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専業主婦になります!  作者: まとまと
第一章 これが専業主婦の日常
29/44

日常の終わり

―タチバナ サツキ―



「どう・・・かな・・・」


「うんうん似合ってるよ」


「そうですね」



わたしはお母さんとアオイの前で例の戦闘服に身を包んでいた。

黒のジャケットにショートパンツ、ベルトからは膝まで届く腰布がぐるりと一周垂れている。


「まぁ確かに・・・ふっ・・・動きやすいかも」


試しに右足を振り上げてみた。

新品なのでまだ体に馴染んでいない感じはしたけど、それを差し置いても動き回るのに適した服装だということはわかる。


「今日はそれでランニングするの?」


「い、いやさすがにそれは・・・着替えてから行くよ」



今の時間は午前6時半。

なぜ平日にも関わらずアオイが家にいるのかというと休校になったから。

原因はもちろん生徒暴行事件が理由なのだけど、なぜかこういうことに慣れつつあるわたしたちがいた。

それはそれでどうなんだろう・・・なんて思っていたら



ピンポーン



「あら、もうマモル君来たんじゃない?」


「あぁもうこんな時間か、お母さん出てもらってもいい?」


「え?お母さんが?いいけど・・・」


とりあえずあの人にはお母さんを与えておけばいいかな。

さてと、いつものジャージに着替えないと・・・。




昨日の決闘が終わってマモルがお母さんと(ちなみにわたしとも)メールアドレスを交換した後


「明日からマモル君も一緒に特訓してみたらどうかな」


「は、はい!・・・まぁ・・・体力にはちょっと自信ないんですけど・・・」


なんてやり取りがあったので早速今日から一緒に日課をやることになった。

今日からは任務のため本部に行かないといけないからあまりハードにするとバテちゃうかもしれないし張り切りすぎないようにしないと。


「よし着替え終わり。じゃあ行こうか」


「おっけー」


こうしてアオイと一緒に玄関を出て、相変わらず顔を真っ赤にしている男の子と合流して日課を開始した。

まぁいくら体力に自信がないとはいえ入団テストに合格しているんだから最低限のランニングくらいなら大丈夫でしょ。



--------------------



「はぁ・・・はぁ・・・ちょ、ちょっと待って・・・」


マモルは膝に手を付けて息も絶え絶えという状態だった。


「えーと・・・」


ちなみに家を出てここまで走った距離








約30メートル






「バテるの早いな!?」


「い、いやぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・こんなに走るのって最近じゃゴミ収集車追いかける時くらいしかないからね・・・」


微妙に日頃の苦労が垣間見えるコメントだった。


「どうする?もう戻ってうちで休む?」


「ま、まだまだ・・・。頑張らないとね・・・」


まだ膝に手をついていて顔も上げられない状態のようだったけど横顔を覗くことはできた。

足はガクガクと震えて顔は汗でびっしょり、恐らく体力はほとんど残っていないのだろうけどそれでも瞳から力は抜けていなかった。

昨日までは負けてもヘラヘラしていたのに・・・これはあれだね。



やっぱお母さんパワーすさまじいな。


「あまり無理しないようにね」


すでに限界な気がするけど本人がまだ頑張ると言っているのに無理に止めるのはよくない。

わたしがこの人の立場だったら自分の気が済むまでやりたいと思うだろうし。

だったら止めるのではなく好物を目の前にちらつかせてあげれば食いついて疲れも忘れて走り出すかもしれないな・・・。


「あぁーでもわたしもちょっと疲れちゃったかも。これは帰ったらお母さんにマッサージしてもらうとすごく気持ちよくなれるかもなー。そのためにも早いとこ――」


スタタタタタタタタタ!


「ってうおぉぉぉぉぉい!」


言い終わる前にマモルはさっきまでのは演技だったんじゃないかと思うほどの速度で走り出していた。

まぁ気持ちはわかるけど・・・と思ったけどこの人お母さんにマッサージしてもらったことないから完全に想像したな今。


「しょうがないなぁ・・・行こうアオイ」


「ふふふ・・・りょーかい」


予想以上のお母さん効果に驚愕しつつもわたしたちは彼を追いかけた。



ちなみにさっきまでバテていたのにいきなりあんな速度で走り出したら10秒ももたなかったのは言うまでもない。



--------------------


―タチバナ ヤヨイ―



「さて・・・と」



3人を見送った後私は・・・



「寝ちゃおっと」



ソファで仮眠をとることにした。

サツキ達が家に帰ってくるのはだいたいいつも9時前後なので8時30分にアラームをセットしておく。

朝起きるのは得意なのだけど私の場合は起きた後が問題だった。

どうも午前中やご飯を食べた後は眠くなってしまっていけない。



特にこんな心地よい風が吹き込んで来る日は・・・もう・・・



「すぅ・・・」




・・・・・・・・。







『やめて!お願いやめて!』



え・・・?



『なんでこんなことするの!?』



これって・・・。



『痛い・・・痛いよ・・・』



・・・。



『なんで何も言ってくれないの・・・?』



何で今更・・・。



『もう・・・なんでもいいや・・・』








ブーーーブーーーブーーー



ケータイの着信音とバイブレーションで目が覚めた。


なんだやっぱりさっきのは夢か。

気づけば額も手のひらも汗でビショビショだった。



ブーーーブーーー



あぁとりあえず電話に出ないと。

はぁ・・・こんな朝から誰だろう・・・。


気分が落ち込んでいる上に寝起きだということもあって相手の名前も確認せずに電話に出てしまった。



「もしもし・・・タチバナですけど」


「あらあらタチバナさん。お久しぶりね」



んん!?

こののんびりとしていて大人の色気をはらんだ口調は・・・!


あまりの衝撃に眠気なんか吹き飛んで咄嗟にケータイの画面を見た。

そこに表示されていた名前は・・・




シラユキ ナツ




「姉さん!?」




数年ぶりにかかってきた姉さんからの電話にうかれていたこの時の私は知らなかった。


この一本の電話からまさかあんなことに発展していくなんて。

ここまで読んでくれてありがとうございます。

いきなりですがここで章分けさせてもらうと同時に第一章完結とします。

一章ではこの世界には魔物とかいるんだよーとかなんかこういう不思議な力があるんだよーとかいうことが伝わったらいいなーとか思いながら書いてみました。


次の章はヤヨイの実家についてのお話を書いていこうと思うので興味を持ってくださった方は続きも読んでくれると嬉しいです。

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