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Act.17 お泊りイベント

お久しぶりです。どうぞごゆっくり。

「あ、そうだヒナ、パーティー組まない?」

「あ...うん、うぅ~ん...けどさ、何で?」

「それがさー、別パーティーに入って近隣諸国回ってるうちに外の世界に行くのも悪くないなー、って思ってさ」


なるほどねぇ。向上心があっていいことだ。しかも目的地は性格からしてどこでもいいような気がする。


こっちの目的とも合ってるし、良いんじゃないか?

日向夏が一瞬の俊巡ののち、


「分かった。一緒に行こ?」

「さっすがヒナ。分かってらっしゃる」


その後もつつがなく歓談が進み、クッキーが入っていた袋が空になった頃に、日向夏が話の口火を切る。


「セイ、パーティーを組む上で一つ知っておいて欲しい事があるの」

「おう。相棒の秘め事ぐらい守るぜ?あたしは」

「ありがと。じゃ...兄者、どうぞ」


お呼びをもらったのでセイディに話しかける。


『初めまして、かな?俺がさっき紹介してもらった兄者だ。名前が思い出せないからこの名前で呼んでもらってる。よろしくな』

「お?これは念話、って奴かな?あ、よろしく~。喋ってるってことはもしかして兄者ってアンシェント・アーティック?」


...何で驚いてるのが俺たちのほうなんだろうか?もっとこう、えーっ!?みたいな反応をどちらかというと期待していたんだが...日向夏も同じことを思ったらしい。


「...何でセイ驚いてないの?」

「いやー、これでも一応驚いてはいるんだぜ?けどやっぱ好奇心には勝てないわな―」


少しはにかみながら言う。まぁ、嫌いじゃないんだけどね、そういうタイプの娘も。続けてニガとロザが自己紹介をしたけども、どうやら日向夏と似て小動物好きらしく、


「何この子達かわいい!!ね、ヒナ、もらっていい!?いい!?」


と言い出す始末。中々に個性が濃いね、セイディは。


その後は事務的な話から旅の話まで話の内容を多岐に及ばせていた。ふと日向夏の親御さんのことが気になって聞いてみたら、両方とも元ランクS冒険者であり、今はその腕を買われてここ、エスラット王国の幹部として働いているそうだ。そのせいもあって、中々ここの家に帰ってこれることはないらしい。


と、もうそろそろいい時間だな。セイディは帰るのかと思ったら、


「ヒナー、家今誰もいないから泊めてくんない?」

「いいよー。私もあと一週間ぐらいはお父さんもお母さんも帰ってこないし」


まさかのお泊りイベントである。しかも間を置かずに日向夏もゴーサイン出したし。ま、そんだけ仲がいいってことなんでしょうな。


なんだかんだ言って日向夏の手際が良く、三階に上がる階段の横にちょっとしたスペースがあり、日向夏がそれを生かして毛布を敷いてくれており、ニガとロザが二人そろってその上で寝ていた。


ふと昼間のことを思い出す。


『なあ日向夏、そういえばあの昼間の奴って何だったんだ?ヴァ...何とかってやつ』

〔ヴァイサイト、です。そうですね...そういえば説明してませんでしたね〕


日向夏がちょうどいいといった具合にヴァイサイトについてセイディに話を持ち掛ける。


「ねえセイ、これってランクはいくつぐらいなの?」

「ランク?あーっと...たしか7だったかな?」


7...うーん、微妙な数値だな...上限が幾つかにもよるけど...高いのか?


