↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
29/43

後半、もうひと踏ん張り

 調子に乗って夜ごはんを作りすぎてしまった・・・。こういうの、なんて言うんだろ?クッキングハイ?

 勉強の疲労と空腹で、みんなテンションがおかしかったもん。


 アルベルトなんて、なぜがシャツを脱ごうとして、ギュスターヴとエドワードに全力で阻止されていた。早くも、本日二度目の羽交い絞めだ。

 一日で二回も羽交い絞めにされる人を見るのは、そんなにうれしくなかった。


 ご飯を食べ終えると、オルガはパンパンと手を叩き、


 「しっかり片づけするわよ」


 と珍しくいいこと言った。

 

 料理は、きちんと片づけまでするのが大事とのことで、他のメイドさんたちの力は借りずに、自分たちで散らかしたキッチンをきれいにしていく。


 オルガは、テキパキ指示をして、 


このままのんびりしたいところではある。でも、みんなで気合を入れなおして重い腰をあげて、後半戦へ臨む。 



 次は、国語だ。国語なんて普段使ってるから軽い軽い~なんて思ったけど、これがなかなか難しい。

なんとなくなら解けるけど、理由が上手く説明できない。

 


 「本文から根拠を拾って、それで選択肢を見て・・・・・・」


 「そうなのですねえ」


 オルガに教えてもらいながら、問題を解いていく。彼女は教え方が論理的というか、きっちりしているから分かりやすい。なんだか学習塾に通っているみたいな感覚になってきた。さっきの数学より苦手意識が少ないせいか、だいぶ気持ちは楽だ。


 「そんなこと考えながら、解くんですね」


 感心してしまう。勉強できる人って、こんなこと考えながら解いているんだなと、そこも勉強になる。


 「あなた、普段国語の問題どうやってやってるの?」


 「フィーリングです」


 「・・・・・・よくこの学園に入学できたわね」


 ため息をつかれた。


 「あ、私も~なんとなくで解答してる~」


 イングリッドが元気よく挙手する。明るいのはいいことだ。


 「俺も、勘だな~」


 アルベルトは、ペンを口と鼻の間にはさみながら、退屈そうにこぼした。


 どうやら、私たち勉強できない組三名には、共通点があるみたい。それは、『適当』とか、『なんとなく』で問題を解いていること。それがどうやら、ダメとのこと。


 「勘とかフィーリングでいいなら、学校の意味ないでしょ。どこまでアホなの」


 オルガの毒舌は、しみるなあ。


 「うぐ・・・・」


 アルベルト、イングリッド両名、ぐうの音も出ない。正論だし・・・フォローも面倒なので、ほっとこう。


 悔しがって唇を噛む二人に、私はひそひそと話しかけた。


 「ここは、大人しく教えを乞いましょう。真正面から頼まれれば、オルガ様もむげにはできないでしょうし・・・」


 「そ、そうよね」


 「オッケー、お前らに合わせる」


 咳ばらいを一つした後で、私たちは揃って深く頭を下げる。


 「どうか、ご教授お願いします」


 「し、仕方ないわね~できの悪い同級生の面倒、特別に見てあげるわ」


 やはり、正攻法が一番だ。きちんとお願いするのって大事だな~と、至極当たり前のことを再確認したのだった。


 

  数学の時の大騒動と打って変わって、みんな騒がずちゃんとやっている。オルガも、鬼みたいな顔つきだったのが夢みたいに、いつものきれいで上品な貴族の令嬢だ。

 

 しばらくは静かに勉強会は進み、よしよし、順調だと思った矢先に、


 「え~と・・・・・・・答えは?・・・はあ?なんでAじゃないの!?絶対、この人、彼女のこと好きでしょ!?」


 イングリッド的に、答えに納得がいっていない様子。


 「そこは、はっきりとは書いてないから・・・」


 前半の数学の時と同じく、アリスが優しく教えている。


 「でもさ~これって言葉では言ってないけど、心の中で思ってるって!絶対そうだよ。この問題作った人って乙女心が分かってないな~。モテないな、こいつ」


 唐突に、問題作成者へのディスが飛ぶ。しまいにはモテない人にされてしまった。とても気の毒である。


 「なんでここで友だとの元へ行かねえんだ!」


 今度はアルベルトが、登場人物に怒っていた。机をバンッと叩いて、立ちあがっちゃってる。


 「まあまあ・・・それは、やっぱり相手の気持ちを考えて、行けなかったんじゃないかな?」


 ギュスターヴがなだめようとしていた。


 「い~や!許せないね。おいギュスターヴ!お前はこいつのことどう思うんだ!」


 「へ?ぼく?」


 明らかに困っている。そりゃそうだろうな。そもそも、私たちはテストの勉強をしているのであって、小説の感想を話し合う会ではないしね。 


 感情移入しすぎて、ちっとも問題を解くのが進んでいない。


 「い~や違うね。あれは友だちとして、行かなくて正解だよ」


 イングリッドがアルベルトに突っかかった。


 「なにぃ!?」


 アルベルトは、ズンズンとイングリッドとの距離をつめる。


 「なによ、なんか文句あんの?」


 イングリッドも負けじと睨み返す


 ・・・・・・緊張感が走る。二人は無言で睨み合っている。

 う~ん、どうしようかな。下手に刺激しちゃうと、なんか一気にヒートアップしそうだし、とりあえず様子を見みてよう。




 そうすると、沈黙を破ったのは、黙々と勉強していたエドワードだ。


 「おい、赤点になりたいのか?」


 二人の視線が、エドワードに向いた。


 「時間ないぞ」


 冷静なエドワードの言葉で、アルベルトとイングリッドはハッと我に返った。


 「そうだったぁ!マズい!」


 やっと当初の目的を思い出してくれた。そうそう、これは勉強会だよ。仲良く楽しく勉強していこう。


 「はっきり書いてないことは、とりあえず考えないでいい」 


 少し遠くに座っていたエドワードが場所を移動して、アドバイスをしはじめた。


 エドワードが空気を変えてくれたお陰で、場は落ち着きを取り戻した。よし、勉強会の再開だ。無駄話もだいぶ減って、集中して勉強できている。


 なんだ、やればできるじゃない。


 もう一日も終わりに近づいているんだけど、やっと私たちの勉強会は、きちんと勉強会らしくなってきたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。