しているのだ。




「貴方がどんな算段だろうと私は受け入れるよ、

それで鏡の世界(クルシア)の人々や現実世界の皆んなが救われるなら。」



「何故、そこまでの覚悟を決められる。

先程までお前はあんなに苦心していたでは無いか」




「どうしてって、分からないの「蛇」。」

怒りそのものの気配(オーラ)の中で、

内臓が迫り上がってきそうな錯覚を覚えながらも、

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「蛇」を真っ直ぐ見据えながら私は言った。





「私は皆んなが好きだから、

大好きだから私は死ぬんだ。

それが私なりの「平和」だから」

そうただ当たり前の想いを込めて笑みを浮かべて言った。




光輪(ヘイロー)が鼓動する空の下で、




◾️

「蛇」について私が知っている情報は少ない。

なり損ない(フェイラー)の「王」である事、

(ドミネイト)というなり損ない(フェイラー)の上位種である事、

憎悪と憤怒、欺瞞を司る存在である事などなど、

私は彼女を知らなかった。

だからこそ、怒りその物のような気配(オーラ)を発しながら、

見開かれた目をした「蛇」を私は予想出来なかった。



「貴方、そんな目も出来るんだ。それとも何か思い出した。」



「・・・ああ、そうだな。

その「目」、その目だお前よ。

その泣き出す寸前のような目で一体どれだけの人間を誑かした。」

怒りそのものの気配(オーラ)にガフっと血反吐を吐く私である。

睨みつけるような瞳でけれど「蛇」は私を見つめる。

まるで親を憎む子のように




「言っておくぞ、「魔女」は何も救わない。

全知全能たる魔女(アドナイ)を崇める魔女教団も私という存在によって滅びたのだ。

お前達の願いは何一つ叶わない。」



「・・・一体何の話をしてるの?」




「そうだな、私はお前に話しかけていないのかも知れない。だが、それで良い。

お前でなくともお前の役割は務まるのだと理解していればそれで良い。」



「お前という存在は今、ここで終結する。

既に予言で決まっているのだ。

お前は死ぬ、鏡の世界(クルシア)魔女(ウィッチ)に関わる限り必ずな。

私はそれをお前の自我空間(エゴ)で待っているだけで良い。

こうして干渉するのも気紛れでしか無い。手慰みのような遊興その物だ」

「理解出来ない。」そんな言葉が私の口から漏れた。

だが、「蛇」が、

この(ドミネイト)が私と同じ声で「私」に何かを言いたいのは分かった。

その証拠に「蛇」は私の目を見て一呼吸した後こう言った。





「・・・今回の代償については理解しているな、お前よ。」



「義魂の残滓だけじゃ無い。義体も含めた私という存在その物だろう。」




「であれば、これ以上語る必要も、

醜態を見せる必要も無かったな。」

怒りそのものの気配(オーラ)を発しながら「蛇」は私に口にする。

なり損ない(フェイラー)の「王」として、

(ドミネイト)として、

他ならない憎悪と憤怒、欺瞞を司る存在、「蛇」として私に言った。





「さらばだ、お前よ。千年後の世界でまた会おう。」

そんな言葉と共に光が私の体を彩っていく。

潰された内臓が、

唇から垂れた血液が、

そして他ならない自我空間(エゴ)その物が照らされていけば、光輪(ヘイロー)が鼓動する空の下で、

けれど私は立ち上がって「蛇」の翳した手を取る。



して、手を引けば「蛇」の体を抱きしめた。

ただ理由もなく。

理解もなく。

純粋な気持ちで「蛇」を抱きしめた。

そうして私はこう言った。







鏡の世界(クルシア)魔女(ウィッチ)を、皆を頼んだね、「蛇」。」

けれどそんな言葉を人のような笑みで私は言った。

その瞬間、彩られた光がバチンという音と共に消え失せた。

「蛇」にどうしてか頬を打たれた、瞬間だった。










◻︎

私は私自身の心についてあまり知らなかった。

今の私には記憶と感情、魂があった。

3歳までの記憶は当然あり、

14歳までの記憶は()()に関係する所以外も有り、

17歳までの記憶は殆ど()()以外も思い出せる。

一般常識と、井伊波恣意の記憶以外の人生についての記録を私は一時的にけれど今確かに持っていた。

だからこそ、「蛇」は私に要求した。




()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



「・・・・・・・」




「どうして怒ってるの?「蛇」」

微かに張り付き、確かに痛む頬に触れる。

赤くなっているであろうそれは確かに触れれば痛かった。

思えば、自我空間(エゴ)の中で「蛇」に気配(オーラ)で攻撃された時、

第四特性「不死」は起動していなかった。

起動したとしてもどんな状態を振り返っても治り切っていなかったのだ。

これが意味するのはただ一つ。





