05-13.取り返しのつかない要素
「あったわ♪ このマントが欲しかったのよ♪」
店売りのマントを見てテンションを上げるサツキさん。
「すみませ~ん! これあるだけくださ~い!」
店で買える中では最高率の防具だ。もちろんゲームの話だけども。
ただ実際、羽のように軽いと説明文に書かれていただけあって、通常の布とは全く異なる感触だ。もちろん軽い。しかも薄い。本当にこれで防御力が上がるのだろうか。
「スイ! お金お金!」
そんなに買うの? 手持ち足りたかしら?
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「ありがとう♪ スイ♪」
「そんな一遍に買い込んで大丈夫? また寝る時間削るんじゃないでしょうね?」
「大丈夫大丈夫♪ 計画的に進めるわ♪」
ならいいけど。サツキさんも結構すぐ無茶するのよねぇ。
「けど防御力ばっかりそんなに上げても仕方ないじゃない」
「何言ってるのよ。一番大切な数値じゃない」
まあね。誰も傷つかないことが理想だし。
「それに着替えの分も必要でしょ」
まあ、服だものね。探したら何処かに自動洗浄機能付きの服とかないかしら。
「生地はいくらあっても困らないわ♪」
楽しそうにしちゃってまぁ。
サツキさんは何よりも、皆の役に立てることが嬉しいのだろう。もちろん服を作るのが好きなのもあるだろうけど。
純粋な戦闘力は今ひとつなサツキさんだって、装備作りでは他の追随を許さない。どころか、総合的な戦力として見た場合のサツキさんの貢献度は圧倒的と言えるだろう。
それだけ上昇量バグってるし。全員がカンスト装備を身に着けたら、サツキさん一人でパーティーもう一個分の戦力を用意したようなもんだし。パねえな。
「次はエルフの里に行きましょう♪」
エルフ……ああ。……うん?
「待って待って! それはダメだって! あの神弓はエルフ族の宝よ! いくら木製だからってバラすのは無しよ!」
倫理観は捨てないで!!
「違うわよ。失礼ね」
あら?
「そっちじゃなくて。売ってるじゃない。魔力と知力を上げる腕輪。それにもしかしたら材料を直接買い付けられるかもだし。行ってみて損は無いと思うの」
「え? エルフの里って買い物なんか出来たっけ?」
あそこって実質的なダンジョンじゃなかった?
「あら。一作目には無かったかしら」
なるほど。ファンディスク版だと扱いが違うのね。
「……あ」
「どうしたの?」
サツキさん大丈夫? 顔が真っ青よ?
「……滅びてるわ。エルフの里」
「……なして?」
「ファンディスク版では幼少期のベルベティアが救うのよ。だから里が健在なの。けど一作目は滅びてるでしょ。それでボスを倒して弓を手に入れて……てな感じで」
……なんてこと。
「「……」」
気まずい沈黙が流れる。
「と、とにかく行ってみましょうか」
「え、ええ。そうね」
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「「……」」
手遅れだった。
里はとっくに滅びた後だった。
「ギャァァァーーー!!!」
八つ当たり的にボス魔物を倒し、滅びた里を解放した。
「これがエルフ族の秘宝……」
弓を手に取り、どうするべきかと二人で考え込んだ。
「まだ生き残りがいるんじゃないかしら」
「そ、そうよね。行方を追ってみましょう」
せめて返すとしよう。里に戻りたいと言うなら手助けだって出来るかもしれない。
取り敢えず近場の森を探索しつつ、冒険者ギルドへ向かってみることにした。
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「それは!!」
ギルドの紹介で、町に来ていたエルフの方々と会うことが出来た。神弓も無事に返還できた。
「里まで解放していただけたのですか!!」
エルフ族のみなさんは大層喜んでくださった。
正直申し訳なさでいっぱいだ。私たちなら救うことだって出来たかもしれなかったのに、と。
「ベーグル様!!」
……私か。
そうだった。そんな冒険者ネームを付けていた。
「「「「「「「「ベーグル様バンザイ!!」」」」」」」」
「「「「「「「「サツキ様バンザイ!!!」」」」」」」」
あれよあれよという間に、ベーグル様の名は広まった。
「なんでパンなの? 好きなの?」
「深い意味はないわ」
成り行きよ。聞かないでよ、サツキさん。




