俺の家で。
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キスしてほしいと言われた湊人。
さあ、どうする?
「え、あの…ここで?」
ここは華の家の真前の道。
人通りが何気に多い。
俺のファーストキス、誰かに見られる可能性が高い。
こんな所でキスしてほしいなんて言われるとは思ってなく、全く心の準備ができていなかった。
俺は挙動不審になっていた。
「…やっぱいいや。ごめんね、急に変なこと言って」
華が俯いた。
(あー!俺、何やってんだ…)
自分の情けなさに腹が立つ。
「華、明日空いてるか?」
「うん、午後なら。」
「俺の家に来ないか?」
「うん、行く!」
「来るときに連絡くれ。明日は1日暇だからさ。じゃあまた明日。」
そう言って俺は帰ろうとした。
「湊人!」
「ん?…っ!」
呼び止められ、振り向くと華が俺の頬にキスをした。
「えへへっ。また明日ねっ!」
そう言うと華は走って家の中に入ってしまった。
「…。」
俺は呆然と立ち尽くしていた。
頬を触ってみる。
(華の唇がここに触れたのか。…柔らかかったな)
思い出すと顔がものすごく熱くなった。
明日、絶対に俺からキスしよう。と心の中で誓った。
家に帰ると俺はスマホでキスについて調べた。
なんとなくは知っているつもりだったが、いざ調べてみると奥が深い。
ちゃんとできるか不安になってしまった。
「あー!もう!調べるんじゃなかった!!」
俺はスマホを投げた。
華は悔しいが俺より経験豊富だ。
失敗したら正直に話そう。
カッコ悪くたってしょうがない。
俺は開き直り、寝ようとした。
「…全然眠れない。」
俺は、何か飲み物を飲もうとリビングに向かった。
「あら、まだ起きてたの?」
「なんか寝れなくてさ。」
「なんだ、丁度いいわ。湊人、部屋の片付けしなさい。あんな部屋に華ちゃんを通すわけには行かないわ」
「華が来ても大丈夫なぐらいには片付いてるけど」
「本気で言ってるの?!…まあ、嫌われてもいいならいいんだけど」
「…分かったよ!やればいいんだろ!」
俺は部屋に戻り、部屋をぐるりと見渡した。
「…。」
勉強机の上には整理されていない教科書や漫画や小説が山になっている。
よく見ると少し埃も溜まっているようだ。
床や窓も見れば見るほど部屋が汚く見えてきた。
俺の夏の大掃除が始まった。
「お、終わった…」
結局3時間もかかってしまった。
俺は着替え、倒れるように寝た。
ーーーーー
「湊人〜?起きなくていいの〜!?華ちゃん、いつ来るの〜?」
遠くで母さんの声が聞こえる。
「ん〜もう少し…」
俺はスマホを見た。
『13時くらいに行っていいかな?華』
華からメールが届いていた。
『おっけー、待ってる。湊人』
送信した後、現在の時刻を確認した。
「…12時?!」
俺は昼まで寝てしまっていたらしい。
「母さん、メシ!」
急いでリビングに行き、椅子に座る。
「母さんはメシじゃないわよ。失礼ね。」
そう言いながらもご飯を装ってくれる。
「湊人、何時に来るって?」
「13時!」
俺は急いで食べる。
「あら、あんまり時間ないわね。湊人、シャワー浴びたほうがいいわよ?寝癖が酷いから」
「分かってるよ!俺の寝癖が酷いのはいつもだからな!ごちそうさま!」
俺は急いでシャワーを浴び、歯を磨いた。
「これで、大丈夫か…」
鏡で入念に自分をチェックする。
ピンポーン
華が来た。
「華、お待たせ!今日は一人で来たのか?」
「うん。不安だったけど一人でも大丈夫だったよ!」
「そっか。進歩だなっ!さ、入って!」
「おじゃましまーす」
俺は自分の部屋に華を通した。
「綺麗にしてるんだね〜!すごーい、本たくさん!」
華は物珍しそうに部屋を見ている。
(片付けしてよかった…)
俺はホッとした。
「俺、飲み物持ってくるからてきとうに座ってて!」
そう言うと俺はリビングに向かった。
「母さん…あれ?」
リビングにいたはずの母さんがいなくなっており、代わりにメモがあった。
『母さん、おやつ買ってきます。』
(わざわざおやつ買いに行かなくてもいいのに…)
飲み物を用意し、お盆に乗せたがやはり今日も溢しそうだ。
2つだし、いいかと手で持って行くことにした。
俺の部屋に戻ると華が床に座り、ベッドに突っ伏していた。
「どうした?!具合悪いか?」
俺は心配になり華の近くへ行く。
「違うよ〜、湊人のいい匂いがしてつい、ね」
華が微笑む。
「なんだ。それならいいけど」
そう言って華の隣に座り、手を繋いだ。
華が指を絡ませてきた。
「華、あの、昨日の事なんだけど。」
「ん?なんだっけ」
「…キスしたいって。今、していいかな…」
「うん。」
華の方を見ると華の顔も少し赤くなっていた。
「華、目閉じて…」
俺は少しずつ顔を近づける。
そして、短いキスをした。
「…。」
俺は恥ずかしくなり、顔を逸らした。
「湊人…」
「…。」
「ねぇ、湊人!」
トントンと肩を叩かれて俺は華の方へ顔を向けた。
ブスッ
華の人差し指が俺の頬を刺した。
「ふふっ。湊人すぐ私の顔見てくれなくなるんだから。」
そう言って華は俺にキスを返した。
「ねぇもう一回、してほしいな」
華が上目遣いでこちらを見つめている。
可愛すぎる。
俺は思わず華をギュッと抱きしめた。
そして今度はゆっくりと深いキスをした。
俺は我を忘れキスをし続けた。
そして無意識のうちに俺の手が華の胸に伸びた。
「ま、待って…!」
華がそう言うと俺の胸を押した。
俺は我に帰った。
華を見るとガタガタと小刻みに震えている。
「ご、ごめん。」
情けない。
華に怖い思いをさせてしまった。
「ううん、大丈夫。私こそごめんね。幻滅した?」
華は不安そうな顔をしている。
「そんな事あるわけない!俺が悪いんだ。」
「私は湊人の事大好きだから、触れてほしいし、触れたいの。でも少しずつでお願い。」
「そうだよな。悪かった。」
「もう謝らないで。私も悪いんだし。」
「俺たちは俺たちのペースでゆっくり行こう」
「うん…」
俺は華を抱きしめた。
しばらくそうしていると震えが止まってきたようだ。
「もう大丈夫そうか?」
「うん。でもまだもう少しだけこうしてたい」
華は俺をギュッと抱きしめ返した。
「ただいま〜!」
バッ
俺たちは慌てて離れた。
母さんが買い物から帰ってきたようだ。
「お母さんに挨拶してもいい?」
「あぁ、一緒にリビングに行こう」
俺たちはリビングに向かった。