()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



暴走していた時も、鈴には力づくで腕をもがれた物の、

けれど確かに治っていたし、

禍根鳥の七色のブロックノイズの剣で袈裟斬りにされた時も再生は遅いが治っていた。

葵の時なんて一瞬で傷が癒えていた気がする。

朧気ながら暴走の時を思い出してみれば、

第四特性「不死」を得る前であっても必ず再生していたのだ。





けれどこの(ドミネイト)の攻撃では傷が治らなかった。

それは「蛇」なら私を殺せるという理由その物であったのだ。

まるで現実を教えるようにビンタを打たれてけれど瞬時に私は理解した。

恐ろしい・・とは思わない物の意外な事実がそこに在った。





「「蛇」、貴方の攻撃が効くのは理解したけどさ、私を打って何がしたいの。」



「・・・・・」



「何がしたいのか、分かんないんだけど。答えてよ「蛇」」

静かにそう問い質せば「蛇」はビンタされて立ち尽くしていた私の目を見た。

沈みかけの上弦の月のような赤い瞳をこちらに向けて、

髪を掻き上げ、手を離してこう言う。




「お前と「魔女」は違う存在だ。

ただ「計画」に選ばれただけの予言の魔女(フェイラー)があの化物のような口を聞くな。」



「あの者は全知全能だった。

故に不可能も不可逆的な死もあり得ない。

魔女アドナイが座すのは天国の役割を持つ白空の海(ヘブン)、そこに有る御座だ。

ここでは無い。であれば貴様は何か

答えなど理解している、お前よ。」



「・・・・・・」




「答えはただの人間、

ただのなり損ない(フェイラー)だ。

それも一人の魔女(ウィッチ)から魔女の血を貰い受けた死を待つ存在でしか無いのだ。

処刑対象の元色欲の魔女の代理になり損ない(フェイラー)としての力を与えられただけのな。」

反論する気は無い。

確かに私は恣意に魔女の血を与えられた。

禍根鳥に取引の結果としてなり損ない(フェイラー)としての力を与えられたのも本当だ。

けれど私は打たれた頬から手を離して「蛇」を見据える。



沈みかけの上弦の月のような瞳を持つ、黒髪赤目の(ドミネイト)を見つめる。

私と殆ど瓜二つの顔を見つめる。

自棄に成ったのでは無い

私という存在を見つめるその赤い瞳から

どうしても目が離せなかったのだ。

光輪(ヘイロー)が鼓動する空の下、けれどわたしは言葉を紡ぐ。







「確かに「蛇」の言う通りだ、

私は死を待つだけの予言の魔女(フェイラー)でしか無い。それも魔女の血やなり損ない(フェイラー)としての力すら友達や、敵に与えられただけの。」




「私には何も無い。

空っぽの「王」を名乗る資格もない。

ただの無力な女それが私だ。」




「いくら五つの特性を得ようと私は私でしかなく。

全知全能の「魔女」アドナイには程遠い存在だった。

けれど分かるんだ、」



「人には魂が、心がある。

感情があって記憶がある。

それを持っている今の私なら貴方に何か出来るんじゃ無いかってそう思ってた。」




「けれど違った。

「蛇」、貴方は本当に私を受け入れないつもりなんだね。なら最後に言うことがある。」

光輪(ヘイロー)が鼓動する空の下、「神」のように笑んでけれど私は言った。

まるで全知全能の「魔女」のように、

「蛇」の赤い瞳を正面から見つめて






「これまで短い間だったけど、私を助けれくれてありがとう「蛇」」

静かにそんな言葉を「神」のように笑んで私は言った。

その言葉と共に今度こそ本当に

いつの間にか目の前に翳された手のひらから、

光が私の体を彩っていく。

怒りそのものの気配(オーラ)に潰された内臓が、

唇から溢れた血が、

私の自我空間(エゴ)自体が照らされていく

その時、最後に「蛇」を見ればけれど「蛇」は笑った。



まるで「悪魔」のように笑ってこう言った。









「いいだろう、

お前からこれまで奪ってきた全ての代わりとなる精巧な「偽物」を渡し、魔女(ウィッチ)としての力を新たに与えよう。」

そんな言葉と共にいいつの間にか手の平から発生した暗闇に呑まれれば、けれど私は目を覚ました。

魔女教団の作った教会の廃墟の中、

血溜まりに成った草原、咲く透明な薔薇の前で、

光輪(ヘイロー)が鼓動する空の下、「魔女」や魔女教団の偽物達の前で血の海の上で、私は目を覚ました。

新たに支払った全ての代償の「偽物」と魔女(ウィッチ)としての力を得て、

今度はなり損ない(フェイラー)では無く魔女(ウィッチ)として復活した。










そう、私の「計画」通りに

魔女としての彼女について言う事はない。

彼女は予言の魔女であり、既に鏡の国を裏切った存在だ。

なり損ないを脱した彼女を責め立てるべき者も存在しない・・・私以外は。

〜人助けの魔女〜

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