「流石、っていった所なのかな。っと、兄者、さっき私がセイに聞いたのが兄者にもある装具ランクですね。上限は10です」


だとするとなかなか高いね。俺は...今はどうなってるか分からんな。


「あ、これ今兄者と話してるやつ?じゃ、私もやろー」


まさかの乱入者である。日向夏が不満そうな顔を浮かべる中、セイディが日向夏に代わって説明を続ける。


「このヴァイサイトってのは魔鉱石の一種なんだよ。そんでもってこれはその魔鉱石の中でも一番希少価値が高いやつ。それで魔鉱石の主な用途としては、MPを溜めることかな。汎用性が高いから他にもいろいろ使われてるけどね」

『なるほど』

「希少価値が高ければ高いほどMPを溜められる容量は増えるし、比例して値段も吊り上がる。一番安いのだと100マラン位で買えるけど、これは...25万マランぐらいかな?」


おうふ。あんまりこっちの貨幣制については分からんけど、増え方がえげつないな。日向夏もなかなかお目にかかれないであろうレベルの驚いた顔してるし。


「で、今のが普通・・のヴァイサイトでのお話。魔鉱石には特異型、っていうのがあってさ、百年に一回発見されたら奇跡レベルの代物なんだ。もし特異型だったら魔鉱石自体の性能スペックが二倍、三倍に上昇するんだ。もし買ったら...というかそもそも買えないか」

『...水差すようで悪いんだけどさ、その「マラン」っていうのは何なんだ?貨幣の単位だってことは分かるんだけど...』


未知ゆえの発言。と、ここで日向夏が顔を輝かせてこっちの貨幣制度について説明してくれる。

曰く、ここの大陸には大陸間共通硬貨と、国家硬貨の二種類があるらしい。前者は名前の通り大陸内で共通の価値を持つ硬貨として存在しており、同盟が管理しているらしい。


国家硬貨は前者と同じく名前の通りの意味であり、国内でのみ使える硬貨の事らしい。大陸間共通硬貨とのトレードレートは決められているらしい。ここエスラット王国ではさっきのマランという単位であり、トレードレートは低いほうらしい。


話を聞くに、こちらの一家庭の平均年収(?)は大陸間共通硬貨で表すと金貨40枚くらいらしく、向こうの紙幣価値に照らし合わせてみると、大体金貨一枚が10万円位の価値になるんだろうか。


日向夏は同じくマランについても説明してくれた。あまりに長かったもんだから要点だけ覚えるのに時間が掛かったよ。こちらは100マラン=金貨一枚のトレードレートらしい。


成程...そう考えると2500万...おぉう、高ぁい。しかもそれより高いとは...セイディの運、恐るべし。

まあ値段に比例してるはずだからその分性能も高いはず。いざ、鑑定!


名称:魔弩弓・グラヴィテン 武具ランク:Ⅶ

攻撃力:571 耐久値:1230/1230 蓄積可能魔力 13/3000 魔力強化上限:T

付与スキル

装備者敏捷上昇中(20%上昇) 装備者魔力上昇中(20%上昇) 俊敏:Lv.4 軽業:Lv.4

固有付与スキル

共調 自動変形 羽の加護

自動スキル

跳躍力上昇中+(30%上昇)


名称:魔槌・レイノルド 武具ランク:Ⅶ

攻撃力:794 耐久値:1500/1500 蓄積可能魔力:13/2500 魔力強化上限:T+

付与スキル

装備者筋力上昇中+(30%上昇)装備者魔力上昇中(20%上昇)体術:Lv.4 連撃:Lv.5

固有付与スキル

痛覚鈍化 打撃置去 羽の加護

自動スキル

リーチ上昇中(20%上昇)


う...おお。なんか凄いことになってるな。日向夏もスキルの「共有」で鑑定結果が見えていて、さっきに勝るも劣らないいい顔をしている。


「お、おお?どうした相棒よ」

「あ...あ、うん。ごめん、武具ステータス見て驚いてた」

「なんで...ってそうか、共有があるから見えるのか。いいなー、あたしにも見せろよー」


さっきセイディにも俺のステータスのことや、出自のこともすべて話しておいた。ステータスを聞くや否や、セイディもさっきの日向夏ほどではないけれども、驚いた顔をしていた。


仲間からは大雑把なステータスしか伝えられていなかったらしく、今回初めて詳しいステータスを聞いたらしい。セイディも日向夏もランク7の武具を見るのは初めてらしく、これ以上があるのかと言いながら詳しいことを聞いてきた。


そんなこんなで時間は過ぎていき、月が頂点に達するのと同時に、その日の記憶は一旦途切れたのだった。

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